貧乏だとかえって高くつくものリスト
経済的に余裕がない人は物を買う時に節約をしなければなりませんが、例えば「安物買いの銭失い」という言葉があるように、貧乏なせいでかえって多くの支出がかかるということがよくあります。こうした「アメリカで貧乏であることの代償」を、アメリカ在住のビジネスライターであるクレイグ・ランデス氏がリストにまとめました。
The Cost of Being Poor: Why It Costs So Much to Be Poor in America
https://finmasters.com/cost-of-being-poor/
「貧乏なほど割高なもの」を、ランデス氏は以下の8つに分類しました。
◆1:住まい
住宅ローンを組んで持ち家を買えれば、月々の支払いが自分の財産になるので賃貸住宅に比べて有利ですが、貧乏だと持ち家も高く付きます。その理由は大きく分けて「低所得者ほどローンの金利が高い」「低予算で買った家は状態が悪いので、維持費がかさむ」という2点に分けることができます。
そのため、多くの低所得者はマイホームを持っていません。2010年から2017年の間、年収が3万ドル(約395万円)以下の家庭の持ち家率は36%だったとのこと。つまり、残りの64%は賃貸か、さもなければホームレスを選択せざるを得なかったことになります。
しかし、低所得者は賃貸暮らしも楽ではありません。ランデス氏が住むニューメキシコ州アルバカーキでは、ワンルームマンションの家賃は595ドル(約7万8000円)ですが、前払い分の家賃と保証金として1800ドル(約23万8000円)払わなければならないとのこと。もし所得が不安定で信用が低い場合は、保証金の額はさらに跳ね上がることになります。
◆2:食べ物
食費もかさみますが、そこにはいくつもの理由が絡んでいます。そのうちの1つが、安い大型店へのアクセスです。低所得層は、大型店に行くための交通手段がないので、近所のコンビニエンスストアで割高な買い物をしたり、ファストフードで済ませたりするしかありません。
例えば、ミネソタ州で実施された物価の調査によると、大型店で白米を購入すると16オンス(2カップ)当たり1.35ドル(約178円)だったのに対し、小型店では2.02ドル(約266円)と、50%も割高だったとのことです。
また、まとめ買いができないことや、家にまともな台所がなくて外食で済ませなければならないといった理由でも、食費はかさんでいってしまいます。
3:移動手段
通勤や子どもの送迎、買い物など交通手段は日常生活には欠かせませんが、低所得者は自家用車を購入できません。また、アメリカは公共交通機関も限られているため、車を買えず公共交通機関にもアクセスできない人は、タクシーやUberに頼ることになり、交通費は高く付きます。
もし無理をして自家用車を購入しても、低所得者はカーローンの金利が高く、燃費が悪くてメンテナンス費もかさむ中古車を買わざるを得ず、信用度が低いので自動車保険も割高になるという具合に、貧乏な人ほど車の維持費が高くなってしまいます。
4:健康
貧乏であることが不健康につながることは想像に難くありません。貧困層が住む地域は空気が悪く不潔で、安いアパートはカビやほこりまみれです。また、低所得者は健康的な食事ができず、ストレスが多かったり危険だったりする仕事に就かなければならない可能性が高くなります。
日本は国民皆保険制度をとっているため、基本的にほぼ全員が健康保険に入っていますが、アメリカはそうではないので、生活に余裕がない人は無保険か、保険に加入していても保障が不十分です。
加えて、低所得者は予防医療へのアクセスも限られます。代表的なのが歯科で、標準的な歯科検診と清掃は150~300ドル(約2万~4万円)ですが、これを支払えずに虫歯になると、詰め物に最大で600ドル(約8万円)、歯の根を治す「根管治療」に最大1000ドル(約13万円)を払うはめになってしまいます。
◆5:金融サービス
低所得者が住宅ローンや自動車ローンに苦しめられているのは前述したとおりですが、これはあらゆるローンやカードキャッシングにもあてはまります。特に、予期せぬ出費で借金を抱えてしまうと、その利息が後々まで重くのしかかってきます。
◆6:育児
もしお金に余裕がなくて小さな子どもの保育料が支払えなければ、両親のうち片方が仕事を辞めなければならなくなり、世帯収入は一層減少してしまいます。もしこれが一人親世帯の場合は公的扶助に頼ることになり、キャリアを積む機会を失う可能性もあります。
7:通信費
インターネットはもはや現代社会の必需品となりつつあり、電子メールや電話が使えなければ仕事探しもままなりません。高所得者の場合はスマートフォンの機種も通信プランもよりどりみどりで、自宅にもブロードバンド回線とWi-Fiルーターを完備させることができますが、お金に余裕がない人は従量制のプランに加入して、モバイルデータで通信しなければならないかもしれません。また、もしWi-Fiを使うためだけにコーヒーショップに入った場合は、通信費としてドリンク代が計上されることになります。
8:税金
富裕層は所得税が高くなるという話をよく聞きますが、税金は所得税だけではありません。地方税や消費税を考慮すると結局は貧しい人が最も多く税金を支払うことになります。例えば、アメリカの10の州では低所得者の所得に対する税負担の割合が富裕層の6倍とのこと。また、50ある州のうち45の州では、税金を払う前より払った後の方が所得の不平等が大きいことも分かっています。
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