ハードウェア

低品質なNANDフラッシュメモリが出回りUSBメモリとmicroSDカードの品質が下がっているという報告


ドイツのデータ復旧会社であるCBLが、microSDカードやUSBメモリの品質が低下しているという調査結果を発表しました。その原因はメーカーが品質管理の段階で廃棄したNANDフラッシュメモリが横流しされ、流用されているケースが増えているからだとのことです。

Unzuverlässige Flash-Speicher - CBL Datenrettung
https://www.cbltech.de/pressezentrum/unzuverlaessige-flash-speicher

Report reveals decline in quality of USB sticks and microSD Cards | TechSpot
https://www.techspot.com/news/101774-report-reveals-decline-quality-usb-sticks-microsd-cards.html

CBLによると、ハイニックスやSamsung、SanDiskなどといった信頼性の高いメーカーから、品質管理に失敗したNANDフラッシュメモリが転売され、再利用されているケースが増えているとのこと。こうしたNANDフラッシュメモリは使用可能ではあるものの、メモリの記憶容量は当初よりも減ってしまっているそうです。

CBLのマネージングディレクターであるコンラッド・ハイニッケ氏は「2023年に不良品のUSBメモリを分解したところ、容量が減少し、メーカーのロゴが削除された粗悪なNANDフラッシュメモリが驚くほどたくさん見つかりました」と報告しています。


以下はUSBメモリとそれに搭載されていたNANDフラッシュメモリの写真で、NANDフラッシュメモリには研磨のような跡があり、ラベルがすべて削除されています。


また、明らかに廃棄済みで認識できないmicroSDカードがUSBメモリにはんだ付けされ、microSDカードの内部コントローラーではなく、USBメモリの基板上にある外部コントローラーで管理されているケースもありました。


ハイニッケ氏によれば、CBLで調査した粗悪なUSBメモリのほとんどが、製品に付属していたり企業がカンファレンスで無料配布していたりするような販促品だったとのこと。しかし、中には一般市場で販売されているようなブランド品のUSBメモリもあったそうです。

さらにCBLは、安価なNANDフラッシュメモリの信頼性はストレージ密度を優先しているために低いと主張しています。NANDフラッシュは、もともと1ビットのみを記憶できるシングルレベルセル(SLC)で構成されていました。そのため、コントローラーは2つの電圧レベルを区別できれば問題なかったとのこと。しかし、安価なNANDフラッシュメモリでは、1つのセルに4ビット/16値を格納できるクアッドレベルセル(QLC)が主流です。CBLは、QLCによってストレージ密度こそ向上しているものの、書き込み可能性とストレージ容量、すなわち耐久性と保持性は低下していると主張しています。

安価なNANDフラッシュメモリでは可能な読み出し/書き込みサイクルの最大数が減少している上に、古いNANDフラッシュメモリでは絶縁層が経年劣化することで電荷の差を読み出せなくなるリスクが高まります。ハイニッケ氏は「メーカーのロゴが削除されたような正体不明のNANDフラッシュメモリでデータが消えてしまっても、その復元は簡単ではありません」と述べ、安価なUSBメモリやmicroSDカードを過度に信頼すべきではないと警告しています。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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