メタバース内で海賊版映画を上映する「VR海賊版ワールド」が発生している

by Duncan Rawlinson - Duncan.co

映画やテレビ番組などの海賊版は、違法なファイルをダウンロードできたり、ブラウザ上で即座にストリーミング再生できたりといった形式がほとんどです。一方で、ソーシャルVRプラットフォームのVRChatのワールド内に海賊版映画を上映するエリアが作成され、メタバース内で権利侵害が行われていると権利団体が訴えを起こしています。

BREIN Takes Down Virtual Pirate Streaming Worlds on VRChat * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/brein-takes-down-virtual-pirate-streaming-worlds-on-vrchat-240116/

'End of the world' voor Virtual Reality omgeving gericht op illegale streams - BREIN
https://stichtingbrein.nl/verzoek-van-brein-end-of-the-world-voor-virtual-reality-omgeving-gericht-op-illegale-streams/

VRChatはユーザーが自由なアバターを使ってメタバース内で交流することを主な目的としたアプリです。VRChatはアバターやアイテムを自由に作ることができる他、いくつもの「ワールド」もユーザーが作成可能で、さまざまな舞台で集まったり、設置されたゲームを遊んだり、ワールド固有のイベントを楽しんだりすることができます。

オランダの反著作権侵害団体であるBREINは、VRChatの中にいくつかの「海賊版ストリーミングワールド」が存在していると指摘しました。2024年1月15日にBREINが発表した報告書によると、海賊版ストリーミングワールドでは何千もの海賊版映画へのリンクが提供されており、「VRヘッドセットのレンズを通して、シミュレートされた映画環境内で、人気の映画やシリーズを幅広いセレクションから選択することができます」とBREINは主張しています。

BREINによると、海賊版ワールドにはそれぞれ1000から4000人ほどのユーザーが訪れており、VRChat内でも最も人気のあるワールドの1つとなっていたとのこと。

VRChatの著作権ポリシーでは、DMCAガイドラインに基づいて削除通知を処理すると明記されています。実際に、BREINの報告を受け、VRChatは海賊版コンテンツの配信をしていると報告されたワールドをすべてオフラインにしました。VRChatはワールドの削除に際して、「ユーザーには、作成するコンテンツに関連する著作権について順守する責任があります。当社の著作権ポリシーに従い、権利所有者の許可なく使用されているコンテンツを削除するすべての要求に協力します」と述べています。

メタバース内で海賊版が配布されるなどの著作権侵害が行われるケースはまだ多くありませんが、BREINは「このような著作権侵害が一般的になる前に迅速に行動したいと考えています。この問題に早期に対処することで、著作権および関連権利の侵害を目的としたVRテクノロジーの悪用の常態化を防ぎます。今回、VRChatなどの新しいタイプのプラットフォームを支える企業もそれを真剣に受け止めていることがわかったため、前向きな展開だと言えます」と語りました。