ハードウェア

かつて広く使われていた「フロッピーディスク」についてプログラマーが解説


パーソナルコンピューターなどの情報を記録する磁気ディスク「フロッピーディスク(FD)」は主に1980年代から2000年代半ばにかけて広く使用されました。そんなFDについて、プログラマーのジョナサン・パラント氏が解説しています。

JP's Website · 2023-08-28 · Everything I know about floppy disks
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FDは大きく分けて「8インチ」「5.25インチ」「3.5インチ」の3つのサイズがあります。このほかに「3インチ」「2.5インチ」「2インチ」なども存在していました。


8インチFDは最初に登場したFDで、1970年代初頭に開発されました。樹脂製の薄いディスクを同じく薄い樹脂製ケースで覆っており、ドライブの読み取り・書き込みヘッドはケースの一部に開いた穴からディスクにアクセスしていました。なお、大きさは名前の通り8インチ(約200mm)四方で、容量は登場当初は80KBでしたが、のちの製品には1.6MBのものもあります。


5.25インチFDは、8インチFDをそのまま5.25インチ(約130mm)四方に縮小したような構造で、1976年に初登場しました。小型化によりドライブのコンピューターへの内蔵が可能になり、8インチFDを駆逐することになりました。容量は登場当初は100KB台でしたが、のちの製品では1.2MBのものが出ています。


FDの中で最も普及したのは1980年に登場した3.5インチのもので、外側のケースを硬質素材にしたことで耐久性が向上しました。容量は、1985年に登場した1.44MBのものがスタンダードで、あまり普及しなかったものの2.8MBのものもありました。ドライブがアクセスする部分には可動式のシャッターが設けられていて、手で動かして内部のディスクを確認することができました。


FDには、ディスクの片側にしかアクセスできない、読み取り・書き込みヘッドが1つ存在する「片面ディスク」と、ディスクの両側に1つづつ、合計2つの読み取り・書き込みヘッドを備える「両面ディスク」が存在していました。なお、ディスクを逆さまにドライブに挿入することで、情報が逆方向に記録されるものの、片面ディスクでも裏面を読み取ることができたとのこと。なお、一部の片面ディスクには切り欠きを設けることで、裏面の読み取りを不可能にしている製品もあったそうです。

ほとんどのFDドライブは、中の磁気ディスクを毎分300回転で動作させます。一方で、8インチディスクや一部の5.25インチディスク、3.5インチドライブは毎分360回転で駆動していたとのこと。また、初期のApple Macintoshには、アクセスするトラックに応じて中の磁気ディスクの回転速度を変化させる機構が搭載されていたそうです。

加えてこれらのFDには、書き込みを禁止するための機構が搭載されており、8インチFDは指定位置に穴があると書き込み禁止、穴をふさぐと書き込みが可能だった一方、5.25インチFDは、指定位置に穴があると書き込み可能、穴をふさぐと書き込み禁止でした。なお、3.5インチFDには、プラスチック製のスイッチが搭載されており、このスイッチを動かすことで書き込みの禁止と許可を切り替えることが可能でした。


基本的にFDは、磁気を帯びた中の磁気ディスクが回転することで変化した磁界による電気信号に基づいて動作します。技術が進歩するにつれて、「ビット密度」と呼ばれる、1インチ当たりに保存できる磁界の変化に関する情報の数は次第に増加し、初期の8インチディスクは1インチ当たり約1594ビットを保存可能でしたが、後の3.5インチFDは、1インチ当たり約3万5000ビットを保存できます。

また、8インチFDや5.25インチFDには、「インデックスホール」と呼ばれる穴が開けられており、各セクターの開始を示してデータの読み書きを行うための正確なタイミングを規定していました。しかし、技術の進歩につれ、インデックスホールを搭載しなくても信頼性の高いデータ処理が可能となっています。

データをFDの中の磁気ディスクにエンコードするために、初期のFDでは「周波数変調符号化」と呼ばれる手法が用いられました。なお、その後より複雑な電子機器が必要となるものの、効率化が進んだ「修正周波数変調符号化」が用いられるようになり、周波数変調符号化による書き込みを行ったFDと比較して、データの保存容量を約2倍に向上できるようになりました。


なお、Apple IICommodore製のFDドライブ「Commodore 2040」や「Commodore 1541」では、エンコードに「グループ符号化記録」という手法が用いられたそうです。

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in ハードウェア, Posted by log1r_ut

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