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映画のゲリラ広告が爆弾テロと誤解されて逮捕者が出る事態にまで発展した「ボストン・ムーニーナイト・パニック」とは?


2007年1月31日に、ボストンで複数の「爆弾の可能性がある装置」が発見され、鉄道の運行が停止したり道路が封鎖されたりする騒ぎになりました。この騒ぎは「ボストン・ムーニーナイト・パニック」と呼ばれ、今でも語り継がれています。

Looking back at the Boston Mooninite panic, 10 years later
https://www.boston.com/news/local-news/2017/01/31/looking-back-at-the-boston-mooninite-panic-10-years-later/

2007 Boston Mooninite panic - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/2007_Boston_Mooninite_panic

The 2007 Boston Mooninite Panic - YouTube


2007年1月31日の8時5分に、州間高速道路93号線を支える鉄骨にぶら下がる「正体不明の不審な装置」が発見されました。物体を発見した市民はマサチューセッツ湾交通局(MBTA)に通報し、MBTAは不審な装置の撤去作業に取り掛かりました。


不審な物体にLEDライトや電子基板などが取り付けられていたことから、MBTAは「装置は爆発物の可能性がある」と判断してボストン市警察に協力を要請しました。要請を受けた警察は爆弾の可能性を考慮して爆弾処理班に加えて消防車や救急車を出動させたとのこと。爆弾処理班は装置に回路基板や絶縁テープ、電源などが搭載されていたことを根拠に「即席爆発装置の可能性がある」と判断し、州間高速道路93号線や付近を走る鉄道の一部を閉鎖して爆弾処理に取り掛かりました。


爆弾処理班は装置を水没させた上で別の爆発物を用いて破壊しました。その後、10時5分頃に高速道路の閉鎖は解除され、不審な装置は「何らかのいたずら装置」として報告されました。しかし、不審な装置の発見例は上記の1件に収まらず、ボストンの別の場所でも似た装置が相次いで発見され、主要な橋の閉鎖や船の運航禁止などの対応が取られました。

ボストン中を恐怖の渦に巻き込んだ不審な装置は、実は「アクア・ティーン・ハンガー・フォース」というテレビアニメの映画版を宣伝するためのゲリラ広告キャンペーンの一環として設置されたもので、LEDライトはアニメに登場するムーニーナイトの1人「Ignignokt」を描いたものでした。

最初に発見された装置は発見日の半月前の2007年1月15日に設置されたものだったとのこと。広告キャンペーンはゲリラ的に実施されたもので市当局から装置の設置許可を得ていなかったため、大きな騒動に発展してしまったというわけです。


広告キャンペーンを発案したピーター・ゼブラー・ベルドフスキー氏(アーティスト名:ゼブラー)とショーン・スティーブンス氏は、事件後に記者会見に出席しました。しかし、両氏は「60年代と70年代のヘアスタイル」という事件とは無関係の話題しか語らず、事件に関する質問は無視しました。記者会見の様子は以下の動画で確認できます。なお、動画の左側に映る人物がスティーブン氏で、右側がゼブラー氏です。

Boston bomb scare suspects press conference about Hair. - YouTube


ニュース共有サイトのHacker Newsにはスティーブンス氏本人と思われる人物が登場しており、当時の状況について「問題発生直後に雇い主に電話したものの、『こちらで解決するから警察を呼ばないように』と言われた」「自分とゼブラーは捜査に全面的に協力したが、刑務所に入れられた。1月のボストンで毛布も夕食も提供されなかった」「警察の反応は、明らかにアメリカ同時多発テロ事件後の過剰反応だった」と語っています。

The 2007 Boston Mooninite Panic | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=37105056

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in 動画, Posted by log1o_hf

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