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中国の半導体メーカー「SMIC」がIntelすら苦戦した7nmチップを大量生産し世界第3位相当のファウンドリへ急成長している実態が判明

by SMIC

調査会社・TechInsightsが、中国の半導体メーカー・SMICの7nmプロセスルールのチップ生産を報告しています。すでにTSMCは2022年4月にSamsungは2022年7月に、それぞれ3nmプロセス製品の生産体制に入ったことが報じられているので7nmプロセスの生産は驚くほどのことではないように思えますが、この発見の画期的な部分は、アメリカ商務省が14nmプロセスより高度な技術に利用可能な機器の中国への輸出を制限しているにもかかわらず、SMICが7nmプロセスの製品を製造した事実にあります。

Disruptive Technology: 7nm SMIC MinerVa Bitcoin Miner | TechInsights
https://www.techinsights.com/blog/disruptive-technology-7nm-smic-minerva-bitcoin-miner


China’s SMIC Is Shipping 7nm Foundry ASICs - by Dylan Patel
https://semianalysis.substack.com/p/chinas-smic-is-shipping-7nm-foundry

China's SMIC Shipping 7nm Chips, Reportedly Copied TSMC's Tech | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/china-chipmaker-smics-7nm-process-is-reportedly-copied-from-tsmc-tech

7nmプロセスチップの製造はSMICが公式に発表しているものではなく、Techinsightsが市販のチップをラボで分解して得た情報です。製造しているのはビットコインマイナー向けのSoCで、2021年7月から出荷されているとのこと。そして分析によれば、SMICの7nmプロセスチップは台湾の大手半導体メーカー・TSMCのものをコピーした可能性があるとのこと。TSMCは2002年と2006年にも技術をコピーしたとしてSMICを訴えた過去があります。


問題はTSMC製品をコピーしたかどうかだけではなく、アメリカ商務省が14nmプロセスより高度なプロセスルールの半導体を生産する際に必要となる機器の中国向け輸出を制限している点にもあります。微細化されたプロセスルールの半導体生産には最新のEUVリソグラフィ装置などが必要とされていますが、Techinsightsの分析では、SMICはEUVリソグラフィ装置に頼らず既存の機器を用いて7nmプロセス製品を生産しているとみられます。最新の装置を利用できない分、SMICによる7nmチップの生産は歩留まりが悪くコストが高いと見られますが、独自にチップを生産することによって西側諸国から技術的に独立するという意図からすれば、気にするほどのコストではないというわけです。

SMICの生産規模は、世界第3位のファウンドリ(半導体受託製造企業)であるGlobalFoundriesを上回るもので、TSMC、Samsungに次ぐものになっているとのことです。

なお、半導体を巡っては新型コロナウイルスのパンデミックが起きた2020年初頭以降、2年にわたってあらゆる業界で不足傾向にありましたが、各メーカーで増産体制が整ったこともあり、今後、不足は解消されると見込まれています。

Global manufacturers see chip shortage easing | Reuters
https://www.reuters.com/technology/global-manufacturers-see-chip-shortage-easing-2022-07-21/

半導体工場の例としては、Samsungがテキサス州オースティンに2000億ドル規模の投資を行って11カ所の施設を作り、1万件以上の仕事を生み出すことが報じられています。この工場は早ければ2034年に稼働を開始します。

Samsung Plans to Invest $200 Billion in Texas for 11 New Semiconductor Fabs | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/samsung-plans-to-invest-dollar200-billion-in-texas-for-11-new-semiconductor-fabs

また、半導体がらみでは、1枚の大きなシリコン「ダイ」に多くの機能を詰め込むのではなく、メインのチップを4つに分けてつなぎ合わせるという「チップレット」方式をAMDが導入して、製造コストの40%軽減を実現。チップレット技術にはIntelなども目をつけ、半導体のダイを相互接続するためのオープン規格「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)」を推進する業界団体と、標準仕様「UCIe 1.0」が2022年3月に発表されています。

Intel・AMD・Microsoft・TSMC・Samsungなどがチップレットの新規格を策定する「UCIe」コンソーシアム設立を発表 - GIGAZINE

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in ハードウェア, Posted by logc_nt

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