「youtube-dl」のホスティングプロバイダーには著作権侵害の責任があるとの判決

YouTubeから動画をダウンロードできるオープンソースツール「youtube-dl」は、YouTubeにおける著作権侵害を助長しているとして、ソニー・エンタテインメントをはじめとするレコード大手3社がyoutube-dlをホスティングしていたプロバイダーのUberspaceを提訴した訴訟で、ドイツの裁判所がUberspaceの控訴を却下する判決を下しました。

Court Rejects Appeal of Youtube-dl Hosting Provider 'Uberspace' * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/court-rejects-appeal-of-youtube-dl-hosting-provider-uberspace-241127-1/

音楽業界は長年にわたりyoutube-dlを目の敵にしており、2020年にはアメリカレコード協会(RIAA)による削除要請でGitHubのyoutube-dlリポジトリが削除されたことがあります。

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youtube-dlが削除された一件はGitHubのナット・フリードマンCEOを激怒させたと伝えられており、フリードマンCEOの全面的な支援や、電子フロンティア財団(EFF)を含むデジタル権利団体による支持、インターネット世論からの追い風を受けて、youtube-dlのリポジトリは復活を果たしました。

それでも諦めていない音楽業界は矛先を変え、ソニー・エンタテインメント、Warner Music Group、Universal Music Groupの3社は2022年に、youtube-dlのホスティングプロバイダーだったドイツ企業のUberspaceを著作権侵害で訴えました。

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ドイツでの訴訟は音楽業界側の有利に展開しています。ハンブルク地方裁判所は2023年に、youtube-dlはYouTubeの技術的保護措置を回避することにより著作権侵害を助長しているという音楽業界側の主張を認め、この種のストリーミングリッピングソフトウェアをホストすることは違法であるとの判決を下しました。

Uberspaceは控訴しましたが、ハンブルク高等地方裁判所は今回の判決で下級審を支持し、控訴を却下しました。

判決文はまだ公表されていませんが、ドイツ連邦音楽産業協会(BVMI)は2024年11月26日に勝利を宣言し、声明で「BVMIは被告の上訴を全面的に退けたハンザ同盟高等地方裁判所(ハンブルク高等地方裁判所のこと)の判決を歓迎します。これはストリームリッピングソフトウェアであるyoutube-dlを提供しないよう被告に義務付けた地方裁判所の判決を裏付けるものであり、同時に損害賠償責任も認められました」と述べました。

この判決に対し、Uberspaceはまだ最終的な結論は出ていないものの、さらなる控訴を検討していると述べました。Uberspaceの創業者であるジョナス・パシェ氏は以前、著作権侵害やデジタル権に関する情報を専門とするニュースブログのTorrentFreakに対し、最高裁判所まで争う考えだと話したことがあります。

その際のコメントでパシェ氏は「このような判決がまかり通ってしまうと、ホスティングプロバイダーに苦情が届いたら、完全に合法な場合でも、裁判所の判決もなしにユーザーが閉め出されるようになってしまう可能性が高くなります」と述べていました。

なお、前述の通りyoutube-dlは記事作成時点でもGitHubでホストされており、ドイツの裁判でUberspaceに勝利したレコード会社らがGitHubを訴えるためにアメリカの法廷に乗り出すのかは不明です。

TorrentFreakは、「『youtube-dlのコードはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の回避防止規定に違反していない』とGitHubは結論付けており、アメリカの裁判所の関与なしにGitHubが何らかの措置を講じる可能性は低いです」と述べました。