ネットサービス

Ticketmasterのチケット詐欺対策は「市場独占のためのワナだった」とする訴訟に新しく10州の司法長官が参戦

by nerdy girl

アメリカ司法省が、チケット販売会社のTicketmasterとその親会社のLive Nationを独占禁止法違反で訴えた2024年5月の訴訟に、新しく10の州の司法長官が加わったことが報じられました。

Office of Public Affairs | Ten Additional States Join Justice Department’s Suit Against Live Nation-Ticketmaster for Monopolizing Markets Across the Live Concert Industry | United States Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/ten-additional-states-join-justice-departments-suit-against-live-nation-ticketmaster

DOJ suit: Ticketmaster’s nontransferable SafeTix are anticompetitive - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/19/24223774/ticketmaster-safetix-doj-antitrust-lawsuit-10-states-join

More states join antitrust lawsuit against Live Nation, Ticketmaster
https://www.weau.com/2024/08/21/more-states-join-antitrust-lawsuit-against-live-nation-ticketmaster/

Ticketmasterは、アメリカの主要なコンサート会場におけるチケット販売の約80%を手がけるチケット販売大手で、二次市場、つまりチケットの転売市場でもシェア率を大きく伸ばしています。


アメリカ司法省は2024年5月に、Ticketmasterがアーティストに独占契約を結ぶよう仕向けるなどして市場競争を排除しているとして、29の州およびコロンビア特別区の司法長官と共同で、Live NationおよびTicketmasterを訴えました。

「反競争的行為でライブチケット価格を不当につり上げている」として司法省がLive Nationを独占禁止法違反で訴える - GIGAZINE


さらに、司法省は2024年8月19日に、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ネブラスカ州、ニューメキシコ州、サウスダコタ州、ユタ州、バーモント州の10州の司法長官が新しくこの訴訟に加わったことを発表しました。司法省と共同でTicketmasterを訴えている州と特別区はこれで40になります。

修正された(PDFファイル)訴状では、Ticketmasterが導入した2019年に導入した、スクリーンショットが通用しないバーコード型電子チケットの「SafeTix」が問題視されています。

バーコードが約15秒ごとに自動的に更新されるSafeTixでは、チケットのコピーやスクリーンショットが無効なため、チケットの不正な転売が困難になります。Ticketmasterは当初、SafeTixを偽造チケットやチケット詐欺からユーザーを守るための機能として売り出していました。

しかし、アメリカ司法省らは「SafeTix導入の主な動機はユーザーをチケット関連のトラブルから守ることではなく、競争を排除することだった」と非難しています。

例えば、SafeTixではチケットの譲渡が制限されているため、ユーザーがSafeTixで暗号化されたチケットを別のプラットフォームで売買することが難しくなります。チケットの譲渡ができないわけではありませんが、そうしようとするとチケットの所有者と新しい購入者の両方が、Ticketmasterのアカウントを開設して専用アプリをダウンロードしなければなりません。

実際、2014年のTicketmasterの幹部会議の資料では、「譲渡不可のデジタルチケットはゲームチェンジャー」と位置づけられていたとのこと。また、2017年の会議では自動更新式のバーコードは「市場シェアを獲得するための製品強化」であり、「我が社の経済的リスクを軽減するための機会」と説明されていたと、訴状は述べています。


こうした点から、司法省らは「Ticketmasterの行為により消費者は自由で開かれた競争市場で支払うよりも割高な金額を支払わされてきた」と主張しました。具体的な金銭的損失は不明で、TicketmasterやLive Nation、競合他社から開示された証拠を元に改めて算定される見通しとのことです。

これに対し、Ticketmasterは2024年5月の訴訟への反論で「この訴訟は、制作費の高騰からアーティストの人気の高まり、そして一般の人々が正規のチケット価格よりもはるかに高い金額を支払う意思があることを明らかにするオンラインのチケット転売まで、チケット価格の高騰の実際の原因をすべて無視しています」と述べているほか、今回の修正訴状に対する声明でも、新たな争点はなくチケット取引をめぐる問題は何も解決していないと述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「反競争的行為でライブチケット価格を不当につり上げている」として司法省がLive Nationを独占禁止法違反で訴える - GIGAZINE

「転売屋やファン同士の激しい争奪戦を回避してネット上でチケットを公正に売る仕組み」について議論が巻き起こる - GIGAZINE

スクリーンショットが通用しないバーコード型電子チケットの仕組みをエンジニアが分析 - GIGAZINE

チケット販売会社がライバル会社に「ビジネス戦略」のようにハッキングしたことで10億円の罰金支払いが命じられる - GIGAZINE

ハッカーグループ「ShinyHunters」が「Ticketmasterから5億6000万人分のユーザーデータを盗みだした」と主張、専門家がさらなるサイバー攻撃への注意を訴える - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.