メモ

「反競争的行為でライブチケット価格を不当につり上げている」として司法省がLive Nationを独占禁止法違反で訴える


2024年5月23日、アメリカ司法省は30の州および特別区の司法長官と共に、世界最大級のライブプロモーターであるLive Nationとその完全子会社である大手チケット販売プラットフォームのTicketmasterに対し、「ライブエンターテインメント業界の市場競争を阻害する独占およびその他の違法行為」を理由に独占禁止法違反の訴訟を起こしました。メリック・ガーランド司法長官は、「Live NationとTicketmasterを解体する時が来ました」と声明で述べています。

Office of Public Affairs | Justice Department Sues Live Nation-Ticketmaster for Monopolizing Markets Across the Live Concert Industry | United States Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/justice-department-sues-live-nation-ticketmaster-monopolizing-markets-across-live-concert


The US government is trying to break up Live Nation-Ticketmaster - The Verge
https://www.theverge.com/2024/5/23/24163083/live-nation-ticketmaster-doj-monopoly-lawsuit-break-up

Live Nationはアメリカのカリフォルニア州ビバリーヒルズに本社を構えるライブエンターテインメント企業で、北米で265以上のコンサート会場を所有または管理しています。2010年にはチケット販売会社のTicketmasterを買収し、ライブエンターテインメント業界で強大な支配力を持ちました。

アメリカ司法省は2024年5月23日、Live Nationと子会社のTicketmasterに対して独占禁止法違反で訴訟を起こしました。ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提出された訴状では、Live NationとTicketmasterが市場支配力を違法に行使し、その結果としてアメリカの音楽ファンはチケット販売の革新性を奪われ、他国のファンより高いチケット代を払いながら時代遅れのテクノロジーを使用することを余儀なくされていると主張されています。また、Live Nationはパフォーマーやライブ会場、および独立したライブプロモーターに対しても、競争力を損なう方法で市場支配力を行使しているとのこと。


司法省が主張している、「Live NationとTicketmasterが競争を排除するために行った慣行」は以下の通り。

・ライブ会場の管理を手がけるOak View Groupと協力し、アーティストに対してTicketmasterとの独占契約を結ぶように働きかけた。
・アメリカのコンサートプロモーション市場での足場を固めるため、潜在的な競合他社に金銭的報復をちらつかせて排除した。
・ライブエンターテインメント業界での支配力を強化し、他のプロモーターやチケット販売会社を使ったライブ会場への報復を可能にした。
・ライブ会場を長期的な独占契約で縛り付け、ライバルのチケット販売会社や費用対効果の高いチケット販売技術に切り替えられないようにした。
・ライブ会場が複数のチケット販売会社を利用できないようにした。
・買収やパートナーシップで主要ライブ会場の支配力を高め、プロモーション契約に同意しないアーティストのライブ会場使用を制限した。
・社内で脅威と認識されていたプロモーターを戦略的に買収した。

これらの慣行により、Live NationとTicketmasterは競争を排除しつつ市場支配力を強めており、結果としてライブチケットの価格や品質を思い通りに操り、アーティストへの報酬にも悪影響を及ぼしたと司法省は主張しています。


ガーランド司法長官は、「私たちはLive Nationが違法な反競争的行為に依存して、アメリカのライブイベント業界を独占的に支配しており、ファン・アーティスト・小規模なプロモーター・会場運営者を犠牲にしていると主張しています。結果としてファンはより多くの料金を支払うことになり、アーティストはコンサートをする機会が減り、小規模なプロモーターは搾取され、会場はチケット販売サービスの実質的な選択肢が減っています。Live NationとTicketmasterを解体する時が来たのです」とコメントしました。

記事作成時点では、司法省は「Live NationとTicketmasterの解体」がどのようなものになるのか明言していません。これについて海外メディアのThe Vergeは、「政府に有利な判決が下されれば、最終的にLive NationとTicketmasterの合併が事実上解消される可能性があります」と述べています。


司法省の訴訟に対し、Live Nationは公式サイト上に反論を掲載しています。

Update: Breaking Down The DOJ Lawsuit - Live Nation Entertainment
https://www.livenationentertainment.com/2024/05/update-breaking-down-the-doj-lawsuit/


Live Nationは、ライブイベント業界はかつてないほど競争が激しく、同社は市場支配力を不当に行使してはいないと主張。実際にチケット価格の上昇に関与しているのは、ライブ制作費の上昇やアーティストの人気、オンラインの転売屋といった存在であり、司法省はこれらの要因をすべて無視していると批判しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
世界最大手のライブプロモーター「Live Nation」に独占禁止法違反の疑いがあると指摘される - GIGAZINE

女子中学生チケット詐欺の複雑怪奇な手口をGithubのシーケンス図でわかりやすく説明する猛者が出現 - GIGAZINE

「転売屋やファン同士の激しい争奪戦を回避してネット上でチケットを公正に売る仕組み」について議論が巻き起こる - GIGAZINE

「チケット転売問題」はなぜ起きるのか、サンフランシスコ・オペラのケース - GIGAZINE

Googleが独占禁止法訴訟における陪審裁判の回避目的でアメリカ司法省に損害賠償を支払うことを認める - GIGAZINE

Appleが「スマートフォン市場を独占している」というアメリカ司法省からの訴訟を棄却すべきだと主張 - GIGAZINE

Amazonの成長の原動力である「Amazonフライホイール効果」とは? - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.