メモ

特定の問題を解決するための組織が逆にその問題を長引かせてしまう「シャーキーの法則」とは?


シャーキーの法則」とは、特定の問題を解決するために作られた組織が、存在意義を維持するために問題を生み出すようになったり、他の組織による解決を妨害したり、後発のより良い解決策が登場したときに移行しなかったりすることで本来は解決済みであるはずの問題を逆に長引かせてしまうという法則です。

The Shirky Principle: Institutions Try to Preserve the Problem to Which They Are the Solution – Effectiviology
https://effectiviology.com/shirky-principle/


問題が発生したときに、問題解決のために人を集めたり組織を立ち上げたりすると、問題解決時、集めた人や作った組織の存在意義が失われてしまいます。このため、集めた人や作った組織が、自らの存在意義をかけて、問題を維持する方向に動くことがあります。

たとえば、納税手続きを代行する企業は、本来「難しい納税手続きを簡単に済ませるため」に存在していますが、自分たちの存在意義を強化するため、納税手続きを難しくさせようと政府に働きかける場合があります。


こうした例はさまざまな組織において観察されており、ニュースサイトのHacker Newsへのコメントもあわせて多数の例が述べられました。

コブラ効果
イギリスがインドを統治していた時代に、毒蛇であるコブラへの対策として「コブラの死骸に対して報奨金を支払う」という政策を行いました。市民は政策が開始された当初こそ野生のコブラを狩って報奨金を得ていたものの、一部の市民が営利目的でコブラを繁殖させるようになり、逆にコブラの数が増加してしまったとのこと。

意味のなくなった政策を当局が凍結すると、コブラを繁殖させていた市民は飼うのをやめて野に放ったため、野生のコブラの数は政策開始前よりも増加してしまいました。


同様の事件が1902年にフランス植民地支配下のベトナムのハノイでも発生しています。フランスの当局はラットの数を減らすため、ラットを狩った証拠としてラットの一部を提出することで報奨金を支払うことにしました。ところが市民はラットを捕まえた証拠として尻尾を切り落としたあと駆除せず、繁殖させようとしてラットを逃がしてしまいました。

非営利団体
非営利団体やNGOでキャリアを積み重ねてきた人は「この現象は不快なほど真実に思える」とコメントしました。多くの非営利団体にとって、問題の恒久的な解決策になりたいという誘惑は非常に強力であり、「ホームレス対策」などの支援が巨大な非営利団体に完全に食い尽くされる状況が発生するとのこと。


画期的な解決策を思いついた物理学者
中規模のIT企業において50人規模で技術研究レベルの問題を解決しようとしている際に、その企業に勤めていた物理学者がシンプルかつ効果的な解決策を発見しました。物理学者はみんなが喜ぶだろうとマネージャーに報告しに行きましたが、マネージャーとトラブルが多発するようになりその後解雇されてしまったとのこと。

大きな組織で効果的な変化をもたらすコツ
変化に最も強く抵抗するのは変化後の自分の仕事がどうなるのかについて見通しが立っていない人々です。こうした人々は変化を自分の仕事に対する存続リスクだと認識するため、変化を妨害しようとあらゆる手段を講じるようになってしまうとのこと。

恐竜の化石
イギリスはかつて中国から恐竜の化石を購入していました。しかし、取引は「個数」ごとに料金を払う形式で行われたため、事前に標本を砕いて分割した方がはるかに収益性が高まりました。

また、プラスチックごみを集めたら報酬として魚を与えるという形式でイルカを訓練したところ、イルカはより多くの魚をもらうためにプラスチックごみを細かく引き裂くようになったという事例が述べられています。

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in メモ, Posted by log1d_ts

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