TikTok禁止法の施行を60~90日間停止する大統領令をトランプ次期大統領が検討
アメリカでは2024年4月にTikTokの親会社であるByteDanceに事業の売却を命じる事実上の「TikTok禁止法」とも呼ばれる「Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act(PAFACA:外国の敵対者が管理するアプリケーションからアメリカ人を守る法)」が成立しています。TikTok禁止法ではTikTokの売却期限を2025年1月19日に設定しているのですが、2025年1月20日に大統領に就任予定のドナルド・トランプ次期大統領はTikTokを救うため、就任後に「TikTok禁止法の施行を60~90日間停止する大統領令」の発令を検討していることが明らかになりました。
Trump angles to ‘save’ TikTok from ban with an executive order - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2025/01/15/trump-tiktok-ban-executive-order/
Trump considers suspending TikTok ban enforcement for 60 to 90 days, Washington Post reports | Reuters
https://www.reuters.com/technology/trump-considers-suspending-tiktok-ban-enforcement-60-90-days-washington-post-2025-01-15/
Donald Trump is reportedly considering an executive order to delay the TikTok ban. - The Verge
https://www.theverge.com/2025/1/15/24344739/donald-trump-is-reportedly-considering-an-executive-order-to-delay-the-tiktok-ban
TikTok Prepares for Immediate Shut-Off in the U.S. on Sunday — The Information
https://www.theinformation.com/articles/tiktok-prepares-for-immediate-shut-off-in-the-u-s-on-sunday
TikTok prepares to shut down app in US on Sunday, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/technology/tiktok-preparing-us-shut-off-sunday-information-reports-2025-01-15/
TikTok considering total shutdown in U.S. if ban moves forward
https://www.nbcnews.com/tech/social-media/tiktok-ban-total-shutdown-us-app-moves-forward-rcna187621
TikTok ban: How to save your videos, download your data from the app
https://www.usatoday.com/story/tech/2025/01/15/tiktok-ban-save-videos-download-data/77721526007/
事実上のTikTok禁止法とも呼ばれるPAFACAは、ByteDanceに対してTikTokおよびTikTok傘下のアプリケーションの売却、もしくはアメリカ市場からの撤退を命じるものです。2024年4月にアメリカの上院と下院で可決されたのち、バイデン大統領もTikTok禁止法に署名したことで成立しました。
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TikTok禁止法に対して、TikTokや著名なTikTokユーザーからは「アメリカ合衆国憲法に違反している」という声が上がっており、TikTokは禁止法の撤回を求めて訴訟を提起していました。しかし、アメリカのコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所は、2024年12月にTikTok禁止法を支持する判決を下しています。TikTokはすぐさま最高裁判所へ上訴し、TikTok禁止法の差し止めを要請していましたが、2025年1月10日に行われた口頭弁論において最高裁判事は「ByteDance以外のアルゴリズムでならTikTokは運営を継続できる」「ByteDanceは中国企業なので、アメリカの憲法修正第1条による保護を受けていない」とし、TikTok禁止法が憲法違反には該当しない可能性があるとの見方を示しました。
そのため、予定通りTikTokの事業売却の期限は「2025年1月19日」になると目されています。
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TikTok禁止法について、トランプ次期大統領は「TikTokをしばらく存続させたい」と発言し、TikTok擁護の姿勢を示していたのですが、新たにTikTok禁止法の施行を60~90日間停止する大統領令の発令を検討していることが明らかになりました。これはトランプ政権がTikTokの事業売買やサービス停止の代替案を練るための時間を捻出するためのものと指摘されています。
トランプ政権移行チームからは記事作成時点ではTikTok禁止法に関するコメントは出ておらず、トランプ次期大統領が大統領令を用いて合法的にTikTok禁止法の施行を延期することができるのかについても不明です。ただし、トランプ次期大統領は大統領就任後にTikTok禁止法に関する問題を「政治的に解決するための時間はあるはず」と語っています。
トランプ政権において国家安全保障問題担当大統領補佐官を務める予定のマイク・ウォルツ氏も、Fox Newsのインタビューで「我々はTikTokを維持しながら人々のデータを保護する方法を見つけるつもりだ」と語っており、TikTokをアメリカで維持するべく動くと発言しています。
バイデン大統領はByteDanceがTikTokを売却する確実な計画を示さない限り、この件に法的に介入することはできないとロイターに語っています。
一方、TikTokの弁護を担当するノエル・フランシスコ氏は最高裁に対して「本質的に、プラットフォームは閉鎖されます」と述べ、TikTokを売却する意図はないと語りました。TikTokが裁判所に提出した書類によると、アメリカでTikTokを閉鎖すれば、他の多くの国のユーザーにも影響が出る可能性があるとのこと。これはアメリカの何百ものサービスプロバイダーが、TikTokを世界中のユーザーに提供するために協力しているためだそうです。
なお、TikTok禁止法が施行された場合、AppleのApp StoreやGoogleのGoogle PlayからTikTokをダウンロードすることはできなくなりますが、すでに端末にダウンロードされたTikTokアプリは引き続き利用可能です。関係者によると、1月19日以降はTikTokを開いた際に、ユーザーに禁止法に関する情報が記載されたウェブサイトへの誘導メッセージがポップアップ通知で表示されるようになるとのことです。
ただし、TikTokは提出書類の中で「データセンターはTikTokのコード、コンテンツ、またはデータを保存できなくなったとほぼ確実に判断するだろう」と述べ、禁止法により最終的にTikTokアプリそのものが利用できなくなるとも指摘しています。
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