サイエンス

「殺人スズメバチ」に襲われたミツバチは激しい「悲鳴」を上げる


哺乳類や鳥類は敵がやってきたときに仲間に対して警戒の鳴き声を上げることがありますが、ミツバチもまた、オオスズメバチ(Murder Hornets/殺人スズメバチ)に反応して激しい悲鳴を上げることが調査からわかりました。

Giant hornet (Vespa soror) attacks trigger frenetic antipredator signalling in honeybee (Apis cerana) colonies | Royal Society Open Science
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.211215

When Murder Hornets Attack, Bees Start Heartbreaking 'Shrieks' to Warn The Colony
https://www.sciencealert.com/scientists-describe-a-new-honeybee-signal-that-warns-the-colony-of-murder-hornets

Bees 'shriek' when attacked by giant cousins of 'murder hornets' | Live Science
https://www.livescience.com/bees-shriek-when-hornets-attack


オオスズメバチは集団でミツバチの巣を襲い、成虫を殺して、幼虫を自分たちの巣にいる若いオオスズメバチの餌にすることで知られています。

アメリカ・マサチューセッツ州にあるウェルズリー大学で生物科学を研究するHeather Mattila准教授は、もともとベトナムでミツバチが持つ「動物のふんでオオスズメバチを遠ざける」という防御行動について調査していました。

ミツバチは「動物の糞」を巣の周りに塗ってスズメバチから身を守ることが判明 - GIGAZINE


ある日、Mattila准教授は巣の近くでミツバチのノイズが大きくなったことに気づきました。Mattila准教授は同僚と話をする中で「オオスズメバチが現れた時、あるいは去った直後に、ミツバチのノイズが大きくなる」という可能性について考え始めたとのこと。

上記の仮説について検証するため、研究者たちは2013年8月下旬から10月にかけて、3つの養蜂場のコロニーで巣箱の映像を撮影するとともにミツバチの音声を録音しました。そして、オーディオを視覚化するツールを使い、ミツバチの出す音をカタログ化。最後にミツバチの出す音を、巣の外にいるオオスズメバチなどの天敵の活動と照合し、特定の音のパターンと天敵の活動とを関連付けることができるかを調べたとのことです。この結果、ツマアカスズメバチといった他のスズメバチに比べ、オオスズメバチが現れた時のミツバチはより大きく激しい「悲鳴」を上げることが示されました。

基本的にミツバチは天敵が現れなくとも「シュー」という音を立てていますが、オオスズメバチが現れると音が大きくなり不協和音が生まれたと研究者は記しています。また、オオスズメバチが巣の近くにやってきた時に立てる特定の音も存在し、規則的なパターンを持たないものの、何度も繰り返されるという特徴を持ちます。この音は周波数が急激に変化するため、全体的に「耳障りなノイズ」になる傾向があるとのことです。

また研究者がミツバチを襲うオオスズメバチが使う「匂い」を染み込ませた紙を利用してミツバチの行動を観察したところ、同様に悲鳴が発生したそうです。ただし、捕食者に対するミツバチの「悲鳴」が持つ役割について理解するには、さらなる調査が必要だとされています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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