ハードウェア

Armが次世代CPUのプレミアムコア「Cortex-X4」や高性能コア「Cortex-A720」を発表、Cortex-X4はピーク性能が15%向上して消費電力も削減


ソフトバンクグループ傘下の半導体設計企業・Armホールディングスが2023年5月29日、Armアーキテクチャの新規IPである「Total Compute Solutions 2023(TCS23)」として、CPUプレミアムコアの「Cortex-X4」や高性能コア「Cortex-A720」、高効率コアの「Cortex-A520」などを発表しました。

TCS23: The complete platform for consumer computing - Announcements - Arm Community blogs - Arm Community
https://community.arm.com/arm-community-blogs/b/announcements/posts/third-generation-total-compute-solutions


Arm Cortex-X4 advances frontiers of CPU performance - Announcements - Arm Community blogs - Arm Community
https://community.arm.com/arm-community-blogs/b/announcements/posts/cortex-x4-cpu-performance

New Arm Cortex-A720 and Cortex-A520 CPUs launched - Announcements - Arm Community blogs - Arm Community
https://community.arm.com/arm-community-blogs/b/announcements/posts/arm-cortex-a720-and-cortex-a520-cpus

Arm announces Cortex-X4 among latest CPU and GPU designs • The Register
https://www.theregister.com/2023/05/29/arm_tcs23/

Arm Unveils 2023 Mobile CPU Core Designs: Cortex-X4, A720, and A520 - the Armv9.2 Family
https://www.anandtech.com/show/18871/arm-unveils-armv92-mobile-architecture-cortex-x4-a720-and-a520-64bit-exclusive

Armは台湾で開催されているコンピューター分野の見本市・COMPUTEX TAIPEIで、ArmアーキテクチャのIPパッケージ・TCSの最新版である「TCS23」の製品群を発表しました。TCSはArmが2021年に初めて発表したIPパッケージであり、それぞれのプロセッサや製品がシームレスに連携するよう設計・最適化されています。

TCSはプロセッサだけでなく、最新バージョンのAndroidに合わせた開発ツールやSoC設計を加速するための物理的な実装サポートも含まれているとのこと。そのため、SoCの設計者は簡単に最新のArmプロセッサを組み合わせてデバイスに搭載し、迅速に市場に投入できるというわけです。


Armアーキテクチャは省電力性が特徴であり、消費電力を抑えることが重要なスマートフォンなどのSoCとして広く採用されています。近年のArmが発表するモバイルCPUには、最も性能が高い「プレミアムコア」、性能と省電力性のバランスが取れた「高性能コア」、そして省電力性に優れた「高効率コア」の3種類があります。TCS23ではCPUのプレミアムコアとして「Cortex-X4」、高性能コアとして「Cortex-A720」、高効率コアとして「Cortex-A520」が発表されました。Armは32ビット命令セットの段階的な廃止を行っており、TCS23ではいずれのCPUも64ビットクラスターとなっています。


プレミアムコアの「Cortex-X4」は前世代の「Cortex-X3」と比較してピーク性能が15%向上しており、電力効率も40%向上しているとのこと。Armは、「すべてのCortex-X CPUと同様に、Cortex-X4は究極のパフォーマンスを実現するように設計されています」「パフォーマンスに加えて、Cortex-X4はこれまでに構築された中で最も効率的なCortex-X CPUコアでもあります」と述べています。

高性能コアの「Cortex-A720」はシステム全体の電力を抑えつつパフォーマンスを発揮するようにマイクロアーキテクチャが改善されており、前世代の「Cortex-A715」と比較して電力効率が20%向上していると説明されています。また、高効率コアの「Cortex-A520」は最小のシリコンフットプリントで最高の電力効率を提供することに注力して開発され、電力効率は前世代の「Cortex-A510」より22%改善されているとのことです。


また、TCS23に含まれているCPUクラスタアーキテクチャである「DSU(DynamIQ Shared Unit)-120」は、シングルコアから14コアまでのスケーラビリティを実現します。これにより、デバイスメーカーはエントリーレベルのスマートフォンからフラッグシップスマートフォン、あるいはプレミアムノートPCまで、幅広いCPUクラスターのデバイスをTCS23で実現できるとのこと。


Armは、TCS22でプレミアムコアが1、高性能コアが3、高効率コアが4の「1+3+4」の構成と、TCS23でそれぞれ「1+5+2」の構成を比較すると、一般的なコンピューティングでのピーク性能が27%向上すると主張。また、ブラウジングエクスペリエンスでは同じ構成で33%性能が向上し、TCS23に最適化されたソフトウェアを組み合わせれば64%性能が向上するそうです。


ArmはTCS23において、第5世代GPUアーキテクチャに基づいたフラッグシップGPU「Immortalis-G720」や、Maliシリーズの新モデルとなる「Mali-G720」と「Mali-G620」も発表しています。Immortalis-G720は10コア以上をサポートし、Mali-G720は6~9コア、Mali-G620は5コア以下をサポートしており、いずれも前世代より15%高い性能やエネルギー効率を実現しているとのこと。


TCS23はワークロードのレイテンシと帯域幅削減を改善するために最適化されており、前世代のTCS22と比較してフレームあたりのDRAM帯域幅を平均30%削減します。帯域幅が小さいことで消費電力も抑えられ、GPUとDRAMの電力消費量を平均20%節約できるとArmは主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Armがハードウェアベースのレイトレーシングが可能なモバイル向けGPU「Immortalis-G715」や第2世代Armv9CPU「Cortex-X3」などを発表 - GIGAZINE

Armの最先端チップ技術はアメリカとイギリスが承認しないため中国に輸出できない、アリババなどのハイテク企業に大打撃 - GIGAZINE

Armが6年以上かけて開発したセキュリティ向上型アーキテクチャ「CHERI」対応のボード「Morello」を発表 - GIGAZINE

ArmのIPを横取りした「Arm China」の元CEOが解任を要求されるもSNSを用いて反抗中 - GIGAZINE

謎の企業が独立宣言やCEO解任などで揺れる「Arm China」の株式の過半数を購入しようとしている - GIGAZINE

ロシアのチップメーカーがArmアーキテクチャへのアクセスをイギリス政府によって禁止される - GIGAZINE

ソフトバンク傘下の半導体企業「Arm」が従業員の15%をリストラ - GIGAZINE

NVIDIAによるソフトバンク傘下の半導体企業Arm買収話がなくなる可能性浮上 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.