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Huaweiの「Mate 60 Pro」に韓国のSKハイニックス製メモリが搭載されていることが判明、半導体輸出規制の有効性に疑問符

by Web Summit

Huaweiは2023年8月30日に記事作成時点で最新のスマートフォンである「Mate 60 Pro」を発表し、アメリカ主導の厳しい半導体技術の輸出規制にもかかわらず中国の半導体メーカー・SMIC製の7nmプロセスの5Gチップを搭載していることで世界を驚かせました。そんなMate 60 Proに韓国の大手半導体メーカーであるSKハイニックス製のメモリやフラッシュストレージなどが搭載されていることが判明し、SKハイニックスが調査を開始したと報じられています。

SK Hynix Investigating Use of Its Chips in New Huawei Phone - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-09-07/sk-hynix-investigating-use-of-its-chips-in-latest-huawei-phone


SK hynix opens probe into use of its chips in Huawei's new phone - The Korea Times
https://www.koreatimes.co.kr/www/tech/2023/09/129_358709.html

What US Sanctions? Huawei Mate 60 Pro Launches With Korean Memory Chip | PCMag
https://www.pcmag.com/news/what-us-sanctions-huawei-mate-60-pro-launches-with-korean-memory-chip

SK hynix Investigates Sanctions-Breaking 'Ghost RAM' In Huawei Phone | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/sk-hynix-digs-deep-into-sanctions-breaking-ghost-ram-in-huawei-phone

Huaweiが発表した最新スマートフォンのMate 60 Proは、電子機器の技術分析やコンサルティングを手がけるTechInsightsによる調査の結果、SMICの7nmプロセスで製造されたものであると結論付けられています。厳しい半導体技術の輸出規制が行われているにもかかわらず、中国が独自の7nmプロセスチップを開発したことは大きな衝撃を与えました。海外メディアのBloombergは、「中国の最先端技術へのアクセスを阻止しようとするアメリカ主導の世界的キャンペーンの有効性に疑問を投げかけるものです」と指摘しています。

Huawei最新スマホ「Mate 60 Pro」は7nmプロセスの5Gチップを搭載していることが判明、中国はアメリカ主導の厳しい輸出規制の回避に成功か - GIGAZINE


新たにTechInsightsの分析から、Mate 60 Proには韓国のSKハイニックス製の176層4D NANDフラッシュストレージや、LPDDR5規格対応のメモリが搭載されていることが判明しました。なお、LPDDR5メモリは「ゴーストRAM」と呼ばれ、その仕様は不明だそうです。

Mate 60 Proに搭載されている部品のほとんどは中国のサプライヤーによって提供されており、SKハイニックスの部品は例外的だとTechInsightsは報告しています。

SKハイニックスはBloombergや韓国の英字紙であるコリアタイムスへの声明で、「SKハイニックスはアメリカによるHuaweiへの規制導入以降、Huaweiとの取引を停止しており、この問題について詳細を知るために調査を開始しました。また、SKハイニックスはアメリカ政府の輸出規制を厳守しています」と述べ、事態の解明に乗り出したことを明かしました。


TechInsightsのサービスディレクターであるウェイン・ラム氏は、テクノロジー系メディア・PCMagへの電子メールで、SKハイニックス製の部品は幅広いベンダーによって取引されているため、Huaweiが入手するのはそれほど難しいことではないと述べています。TechInsightsはさらに続けて、「したがって、SKハイニックスの部品はHuaweiがデバイスで使用する前に多くのベンダーを通過した可能性があります。中国のエレクトロニクス産業は非常に大きいため、意図しない最終顧客にこの種の部品が流出するのは珍しいことではなく、このようなことを防ぐのは非常に困難です」とコメントしました。

また、Bloombergやテクノロジー系メディアのTom's Hardwareはひとつの可能性として、「Huaweiはアメリカの輸出規制が導入される前にSKハイニックス製メモリやフラッシュストレージの在庫を備蓄していた」という説を挙げています。

BloombergやPCMagはHuaweiにコメントを要請しましたが、Huaweiは応じなかったとのことです。

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