バルト海の海底ケーブル破損調査でデンマーク海軍が中国船を拿捕、一方でケーブル切断によるインターネットへの影響はほぼ無し
2024年11月17日から18日にかけて、リトアニアとスウェーデンを結ぶ海底ケーブルおよびフィンランドとドイツを結ぶ海底ケーブルが相次いで切断された事件について、デンマーク海軍が事件に関与している疑いのある中国籍の船を拿捕(だほ)しました。
Danish navy shadows Chinese ship in Baltic sea sabotage probe
https://www.msn.com/en-us/news/world/danish-navy-shadows-chinese-ship-in-baltic-sea-sabotage-probe/ar-AA1unU66
Danish Navy Stopped a Chinese Ship Suspected of Damaging Undersea Cables | Defence24.com
https://defence24.com/armed-forces/danish-navy-stopped-a-chinese-ship-suspected-of-damaging-undersea-cables
YI PENG 3, Bulk Carrier - Details and current position - IMO 9224984 - VesselFinder
https://www.vesselfinder.com/vessels/details/9224984
Resilient Internet connectivity in Europe mitigates impact from multiple cable cuts
https://blog.cloudflare.com/resilient-internet-connectivity-baltic-cable-cuts/
現地時間2024年11月17日午前10時ごろ、下図に紫線で示されているリトアニア・スヴェントジとスウェーデン・カッタマルスビクを結ぶ海底ケーブルが切断され、翌18日の早朝に下図青線のフィンランド・ヘルシンキとドイツ・ロストックを結ぶ海底ケーブルが切断されました。
事件の概要は下記記事で報じているとおり。両方の海底ケーブルの切断は破壊工作である可能性が指摘されていました。
フィンランドとドイツを結ぶ海底ケーブルが破損、何者かによる破壊工作の可能性が浮上するも原因は不明 - GIGAZINE
スウェーデン海軍は事件発生後速やかに事件現場に部隊を派遣し、調査を開始。スウェーデンのカール・オスカー・ボーリン民間防衛相は19日に「通信ケーブル2本の切断について時と場所が一致する船舶を確認した」と述べ、中国船籍の貨物船「YI PENG 3」が捜査線上に浮上したことを発表しました。
「YI PENG 3」の航跡を先ほどの図に赤矢印で記載するとこんな感じ。フィンランド湾にあるロシアのウスチ・ルガ港を2024年11月15日の午後に出港し、18日の夜にかけてバルト海を横断しています。
2024年11月19日、YI PENG 3はデンマーク海軍に拿捕され、以後記事作成時点まで2日にわたってカテガット海峡に停船しています。
Cloudflareは今回の2件の海底ケーブル切断によるインターネットへの影響はほとんど無かったと発表。影響が無かったのは「ヨーロッパのインターネットインフラストラクチャの優れた冗長性と回復力によるもの」で、特にフィンランドには10本以上の海底ケーブルが接続されていた事が接続の復元力を大きく支えたとのこと。
一方で、ネットワーク研究者のエミール・アベン氏は「インターネットに十分な回復力があるかどうかは事後的にしか分からない」として、「今後別の海底ケーブルの切断事件が発生した際に同様の回復力があるかどうかは不明」と警告しています。
・関連記事
太平洋の海底ケーブルが中国の修理船による妨害やスパイ活動を受ける懸念があるとアメリカ当局がGoogleやMetaに警告している - GIGAZINE
ベトナムの海底インターネットケーブル5本中3本がダウン、全国的にネットの速度が低下 - GIGAZINE
損傷して引き上げられた海底ケーブルの画像をノルウェー警察が公開、ロシアのトロール船の関与が疑われるも証拠不足 - GIGAZINE
世界の海底ケーブルの敷設位置が一目でわかる世界地図「Submarine Cable Map」 - GIGAZINE
東日本大震災で切断された海底ケーブルの修理に震災直後から従事した日本の海底ケーブル修理船の秘話 - GIGAZINE
・関連コンテンツ