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AmazonでAI研究に携わった元従業員が「出産時に不当な扱いを受けた」「著作権侵害を無視するよう言われた」と訴訟で主張


AI研究者・エンジニアとしてAmazonに勤めていたビビアン・ガデリ氏が、妊娠・出産後に降格させられた上に解雇されたのは不当だとして、Amazonを訴えています。ガデリ氏は訴状の中で、産休を取得しようとしたところ圧力をかけられたことや、AI開発でライバルについていくために著作権侵害があっても無視するよう指示されたことなどを主張しています。

Playing 'Catch-Up in the AI Race,' Panicked Amazon Cast Aside Worker Rights, Suit Alleges | Corporate Counsel
https://www.law.com/corpcounsel/2024/04/18/playing-catch-up-in-the-ai-race-panicked-amazon-mistreated-workers-suit-alleges/?slreturn=20240322231736


Ex-Amazon AI exec claims she was asked to ignore IP law • The Register
https://www.theregister.com/2024/04/22/ghaderi_v_amazon/


Viviane Ghaderi, vs. Amazon.com Services LLC,
(PDFファイル)https://regmedia.co.uk/2024/04/22/ghaderi_v_amazon_et_al.pdf

ガデリ氏は2018年に入社しましたが、2021年2月に別のスタートアップへの就職のため離職。しかし、「優秀さや同僚との関係」が評価されてAmazonに呼び戻され、エンジニアリングマネージャーとしてリサーチャー1人とエンジニア2人を部下に持つ立場になりました。


2022年9月、ガデリ氏は新たに立ち上げられたAlexaのデータ品質とコンプライアンスを調査するチームのリーダーに任命されます。

ちょうどこのころガデリ氏は妊娠中で、2022年11月ごろに出産を予定していました。このため、ガデリ氏は上司であるダニエル・マルク氏との初のミーティングに際して妊娠を報告しました。ガデリ氏は前の上司には妊娠していることを伝えていましたが、マルク氏はその事実を知らなかったようで、妊娠報告に驚いた様子だったとのこと。

そしてマルク氏は「ガデリ氏が産休を取ってもチーム管理を滞りなく行えるように」という理由で、一時的にリーダーをマヘシュ・クリシュナクマール氏に変更し、ガデリ氏をクリシュナクマール氏の下に置く体制に変更しました。

ところが、出産が近づき、2022年11月7日から産休を取得する予定だったガデリ氏に対し、クリシュナクマール氏は休暇取得を遅らせるよう圧力を掛け、結局、ガデリ氏が産休に入ったのは緊急帝王切開を余儀なくされた当日の11月15日からになったそうです。

この出来事の直後、2022年11月30日にOpenAIが「ChatGPT」のテスト版を公開。Amazon社内は大混乱に陥ったとガデリ氏は述べています。

対話向け言語モデル「ChatGPT」発表、間違いを認めたり不適切な要求を拒否したりすることが可能に - GIGAZINE


ガデリ氏は2023年1月に産休から復帰しました。チームメンバーの情報によれば、クリシュナクマール氏はガデリ氏不在の間、ほとんどチームに不在で、いたとしてもチームへの貢献はほとんどなく、仕事は滞っていたとのこと。また、復帰したガデリ氏に対して「私にも幼い娘がいるから、赤ちゃんを抱える女性が大変なのはわかります」「娘さんと一緒に過ごすべき」「新しく母親になったことを楽しむべき」と、差別的で嫌がらせめいた発言をしてきたそうです。

一方で、ガデリ氏が約束されたキャリアパスへの復帰を求めても、上司のマルク氏は拒否し、新たなチームリーダーにはアンドレイ・スティスキン氏が任命されました。マルク氏はガデリ氏に「私が決めることであり、あなたが元の位置に戻ることはない」と告げたとのこと。

スティスキン氏のもと、大規模言語モデルプロジェクトを担当することになったガデリ氏は、著作権ポリシーへの違反があることから法務部への通報を行いました。しかし、法務部門担当者と面会を行ったスティスキン氏はガデリ氏に対して、Alexaの検索品質の改善が目標に到達できておらず、改善のためにはAmazonの著作権ポリシーを無視する必要があると述べたとのこと。この際、「法務部門より上」からの指示があったことをスティスキン氏は示唆し、「ライバルのAI企業も誰もがやっていること」と述べたそうです。

実際、OpenAIやMicrosoftは作家らから著作権侵害で訴えられています。

OpenAIとMicrosoftがAIをめぐる著作権侵害で作家から訴えられる - GIGAZINE


なお、ガデリ氏は2023年3月、人事部に対して元のキャリアに戻れなかったと苦情を申し立てました。一方で、AI部門の幹部に会ったスティスキン氏はガデリ氏をチームから外して降格させると述べ、ガデリ氏に対しては決定についての感想を聞いた上で「どんな気持ち?『(ガデリ氏は)ドイツ人だから何も感じません』って言うかな?」などと言ったそうです。

Amazonの人事部は、スティスキン氏の発言については行動規範を満たさないようなものだと認めたものの、ガデリ氏が主張した妊娠・出産時の差別や報復があったことは認めず、閑職に左遷。異動願いも受け付けず、人事に対して不満を述べたガデリ氏を解雇したとのこと。

訴えに対して、Amazonの広報を担当するモンタナ・マクラクラン氏は「我々は職場での差別やハラスメント、報復を許容しません。そういった行為については調査を行い、ポリシー違反が判明した場合は、当該人物に対して適切な措置を執ります」とコメントしました。

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in メモ, Posted by logc_nt

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