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TikTokがアメリカでの禁止措置をめぐり訴訟


アメリカで「TikTok禁止法」とも言われる法案が成立したことを受け、当該法案が表現や言論の自由を保障する憲法修正第1条に違反する可能性があるとして、TikTokが法案に対する異議申し立てを行いました。

Court Filing on TikTok Ban | TikTok Newsroom
https://newsroom.tiktok.com/en-us/court-filing-on-tiktok-ban-2024

TikTok sues to block prospective US app ban | CNN Business
https://edition.cnn.com/2024/05/07/tech/tiktok-sues-us-app-ban/index.html

H.R.7521 - 118th Congress (2023-2024): Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act | Congress.gov | Library of Congress
https://www.congress.gov/bill/118th-congress/house-bill/7521

ジョー・バイデン大統領は2024年4月24日に、複数の法案や緊急予算案をまとめた「National Security Act, 2024(2024年国家安全保障法)」に署名しました。これにより、TikTokにアメリカでの事業の売却か撤退かを要求する「Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act(外国の敵対者が管理するアプリケーションからアメリカ人を守る法)」が成立しました。

この法律は、ソーシャルネットワーキングアプリが「外国の敵対者が管理するアプリケーション」であるとアメリカ大統領および関連条項によって判断された場合、270日から360日以内に配布、維持、または提供の禁止を求めるものです。ただし、当該アプリが他者に販売され、アメリカの敵対国に管理されるアプリではなくなったと大統領が判断した場合、この法は適用されなくなります。

当該法律では中国が敵対的な外国と指定されているため、アメリカは中国に拠点を置くByteDanceと、ByteDanceが運営するTikTokに対して270日~360日以内の売却またはアメリカでのサービス提供停止を求めています。


この法案に対する異議申し立てについてはコロンビア特別区連邦控訴裁判所に専属管轄権が与えられており、法案に対する異議は法案制定日から165日以内に提起されなければならず、法案に基づく措置、認定、決定に対する異議は、その措置、認定、決定から90日以内に提起されなければならないと定められています。

現地時間の2024年5月7日、TikTokはアメリカの司法制度に基づき、コロンビア特別区連邦控訴裁判所へ当該法案に対する異議申し立てを行いました。


TikTokは、表現・言論の自由を保障するアメリカ合衆国憲法修正第1条を根拠に、この法案はアメリカ人の言論の自由を妨げ、正しい情報へのアクセスを遮断する可能性があると主張しています。

TikTokはアメリカ政府が議会権力を行使して特定のアプリを禁止するという前例のない措置をとったと指摘し、「歴史上初めて、議会は単一の言論プラットフォームを永久的かつ全国的に禁止する法律を制定し、世界中で10億人以上が参加するオンラインコミュニティにアメリカ人が参加することを禁止したのです」と主張。新法は違憲だという判断を下すよう裁判所に求めました。

アメリカ政府は、TikTokと中国との結びつきが存在することで、アメリカ人の個人情報が中国政府に渡ってしまう可能性があるとの懸念を示しています。しかし、アメリカ政府はこれまで中国政府がTikTokのデータにアクセスしたという具体的な証拠を提示しておらず、あくまで「可能性がある」という仮定の話を元に議論が進められているのが現状です。

TikTokのショウ・チュウCEOは以前から「TikTokはByteDanceから独立して運営されていて、アメリカにおけるプラットフォームの管理場所はシンガポールとロサンゼルスにあり、アメリカ人のデータは、アメリカ人が監督するアメリカ企業によって管理されている」と主張し、中国政府当局者がアメリカのユーザーデータにアクセスできるようにしたことはないと強く否定。また、TikTokは事業売却について「ByteDanceが所有する数百万行のコードを他者に手渡すことになり、実質不可能」と主張しています。


当該法案に関してはアメリカ国内でも意見が分かれており、国家安全保障上の枠組みに照らし合わせれば合憲という意見や、反対に国家安全保障上の主張が憲法修正第1条に優先されるべきではないという意見もあります。

憲法修正第1条の学者たちは、大統領には特定の状況の下で外国からの通信を遮断する権限がないとする「バーマン修正条項」の存在を指摘し、情報の発信国に関係なくアメリカ市民は情報を享受する権利があり、TikTokの禁止は妥当ではない可能性があると主張しています。憲法修正第1条を専門とするコーネル大学のゴータム・ハンス准教授は、「具体的にどのようなリスクがあるのかが公に議論されなければ、なぜこのような前例のない法律を正当化しなければならないのかを裁判所が判断するのは難しいと思います」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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