Armが「AI対応自動車の開発を最大2年短縮する」自動運転車用チップ「Arm Automotive Enhanced」を発表
Armが2024年3月13日、自動運転車向けプロセッサ「Arm Automotive Enhanced(AE)」や、自動車メーカーとそのサプライヤーを対象とした新しい開発システム「Arm Compute Subsystem for Automotive」を発表しました。Armはこの取り組みによって「AI対応自動車の開発サイクルを最大2年短縮することが可能」と主張しています。
Arm Announces New Automotive Technologies to Accelerate Development of AI-enabled Vehicles by up to Two Years - Arm Newsroom
https://newsroom.arm.com/news/new-automotive-technologies-2024
Arm unveils first chip design to power self-driving cars
https://www.ft.com/content/e1b7641c-afaa-44ff-9de4-0d82f861a354
Arm reveals most advanced automotive chip designs yet, plus virtual prototypes to speed app development - SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2024/03/13/arm-reveals-advanced-automotive-chip-designs-yet-plus-virtual-prototypes-speed-app-development/
Armが新たに発表した自動車向けプロセッサのAEは、Armv9アーキテクチャを採用したデータセンター向けプロセッサコア「Neoverse」シリーズの自動車向けモデル「Neoverse V3AE」が搭載されています。
Neoverse V3AEを搭載することで、Armの高性能でエネルギー効率に優れたアーキテクチャによるデータセンタークラスのパフォーマンスを利用できるようになるほか、自動車に搭載されるAIやセキュリティ技術が向上します。さらにArmは「AI技術の進歩で加速する先進運転支援システムのさらなる性能向上に役立つでしょう」と述べました。
またArmは、自動車業界向けにカスタマイズされたArmv9アーキテクチャベースの「Cortex-Aプロセッサ」を発表しました。Cortex-Aプロセッサには、幅広いソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)をサポートする柔軟性と持続的な性能を持った「Cortex-A720AE」や、機能安全機能を高め、電力効率に優れた「Cortex-A520AE」、要求の厳しいコンピュータービジョンアプリケーションを快適にサポートする画像処理チップの「Mali-C720AE」などが含まれています。
これらの新しいプロセッサをサポートするために、Armは、最先端のチップ設計に基づいてカスタマイズされたインフラストラクチャを開発するためのエコシステム「Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を自動車業界に拡大した「Arm CSS for Automotive」を展開することを発表しました。
「トータル・デザイン・エコシステム」と呼ばれるCSSは、さまざまなデータセンターのユースケースの基本設計をレイアウトするための事前統合および検証済みのブループリントを使用して、設計をより便利でアクセスしやすい方法に変換することが可能です。そのため、優れた電力効率を備えたカスタムチップを作成できるようになり、開発コストの削減やカスタマイズされたSoCの市場投入までの時間を短縮できるとされています。
Armによると、Arm CSS for Automotiveは2025年から顧客に提供される予定とのことです。
また、Armは車載用チップの設計サイクルについて「従来の開発プロセスは、IPが最初に納品された後、シリコン開発が行われます。そのため、プロトタイプのチップが完成するのは、開発が開始されてから1~2年後です。そして、チップが到着して初めて、ソフトウェア開発者はアプリケーションの構築を開始することができます」と指摘。「今回発表したAEやArm CSS for Automotiveを用いることで、ソフトウェア開発者はチップの到着を待たずにアプリケーションの構築を開始することが可能で、チップが実際に開発された時にはすでに発表の準備が整っているでしょう」と述べています。
Armは「今回の発表は、自動車業界が次世代のSDVに向けた新たな機会を開拓し、市場投入までの時間を短縮し、自動車やトラック、バスがよりインテリジェントになる未来への道を切り開くための重要なステップです」と述べました。
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