言語発達に問題がある子どもは脳の決まった部位に異常があることが判明
多くの先行研究を分析した新たな研究により、発達性言語障害を持つ子どもたちは、脳の特定の部位に異常があることが確認されました。この発見は、言語障害の診断と治療の両方を改善する可能性があるとされています。
The neuroanatomy of developmental language disorder: a systematic review and meta-analysis | Nature Human Behaviour
https://www.nature.com/articles/s41562-024-01843-6
Abnormal brain structure identified in children with developmental language problems
https://medicalxpress.com/news/2024-03-abnormal-brain-children-developmental-language.html
ジョージタウン大学神経科学部のマイケル・ウルマン氏らは、言語の様々な側面の発達に影響を及ぼす発達性言語障害について、該当する子どもたちの脳構造を調べた22の論文を分析し、新たな知見を認めました。
ウルマン氏らによると、発達性言語障害がある人の全員に、脳の奥深くにある「大脳基底核」の「前部新線条体」に異常があることが判明したとのこと。
前部新線条体は運動機能と関連している部位であり、今回の研究では言語障害とどのように関係しているのかまでは突き止められていませんが、ウルマン氏らは「さらなる研究を行うことで、障害に対する認識を高める一助になることが期待される」と指摘しています。
ウルマン氏らによれば、今回の研究は、大脳基底核の機能障害が引き起こす運動障害を改善する薬などが、言語障害にも有用である可能性を示しているとのこと。さらに、大脳基底核の異常が発達性言語障害の可能性を示す早期バイオマーカーとなる可能性があり、同様の症状を早期に治療できる可能性があるそうです。
ウルマン氏らは「発達性言語障害の神経生物学的側面、特に大脳基底核の役割をさらに理解するための研究努力を続けることが、これらの問題を抱えている多くの子どもたちを救うことになるかもしれません」と結論づけています。
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