富士ソフトを巡るTOBで取締役会はPEファンド大手・KKRの提案を受け入れる方針も創業者は反対し価格の高いベインキャピタル案に賛同

業務管理システムなどの法人向けサービスや、年賀状印刷の「筆ぐるめ」で知られている富士ソフトの非公開化に向けた株式公開買い付け(TOB)への対応を巡り、取締役会と大株主である創業者との間で方針の不一致が出ていることが報じられています。

FK株式会社による富士ソフト株式会社（証券コード：9749）に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ
(PDFファイル)https://www.fsi.co.jp/company/news/2024/20240808_1.pdf

FK株式会社による当社株券等に対する公開買付けの開始予定に関する賛同の意見表明及び応募推奨の概要
(PDFファイル)https://www.fsi.co.jp/ir/library/docs/presentation/kigyoukachi_report20240808.pdf

KKR、富士ソフトの株式取得を目指した公開買付けの開始予定について発表
(PDFファイル)https://www.kkr.com/content/dam/kkr/country-sites/jp/press-release/2024/20240808-kkr-announces-tender-offer-to-acquire-fuji-soft-jp.pdf

富士ソフトは2022年6月に取締役会出席者で構成される企業価値向上委員会を設置して、企業価値の最大化に向けた施策の検討をしていく中で、価値向上策の1つとしてプライベートエクイティファンド大手・KKRを含む複数社と協議を開始しました。このとき、株式の非公開化も経営上の選択肢として含まれていたとのこと。

そして2024年8月8日、富士ソフトとKKRが株式取得を目指した公開買い付け(TOB)を1株あたり8800円で実施することに合意。2024年9月4日に公開買い付けがスタートしました。

KKR、富士ソフトに対する公開買付けを開始
(PDFファイル)https://www.kkr.com/content/dam/kkr/country-sites/jp/press-release/2024/20240904-kkr-launches-tender-offer-for-fuji-soft.pdf

KKRによるTOBは2024年10月21日に終了予定となっていましたが、2024年10月11日に、プライベートエクイティファンドのベインキャピタルが、1株当たり9450円でのTOB開始を予告しました。

ベインキャピタルによると、2023年夏に富士ソフトが主導する情報提供依頼プロセスがあり、1株8006円でのTOBを提案したとのこと。その際、KKRは1株6800円～7200円を提案していたそうです。

富士ソフト株式会社株式（証券コード：9749）に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ（補足資料）
(PDFファイル)https://www.baincapital.co.jp/sites/default/files/2024-10/BC_PR11102024.pdf

富士ソフト株式会社株式（証券コード：9749）に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ（更新版補足資料）
(PDFファイル)https://www.baincapital.co.jp/sites/default/files/2024-10/BCP_PR_9749-20102024.pdf

TOBは公開買付期間中であればいつでも応募が可能で、いつでも応募を撤回することも可能ですが、富士ソフトの取締役会は条件のいいベインキャピタルのTOBではなく、KKRによる非公開化提案に賛同し、KKRのTOBへの応募を推奨しています。

このため、ベインキャピタルは自社提案の方が「すべての株主の利益に資する提案だと確信している」と主張。富士ソフト創業者で大株主の野澤宏氏も、ベインキャピタル案への賛同とTOB応募推奨を意見を出すよう富士ソフトに求めています。

富士ソフト創業者、ベイン案への賛同要求　買収巡り会社に意見書 | ロイター
https://jp.reuters.com/markets/japan/5ZNOVA6FQ5PAHMOLFVGAFHF5FQ-2024-10-17/