2023年に「ジェイコブ・ヴェスパーズ」という人物がOpenAI保有の投資ファンドの責任者として登録されていたことが明らかに、OpenAIは「そんな人物は存在しない」と否定
2023年4月、カリフォルニア州長官に提出された書類には、OpenAIが運営する投資ファンド「OpenAI Startup Fund」のCEOに「ジェイコブ・トーマス・ヴェスパーズ」という人物が就任したことや、ファンドマネージャーをヴェスパーズ氏が運営する「Vespers Inc.」に変更したことが示されていました。一方でOpenAI側は「この書類は捏造(ねつぞう)されたもので、ジェイコブ・ヴェスパーズという人物は、私たちが知る限り存在しません」と述べています。
OpenAI Startup Fund: GP Hallucination - by Mike
https://www.nongaap.com/p/openai-startup-fund-gp-hallucination
The Person Who Was in Charge of OpenAI's $175 Million Fund Appears to Be Fake
https://futurism.com/the-byte/fake-person-openai-fund
カリフォルニア州では、企業および団体の責任者などが変わった場合、最新情報をカリフォルニア州政府に対して報告する義務があります。2023年4月3日、カリフォルニア州長官に提出された書類で、OpenAI Startup Fundはファンドマネージャーをサム・アルトマン氏からVespers Inc.に変更し、同時にCEOにヴェスパーズ氏が就任したことを報告しました。
また、その後提出された書類には、アメリカ・カリフォルニア州サンタアナのオーチャードという2階建て住宅の234号室がVespers Inc.の住所として示されていました。
しかし、2023年5月24日、OpenAI Startup Fundは「サム・アルトマンがOpenAI Startup Fundのファンドマネージャーである」との記載がある書類をアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出しています。
この出来事を受けて、「OpenAI Startup FundのCEOに就任したヴェスパーズ氏とは誰か」という議論が巻き起こっています。一方でOpenAIの広報担当者であるマダヴ・ダット氏は「カリフォルニア州長官に提出された書類は完全に捏造されたもので、この文書は偽造されたものです」と述べています。
また、OpenAIの広報担当者のカイラ・ウッド氏は「OpenAIは誰が書類を提出したのか把握していません。今回発覚したのは2023年7月にあるジャーナリストがこの件について尋ねたからです」と語りました。その後、OpenAIは2023年8月にカリフォルニア州州務長官に対し、正式にアルトマン氏を責任者とする文書を提出しています。
オーチャードを所有・運営するインテグリティ・ハウジングのポール・キャロルCEOは「どの部屋でも事業が運営されている可能性はほとんどないでしょう」と述べました。一方で、オーチャード234号室は7つの企業の本部として登録されており、これらの企業には「ジェイコブ・トーマス・レドモンド・メッサー」、「ジェイコブ・トーマス・レドモンド」、「ジェイコブ・トーマス・メッサー」など、すべてヴェスパーズ氏にちなんだ名前の従業員が存在することが示されているそうです。
海外メディアのBusiness Insiderによると、「ジェイコブ・トーマス・レドモンド・メッサー」というプロフィール名で行われたGitHubの投稿には、「私はGitHubを扱うのが初めてです。間違った方法があるかもしれないので、事前におわびします」と記載されており、この記述はAIが生成したことを示す兆候とのこと。なお、「ジェイコブ・トーマス・レドモンド・メッサー」は「ニューロイメージング、ブレインコンピューターインターフェース、没入型環境」に取り組んでいる博士課程の学生、またはChatGPTの「コードリボルバー」ツールの開発者であると自称しています。
海外メディアのNongaap Invesitingは、仮にOpenAI Startup Fundが意図的に架空の人物を責任者に据えていた場合、「取引などさまざまな企業の活動を隠ぺいまたは不明瞭にすることが可能で、法廷闘争や責任追及から企業を保護するのに役立ちます」「OpenAI Startup FundがVerspers Inc.に支配権を与えることで、非公開の取引や活動を促進することが可能になるのは間違いありません」と述べています。
なお、カリフォルニア州州務長官は「故意に州内の官公庁に対し、虚偽の文章を提出することは重罪です」と語っています。
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