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Metaが従業員を大量解雇してAIに置き換えようとした「Project OT」はいかにして頓挫したのか?


Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが、2026年に「大量の従業員を解雇・再配置してAIに置き換える」という計画を実行する予定だったと、海外メディアのロイターが報じました。ロイターは「Project OT」というコードネームで呼ばれたこの計画が生まれた経緯や、計画が漏れたことによる社内での反発、そして計画が頓挫するまでの流れについてまとめています。

Mark Zuckerberg had a bold plan to replace Meta staff with AI. Here’s how it imploded. | Reuters
https://www.reuters.com/investigations/mark-zuckerberg-had-bold-plan-replace-meta-staff-with-ai-heres-how-it-imploded-2026-08-26/

2022年末にChatGPTがリリースされて以来、シリコンバレーの経営幹部らは生成AIが働き方にもたらす可能性に着目しており、近年では自律的にさまざまなタスクを実行する「AIエージェント」が注目を集めています。近年はMetaの経営陣も、AIツールとAIエージェントを連携してワークフローを自動化し、プロセスの中核にAIを組み込む「AIネイティブ」という経営理念に触発されたとのこと。


2025年にはMetaの最高データ責任者であるアレックス・シュルツ氏や製品責任者のナオミ・グライト氏を含む幹部らがアジアを訪問し、スタートアップがAI中心で組織を構築していることに感銘を受けたそうです。幹部らはAIスタートアップの組織構造に関する独自の調査を依頼し、「AIネイティブ」の可能性を判断するためのパイロットプロジェクトを立ち上げたと、社内の事情に詳しい関係者がロイターに語っています。

そしてザッカーバーグ氏や一部の側近らは2026年1月、ハワイにある別荘で合宿を行い、MetaをよりAIネイティブにする「Project OT」を練り上げました。ロイターが入手した内部文書や関係者によると、Project OTは数千人以上の従業員が行っている仕事をAIに引き継ぎ、多くの社内チームの規模を最大60%削減するシナリオも検討されていたとのこと。

Project OTによる組織再編は2段階に分けて実施される予定で、2026年5月に最初の人員削減が行われ、11月に2回目の大規模人員削減が行われる計画でした。これには単純な解雇だけでなく、空席となっているポストの閉鎖や新しい部署への配置転換などが含まれており、ある人事担当幹部は人員削減の規模が25%以上になると予測していました。


Project OTの計画に前後して、Meta内部では製品開発にAIを組み込むためのプログラムも開始されました。2025年7月には製品管理マネジメント担当副社長のイーメイ・アーチボン氏主導のパイロットプロジェクトで、10~20人からなる従来のチームに代わり、メンバー全員がAIツールを使って短期間で製品プロトタイプの構築を目指す、2~3人のエンジニアと1人のデザイナーからなる「小型技術ポッド(ポッド)」が作られました。

アーチボン氏のチームが投稿した「AI-Native Playbook(AIネイティブプレイブック)」と題した社内投稿では、ポッドではプロダクトデザイナーやエンジニアといった従来の役割が廃止されると記されています。メンバーには「ビルダー」という新しい肩書きが与えられ、全員を管理する「ポッドリーダー」という単一の管理職が置かれるとのこと。

2026年初めにザッカーバーグ氏らが「Project OT」を始動すると、経営体制の変更を進めるように指示が下され、6月までにエンジニアリングチームや研究チームを含む少なくとも11の部署がポッド体制を導入しました。しかし、ポッドリーダーには業績評価などの正式な管理権限が持たされておらず、十分なマネージャー研修も行われていなかったそうで、従業員からは困惑の声が上がっていたと報じられています。

そんな中、3月にはヴァイスプレジデント級の多くの幹部がProject OTの説明を受ける前に、ロイターが「Metaが従業員の最大20%の解雇を計画している」と報道しました。この報道は多くの一般社員に多くの不安を引き起こしましたが、幹部らも反発への備えができていなかったため、一般社員との話し合いを拒否するしかなかったとのこと。

Metaは従業員の最大20%の解雇を計画、AIコスト増大を受け - GIGAZINE


そして4月には、ロイターが「2025年5月に全従業員の10%に相当する約8000人が解雇される」とさらに詳しい内容を報じました。この段階でザッカーバーグ氏も解雇計画を正式に発表し、従業員に対して人員削減は多額の設備投資のためだと説明しました。

InstagramとFacebookを運営するMetaが8000人の解雇を計画中との報道、2026年の大規模解雇計画の第一波 - GIGAZINE


5月の解雇計画を進める一方で、Metaは一部のエンジニアを「応用AIエンジニアリング部門」に配置転換して、AIモデルのコーディング能力を向上させるためのトレーニングデータとして使うパズルを作成する仕事に割り当てました。

また、4月下旬には従業員のマウスの動きやキーストロークを収集し、AIのトレーニングデータとして活用する取り組みがスタートしました。

Metaが従業員のマウスの動きやキーストロークをAIトレーニングデータとして収集開始 - GIGAZINE


従業員のデータでAIをトレーニングするという取り組みにより、従業員からは「自分の代替要因となるAIのトレーニングに利用されている」との疑いが広まりました。さらに、解雇計画の詳細が明らかにされないことへのいらだちも相まって、Metaの社内コミュニケーションツールである「Workplace」に怒りの長文や自虐が殺到する事態とがりました。一連の出来事を受けて従業員の士気は低下しており、半年に一度の従業員意識調査では、Metaの従業員満足度は前回の74%から55%へと一気に低下しました。

また、他の内部データではProject OTの中核となるAIが期待通りの成果を上げていないことも示されました。内部文書では、従業員による生成AIの利用によって生産されるコード量は大幅に増加したものの、実際の生産性増加は疑わしいことが記されています。ある社内投稿によると、従業員が使用する内部ソフトウェアプラットフォームとインフラストラクチャに加えられたコード変更は前年比で220%増加した一方、新しい機能やアップグレードにつながる変更はわずか36%の増加にとどまったとのこと。

3月の時点ではインフラチームから「AIコーディングの増加による信頼性に関する警告」が発されたほか、4月には「制御されていないAIエージェントによる、人間では実行する可能性が低い大規模で破壊的な活動」が報告されています。これらの問題の結果、サービスの中断やデータ漏えいの可能性といった重大な技術的・セキュリティ的なインシデントが前年比で40%増加し、スタッフが問題解決に費やす時間は70%増えました。

さらに6月には、ハッカーがMeta AIのサポートチャットボットを騙し、有名人のInstagramアカウントを盗むことに成功したことが報じられました。乗っ取られたInstagramアカウントには、バラク・オバマ元大統領のホワイトハウスアカウントと宇宙軍最上級曹長のアカウントも含まれます。

ハッカーがMeta AIのサポートチャットボットを騙して有名人のInstagramアカウントを盗む - GIGAZINE


社内からのプレッシャーが高まる中で、ザッカーバーグ氏らは5月の人員削減を実施する数時間前に側近と協議し、11月に予定されていた2回目の人員削減を中止することを決定。5月の人員削減は実施されたものの、残りの従業員に対しては「今年は会社全体でのさらなる解雇は予定していない」と伝えました。

また、経営陣は従業員の士気回復に努めており、AIトレーニングのためのマウス追跡プログラムを一時停止したほか、新説した応用AIエンジニアリング部門の一部従業員を元のチームに戻しました。さらにWorkplaceには経営陣から共感を示す投稿が相次いで書き込まれたほか、オフィス内のミニキッチンにある軽食の質の向上、出張や懇親会への支出増額を約束する内容も投稿されたそうです。

ザッカーバーグ氏は7月の社内ミーティングに参加して、大規模組織再編がうまくいっていないことを認め、「少なくとも過去4カ月間のAIエージェント開発の進歩は、我々が期待していたほど加速していません」と語りました。

「AIエージェントの進歩は期待していたほど速くなかった」とMetaのマーク・ザッカーバーグCEOが語る - GIGAZINE


しかし、ザッカーバーグ氏は従業員とのコミュニケーションで人員削減について語る際、「全社的」「今年は」といった言葉を用いています。そのため、一部の従業員はチームごとに個別の人員削減が行われる可能性や、2027年に再び大規模解雇が実施されることを懸念しているとのことです。

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in AI, Posted by log1h_ik

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