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Huaweiは中国政府の数十億ドルの支援のおかげで新規事業を拡大してサプライチェーンを構築し利益を押し上げることに成功

by laboratorio linux

中国のテクノロジー企業・Huaweiは、国家安全保障上の脅威から、通信機器の販売の制限など、アメリカ政府からさまざまな制裁を科されています。このような状況下でHuaweiは、中国政府から数十億ドル(数千億円)規模の援助を受け、新規事業の拡大や利益の増大に成功しました。

The U.S. Wanted to Knock Down Huawei. It’s Only Getting Stronger. - WSJ
https://www.wsj.com/business/telecom/huawei-china-technology-us-sanctions-76462031


アメリカは2020年以降、Huaweiを含む中国企業に対し国家安全保障上の脅威があるとして、中国メーカー製品の販売や輸入を厳しく制限しており、同盟国のネットワークから中国メーカーを締め出そうと努力してきました。

一方で中国政府は国内からアメリカの技術を排除するためのキャンペーン「Delete A」に取り組んでいます。特にHuaweiには多額の支援金が投入されており、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、優先購入契約や補助金といった形で中国政府からHuaweiに対し数十億ドルもの支援金が流れています。実際に、中国の政府機関や国有企業、共産党の機関はHuawei製のチップやスマートフォン、クラウドサービス、ソフトウェアを導入しています。

by Kārlis Dambrāns

調査会社Dell'Oro Groupのアナリストであるサメ・ブジェルベネ氏は「アメリカ政府によるHuaweiに対する規制は、意図せずしてHuaweiのレジリエンスを強めています」と指摘しました。

政府の支援を受けたHuaweiは近年、電気自動車市場への参入も果たしているほか、Googleのスマートフォン向けOS・Androidに頼らない独自のOS・HarmonyOSを構築しています。

Huawei Luxeed S7 SUV Autonomous Driving - YouTube


しかし、Huaweiはアメリカからの高性能チップの輸入が禁止されていることから、NVIDIAを含む最先端の半導体市場に対して一歩遅れを取っています。一部の専門家は「Huaweiがより高度な西洋の技術にアクセスできなければ、イノベーションを続けるのは難しいでしょう」と指摘しています。

それでも、Huaweiは「私たちは過去数年間で多くの課題に直面してきました。しかし、挑戦を続ける中で私たちは成長を遂げることができました。Huaweiの存続と発展は世界中の顧客、パートナー、そして社会の全てのセクターの信頼とサポートのおかげです。研究開発投資を維持することは今後さらに重要になるでしょう」と述べました。実際にHuaweiは中国政府からの支援を受けて、2022年から2023年にかけて収益が2倍になったことや、その収益の約3分の2は国内のクライアントからもたらされていることが報告されています。

一方のアメリカでは、Huaweiに対する規制の支持者が「アメリカとその軍事同盟国のネットワーク内のHuawei製品の流通量を減らすという主要な目的を達成できました」と述べ、政府の措置を称賛しています。また、シンクタンク「Foundation for Defense of Democracies」で中国プログラムの代表を務めるマット・ポッティンジャー氏は「あくまで私たちの目標は、同盟国との関係を維持しながら、データを保護するためでした。たとえこの措置がHuaweiを窮地に追いやったとしても、私たちの目標はHuaweiを廃業に追い込むことではありません」と述べています。

以下はHuaweiの収入源を2018年と2023年で比較したグラフです。Huaweiの収益は中国国内で拡大している一方、EMEAやアジア太平洋地域、アメリカでは減少していることが報告されています。


なお、中国工業情報化部と財政部はこの報道に対しコメントしていません。

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