砂粒ほどの超小型ロボットが集団でアリのように自分より大きな物体を運んだり高い壁を飛び越えたりする動画が公開中
韓国の漢陽大学校の研究チームが、集団で協力して水に浮かぶいかだになったり、自身の数百倍もの重さの物体を運んだり、高い壁を飛び越えたりできる砂粒サイズの小型ロボットを開発しました。この小型ロボットは磁場でコントロールすることが可能で、医療用途への応用も期待されています。
Magnetic swarm intelligence of mass-produced, programmable microrobot assemblies for versatile task execution: Device
https://www.cell.com/device/fulltext/S2666-9986(24)00583-0
Microrobot swarms mimic ant-like feats of strength | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2461218-swarms-of-tiny-robots-coordinate-to-achieve-ant-like-feats-of-strength/
複数のロボットが集団で特定のタスクを実行する「Swarm robotics」は、特殊な環境で作業するための有望な方法論として注目を集めています。個々のロボットを小型化することで狭い場所でも展開できるほか、ロボット自体の重量が小さいため必要な運動エネルギーも少なくて済むなどの利点があります。
そこで漢陽大学校の研究チームは、磁場でコントロール可能な砂粒サイズの小型ロボットを開発しました。実際に研究チームが開発した小型ロボットがさまざまなタスクを実行する様子は、以下の動画で確認することができます。
Swarms of tiny robots coordinate to achieve ant-like feats of strength - YouTube
研究チームが開発した小型ロボットは、磁性合金を埋め込んだエポキシ樹脂で構成されています。それぞれは0.3mm×0.3mm×0.6mmと砂粒程度のサイズですが、共同して動くことでさまざまなタスクを実行することが可能。
固まっていかだのように水に浮かんだり
個々のロボットの350倍もの重さがある物体を運んだり
大玉転がしのように球体を転がしたり
大きな壁を倒したり
個々のロボットの5倍もの高さの障害物を飛び越えたり
1本の棒のようになって移動したり
1個のロボットを投げ上げたりすることができます。小型ロボットは最初に特定の角度から強い磁場にさらされることで、特定の形を構成するように「プログラム」され、その後は外部の磁場によってさまざまな動きをコントロールできるとのこと。
血管のように液体が流れる管を詰まらせる障害物を運ぶことも可能で、医療用途での応用も期待されています。
研究チームは、「マイクロロボット群による多目的のタスク実行は、ロボット工学におけるさまざまな応用に向けた大きな可能性を示しています。これは、先進的な集団ロボットシステムを開発するための基盤技術を拡大するものです」と論文で述べました。
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