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Amazonの離職率は通常の2倍以上で一部職種は昇進を意図的に制限されるという過酷すぎる労働環境が機密文書から明らかに


Amazonの機密文書を独自に入手したというEngadgetによると、Amazonは業界平均をはるかに上回る驚異的なスピードで従業員を解雇しており、この人員削減により推定80億ドル(1兆2000億円)もの損失が発生しているそうです。

Exclusive: Amazon’s attrition costs $8 billion annually according to leaked documents. And it gets worse. | Engadget
https://www.engadget.com/amazon-attrition-leadership-ctsmd-201800110.html

Engadgetが独自に入手したAmazonの機密文書は、いくつかの内部研究論文、プレゼンテーション用のスライド、スプレッドシートなどを含んでおり、「Amazonが従業員を維持する能力の低さ」と「現状の従業員の扱い方が組織全体と財政面にいかに有害なものであるか」を説明するために作成された資料と考えられています。機密文書の中では、Amazonが従業員の教育と昇進に関する取り組みにおいてデータを適切に利用できていないことが非難されているそうです。

機密文書に含まれるレポートのうち、2022年1月に発表されたものでは従業員を10段階で評価し、Amazonを離れた従業員のうち高評価だったものを「後悔する人員削減」に、評価が低かった従業員を「後悔しない人員削減」に分類しています。レポートによると、「後悔する人員削減」つまりはAmazonが高く評価していた従業員の離職率が69.5~81.3%であったのに対して、「後悔しない人員削減」は半分以下だったそうです。そのため、レポートでは「明らかに従業員の定着に問題がある」と指摘されています。なお、Amazonによる従業員の10段階評価では、最も評価の低いレベル1に倉庫従業員、最も評価の高いレベル10にはヴァイスプレジデントなどの役員が割り当てられているそうです。


ニューヨークタイムズの調査によると、Amazonのパートタイム労働者の離職率は年間約150%になっています。また、ウォールストリートジャーナルとNational Employment Law Projectの共同調査によると、Amazonの倉庫労働者の離職率は約100%となっており、これは業界平均の2倍に近い離職率です。さらに別のRecodeによる調査では、Amazonの離職率の高さに対して「アメリカで利用可能な労働力の供給を枯渇させる勢い」と警告されています。

今回の機密文書について、Engadgetは「Amazonの職場と文化が抱える問題は、倉庫を超えてより多くのエリアに広がっていることを物語っています」と指摘。また、機密文書には「あらゆる職種の管理職が、自分の役割に行き詰まりを感じているようです。非正規雇用の管理職がAmazonを退職する主な理由は、キャリア開発と昇進です」と記されており、実際、Amazonの非正規雇用従業員の退職理由の第2位が「キャリア開発と昇進の問題」とされています。

また、ニューヨークタイムズのインタビューで、Amazonの元人事担当ヴァイスプレジデントであるデビッド・ニーカーク氏が、「Amazonは時間給労働者の昇進志向を意図的に制限している」と語っており、Amazonが非正規雇用従業員の昇進およびキャリア形成を意図的に阻んでいることを示唆しています。実際、2021年にAmazonで管理職に就いた39%が「仕事も人の指導経験もほとんどない大卒従業員」だそうで、倉庫労働者出身の従業員がエリアマネージャーなどに昇進した割合はわずか4%だったそうです。


一方で、Amazon内部の人材戦略などを監督するConsumer Talent Strategy, Management&Development(CTSMD:消費者人材戦略・管理・開発)チームは、少なくとも2019年頃にはAmazonに存在しており、その間に契約社員を含む615人もの人員に膨れ上がっており、2022年には9000万ドル(約130億円)もの予算が割り当てられています。

しかし、機密文書ではCTSMDが主導するプログラムのほとんどが財務指標を主な指標としていないことや、プログラムの評価ダッシュボードが「不正確で実際の支出が難読化されている」という点なども指摘されているそうです。機密文書内の別のレポートでもCTSMDの問題が指摘されており、「トレーニングプログラムのインパクト(ビジネス指標)を測定するための標準的なプロセスを持っていない」とされています。

Amazonが組織として肥大化しているにもかかわらず、CTSMDは明らかに人材登用における明確な方向性を示すことに失敗しています。そのため、CTSMDがAmazonに大きな経済的影響を与えていることは明らかであるとレポートでは指摘されています。従業員を10段階で評価するシステム(数字が高いほど高評価)でレベル3からレベル8と評価されたAmazonのマネージャーは、推定で年間平均113時間を教育に費やしているそうです。これはAmazonの12万人の従業員の平均年収を11万ドル(約1600万円)と仮定すると、実に7億1500万ドル(約1000億円)もの無駄が発生しているという計算になります。Amazonの組織構造を改善にするには教育が必要不可欠ですが、有意義な昇進プロセスを形成できていないことが「後悔する人員削減」につながっていることを考慮すると、「人員削減による推定80億ドルの損失の一部がCTSMDに起因していると考えることができる」とEngadgetは指摘。また、機密文書に含まれる別のレポートでは、人員削減を15%減らすだけで年間7億2600万ドル(約1000億円)の節約になるという試算も出されています。


CTSMDの学習・開発プログラムは無秩序で無駄が多いように思えますが、Amazonは「Brilliant Basics」と名づけた新しいスキームのもとでそれらを合理化している最中であるとも言われています。Brilliant Basicsは2022年6月に全事業に展開される予定だったもので、2021年9月には2059人の管理職を対象に60~90分のパイロットテストが実施されています。ただし、パイロットテストの完了率は65%で、全体の4分の1近くがテストに一切着手しなかったことも報告されています。

なお、EngadgetはAmazonに対して機密文書に関するコメントを求めていますが、記事作成時点では回答を得られていません。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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