Apple Watchのアップデートで心拍数測定精度が悪化したという主張が裁判所に提出される
Apple Watchに搭載されている心拍数測定機能について、複数の医師が「アップデートによって機能が制限され、命を救う可能性のある製品へのアクセスが妨げられた」とするアミカスブリーフ(意見書)を裁判所に提出しました。
apple-watch-alivecor-amicus-brief.pdf
(PDFファイル)https://regmedia.co.uk/2024/06/27/apple-watch-alivecor-amicus-brief.pdf
Apple degraded Watch to cut competition, say heart doctors • The Register
https://www.theregister.com/2024/06/28/apple_watch_alivecor/
医師らが提出した意見書は、Appleと医療機器メーカー「AliveCor」の訴訟に関連するものです。AliveCorはApple Watch向けのセンサー付きバンドも開発しており、AliveCor製バンドとApple Watchの心拍数測定機能を組み合わせることで詳細な心電図の取得などが可能でした。
Apple Watch用の心電図測定バンドが高カリウム血症の測定を可能に - GIGAZINE
AppleはApple Watchのリリース当初は「Heart Rate Path Optimizer(HRPO)」という心拍数測定アルゴリズムを採用していましたが、2018年リリースの「watchOS 5」でHRPOを廃止し、代わりに「Heart Rate Neural Network(HRNN)」と「Irregular Rhythm Notifications(IRN)」を組み合わせた測定アルゴリズムを採用しました。この変更により、AliveCor製の心電図測定アプリが動作しなくなったため、AliveCorは「AppleによるApple Watchの心拍数測定アルゴリズム変更は独占禁止法に反している」と主張してAppleに対する訴訟を提起しました。
AliveCorが提起した独占禁止法訴訟に対して、Appleは「HRRNの方がHRPOよりも精度が高い」と主張して争うを姿勢を示していました。そして、2024年2月には裁判所が「Appleによる心拍数測定アルゴリズムの変更は独占禁止法に抵触していない」とする略式判決を下しました。
新たに、複数の医師は「Appleが心拍数測定機能をHRPOからHRRNとIRNを組み合わせたものに置き換えたことで、心臓の健康状態のモニタリングが困難になった」「Appleの変更により、命を救う可能性のある製品へのアクセスが妨げられた」と主張する意見書を裁判所に提出し、AliveCorが提起した独占禁止法訴訟を継続するように求めました。現時点ではAppleもAliveCorもコメントを出していませんが、医師らの意見書が裁判所に受け入れられれば訴訟が復活する可能性があります。
なお、Apple Watchを巡っては、2024年に血中酸素濃度測定機能の特許侵害を巡ってアメリカ国内でのApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売が停止する事態も発生しています。
Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売がアメリカで再び禁止に、しかしAppleは血中酸素濃度測定機能を削除して販売を継続予定 - GIGAZINE
・関連記事
Apple Watchの心房細動履歴機能をMDDT(医療機器開発)としてFDAが正式に認定 - GIGAZINE
日本のApple Watchユーザーが「心房細動履歴」機能を利用可能に - GIGAZINE
Apple Watch SEはコスト削減のためにオールプラスチックの筐体に切り替える可能性 - GIGAZINE
Apple Watch Series 10は前モデルから4mm大きくなり「より薄く大画面に」進化するとのリーク情報 - GIGAZINE
海で失くしたApple Watchが「探す」機能のおかげで22カ月後に手元へ返ってくる、しかも問題なく動作する模様 - GIGAZINE
・関連コンテンツ