メモ

「高所得な人が結婚相手に高所得なパートナーを選ぶ傾向」が貧富の差を拡大しているという主張


高所得者層と低所得者層の間で経済・衛生・教育など多くの面で差がついてしまう格差社会化は、先進国を中心にますます進んでおり、問題となっています。格差が拡大するさまざまな理由が考えられる中、海外ニュースメディアのQuartzが「高所得な人が同じく高所得な人を結婚相手に選ぶ傾向」を理由の1つとして挙げています。

High-income people in the US keep marrying each other — Quartz at Work
https://qz.com/work/1812980/high-income-people-in-the-us-keep-marrying-each-other/


2018年のアメリカ国税調査局のデータによれば、アメリカの国内総所得(GNI)の約52%が、年所得13万ドル(約1300万円)を超える所得上位20%の世帯によってもたらされているとのこと。また、年所得が24万8729ドル(約2580万円)を超える所得上位5%の世帯が占めるGNIのシェアは23%で、これは50年でおよそ7ポイントも増加しているそうです。

このデータは、アメリカ国内での貧富の差が拡大していることを如実に表しています。貧富の格差が拡大している理由には「税制の機能不全」「中流階級の空洞化」「大学を含めた教育費の高騰」などがあると議論されていますが、Quartzは「アメリカ人の結婚の傾向にも格差社会化の理由が見いだせる」と指摘しています。


アメリカ国税調査局のデータを分析したところ、1960年に夫婦で所得上位20%の層に属していたのはわずか0.4%に過ぎなかったのが、2018年には7.4%に達してました。

以下が、1960年から2018年まで、夫婦のどちらも所得上位20%に属している割合の推移を示したグラフです。Quartzによれば、もし所得とは関係なく無作為に結婚した場合、その数字はおよそ4%になるとのことで、所得が高い者は同程度に所得が高い者と結婚する傾向が強まっているといえます。


所得が高い者同士が結婚する傾向が強まっている理由として、Quartzは「女性の社会進出」が大きいと主張しています。

昔は「男性が社会に出て働き、女性は家事を行うもの」という偏見が強くあったため、「高所得な男性と低所得な女性」の夫婦がほとんどでした。しかし、現代では男女で平等な雇用機会が提唱され、「25歳から54歳までの女性の75%以上が何かしらの職に就いている」ことがわかっています。女性の社会進出と共に、高所得の女性が高所得の男性と結婚する割合は高くなっており、1960年に所得上位10%の女性が同年齢・同所得層の男性と結婚した割合は11%でしたが、2018年には約25%にまで上昇しています。


高所得者同士で結婚する割合が高くなっている理由の1つとして、Quartzは「大学教育と世帯収入の相関関係」を指摘しています。2014年に発表された研究で、2000年代に大学を卒業した人は、自分と同じく大学を卒業した人と結婚する確率が高いことがわかっています。

一方で、大学を卒業することと収入の高さには強い相関関係があるため、「教育レベルが高くて裕福なカップル」が生まれやすいといえます。さらに、高収入同士が結婚して子どもが生まれると、その子どもも高いレベルの教育を受けることができるため、子どもの時から格差が大きくついてしまうというわけです。ブルッキングス研究所の研究員であるリチャード・リーブス氏とジョアンナ・ベネター氏は「収入の多い男女が夫婦となり、その子どもが高所得者となることで、世代を超えてさらなる格差社会化が進みます」と指摘しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
格差が大きい国の人ほどキスをすることが6大陸にわたる調査で判明 - GIGAZINE

女性研究者の減少は「性差別」だけではないという主張 - GIGAZINE

トップ1%の収入は下位50%より100倍速く増えていることが調査から明らかに、その勢いを可視化するとこんな感じ - GIGAZINE

男性の科学者は女性の科学者よりも自分の研究内容を「すばらしい」と自画自賛しがち - GIGAZINE

夫は妻の収入が世帯収入の40%を上回ると苦痛を感じることが判明 - GIGAZINE

「富の不平等は必然的に生じる」と数理モデルで証明可能 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.