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サイエンス

ハチの巣を原料にした素材が使い捨てプラスチックの代替品になるかもしれない

by Jean and Fred

プラスチックは安価で軽量な上、耐久力にも優れた素材として生活の至る所で使用されています。一方で、プラスチックは一度ゴミになると何百年もの間分解されずに残ってしまうため、プラスチックゴミによる環境汚染問題も深刻になっているのが現状です。そんな中、ニュージーランドのバイオテクノロジーベンチャーである「Humble Bee」は、オーストラリアに生息するハナバチの1種が作る巣からプラスチックの代替品となる原料を作り出し、プラスチック問題を解決しようとしています。

Humble Bee: How New Zealand's forward-thinking biotech company is helping disrupt the plastics industry
https://www.smh.com.au/national/this-humble-australian-bee-is-helping-to-disrupt-the-plastics-industry-20180530-p4zic7.html

How a humble Australian bee could help the world's plastic problem - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
http://www.abc.net.au/news/2018-08-07/australian-native-bees-help-worlds-plastic-pollution/10025664

プラスチックは非常に便利な素材ですが、近年では世界的にプラスチックゴミの問題が大きく取り上げられており、海に投棄されるマイクロプラスチックが生物に与える影響が心配されています。インドの首都デリーでは使い捨てプラスチック製品の利用が全面的に禁止され、スターバックスプラスチック製のストローを2020年までに廃止すると発表するなど、プラスチックに対する規制の動きも強くなってきているようです。

そこで、バイオテクノロジーベンチャーであるHumble Beeはプラスチック問題を解決するために、オーストラリアに生息するHylaeus alcyoneusというハチに目を付けました。Hylaeus alcyoneusは黄色い独特の模様を持っていることで知られていますが、毒性がなく、耐水性を持ち火や熱にも強い巣を作るとのこと。そんなHylaeus alcyoneusが作り出す巣の原料を使用した素材を開発し、プラスチックの代替品として利用しようとHumble Beeは計画しています。

Humble BeeのCEOであるヴェロニカ・スティーブンスン氏は、「プラスチックの粒子や化学物質は、世界中の生態系にまで影響を及ぼし始めており、今や胎児の血液から北極の海にまで広がっています」と述べ、プラスチック問題は非常に恐ろしいものだとしています。スティーブンスン氏によれば、Hylaeus alcyoneusの巣に使われている素材はセロファンと似ており、プラスチックの代替になる可能性があるとのこと。

by quoll2

ニュージーランドでは十分な数のHylaeus alcyoneusを集めることができなかったため、オーストラリアのクイーンズランド州まで行ってHylaeus alcyoneusを集めたとスティーブンスン氏は語っています。その後、スティーブンスン氏はビクトリア大学フェリアー研究所と共同で、多くのスタートアップが集まるウェリントンで事業をスタートしました。

Humble Beeは第1回目の投資ラウンドで16万NZドル(約1170万円)を調達し、SparkboxGo Global Day OneNZVIFといった投資ファンドからの支援を受けています。第2回の投資ラウンドでは50万NZドル(約3700万円)の調達を目標にしているとのことで、ニュージーランドの革新的な企業への支援を行う政府機関のCallaghan Innovationからも、12万NZドル(約880万円)の支援を取り付けているそうです。

by Nick Kidd

「プラスチックの廃棄を減らそうという動きが世界的に活発になっていますが、プラスチックが私たちの生活にとって欠かせない役割を果たしている以上、完全にプラスチックの使用を止めることはできません」として、スティーブンスン氏はプラスチックの使用を止める以外の方法で、プラスチックゴミの問題に対処するべきだと語りました。

スティーブンスン氏によれば、Hylaeus alcyoneusの巣を用いた素材は、多くの産業がプラスチックに求めている重要な性質を持っているため、プラスチックの代替品として置き換えることが可能だとのこと。また、ハチの巣を由来にした素材は生分解性を持っており、使い終わってから廃棄してもプラスチックのように長い間残り続けることもありません。「開発は初期段階ですが、すでに製造技術の面まで開発を進めています」とスティーブンスン氏は述べており、5年以内に素材を販売する準備を整えたいとしています。

by Edinburgh Greens

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik