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Googleとイスラエルの1900億円規模の契約「Project Nimbus」が人権侵害につながることを社内弁護士らが懸念していたことが内部文書で発覚

by Ryan Quick

2021年5月、Googleはイスラエルのクラウドコンピューティングシステムの構築を請け負う契約「Project Nimbus」を締結しました。しかし、契約締結の4カ月前にGoogleの法務チームや政策チーム、外部コンサルタントらが、この契約が人権侵害に関与する可能性があることを懸念していたことが明らかになりました。

Google Worried Israeli Contract Could Enable Human Rights Violations - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/12/03/technology/google-israel-contract-project-nimbus.html


Documents Contradict Google’s Claims About Its Project Nimbus Contract With Israel
https://theintercept.com/2024/12/02/google-project-nimbus-ai-israel/


Abolitionist Law Center Reports to UN: Amazon and Google Complicit in Israel’s Genocide and Apartheid against Palestinians - Abolitionist Law Center
https://abolitionistlawcenter.org/2024/12/02/abolitionist-law-center-reports-to-un-amazon-and-google-complicit-in-israels-genocide-and-apartheid-against-palestinians/

GoogleとAmazonが共同でイスラエル政府および軍向けに提供するクラウドコンピューティングプロジェクト「Project Nimbus」は、2021年5月に締結された7カ年契約です。


Project Nimbusの主な内容は、イスラエル政府機関向けのデータセンターとクラウドサービスの提供です。具体的には、アプリケーションやAIツールを実行するための処理能力の提供、画像や動画を分析して物体を検出する技術、大規模なデータストレージサービス、さらにはGoogleのビデオ会議システムなどの一般的なソフトウェアサービスも含まれています。

収益面では、2021年から2028年までの期間で、イスラエル国防省からの収入が最も大きく、約5億2500万ドル(約780億円)と見込まれています。これは中央政府からの予想収入2億800万ドル(約310億円)を大きく上回っています。地方政府や医療機関からの収入も含めると、プロジェクト全体での収益は約12億6000万ドル(約1900億円)と予測されています。

しかし、このプロジェクトは大きな議論を呼びました。Google社内の文書によれば、契約締結前から、イスラエル国防省やイスラエル治安機関などの「センシティブな顧客」が含まれることで、人権侵害に関与する可能性が指摘されていました。特に西ヨルダン地区でのイスラエルの活動に関連して、Googleのクラウドサービスが人権侵害に利用される可能性が懸念されていました。

また、契約に関して国際法令との潜在的な衝突や、イスラエルのデータに関して外国や国際機関から要求があった場合の対応など、複雑なリスクも指摘されていたとのこと。Googleの人権コンサルティングを担当する企業は、イスラエル軍へのAI提供を制限し、技術の使用状況を監視するよう提言しましたが、最終的な契約にはそうした制限は含まれませんでした。

by Chris Devers

さらに、海外メディアのThe Interceptは、Googleが主張してきた「一般的な利用規約が適用される」という説明が事実と異なることを示す内部文書の存在を指摘しています。

Googleの弁護士Edward du Boulay氏は2020年12月10日付けで送信した社内メールで、「イスラエル政府に有利な『交渉不可能な契約条件』を受け入れなければならない」と警告していたとのこと。また、イスラエル政府は一方的に契約内容を変更する権利を持ち、Googleは許可された使用に関する違反があっても、イスラエルを訴える能力をほとんど持たなかったことも明らかにされています。

そして、イスラエル政府の契約文書では、Googleの標準的な利用規約は適用されず、代わりにイスラエル政府との間で「調整された利用規約」が適用されることが示されています。この「調整された利用規約」の具体的な内容は明らかにされていませんが、イスラエル政府は「提供者のサービスカタログに含まれるあらゆるサービスを自由に使用できる」とされています。

また、Project Nimbusの「デジタルマーケットプレイス」に関する文書では、「高度な機密性を持つ重要なシステムを含む、あらゆる種類のシステムと情報」をサービスに移行できることが明記されており、これはGoogleが主張してきた「機密性の高い軍事作業や情報サービスは対象としていない」という説明と矛盾する内容となっています。

by Gwen Fran

Project Nimbusの契約は記事作成時点でも継続中ですが、特に2023年10月以降のガザ地区での戦争をめぐり、Google社内外での反対の声が強まっており、社員らによる抗議活動も行われて約50人の従業員が解雇される事態となっています。

Googleとイスラエルのビジネス関係に対する抗議活動で解雇された50人以上の元Google従業員が不法報復だとして規制当局に告訴状を提出、抗議を見ていただけで解雇されたという人物も - GIGAZINE

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in メモ, Posted by log1i_yk

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