アメリカを横断した中国の気球が自国との通信にアメリカのISPを使用していたと調査当局が判断
2023年2月2日にアメリカ上空を飛行し、F-22に撃墜された中国の無人気球について、同機がアメリカのインターネットサービスプロバイダー(ISP)を利用して通信していたことがわかりました。
U.S. intelligence officials determined the Chinese spy balloon used a U.S. internet provider to communicate
https://www.nbcnews.com/news/investigations/us-intelligence-officials-determined-chinese-spy-balloon-used-us-inter-rcna131150
FBIの科学捜査チームが作成した評価書によると、気球はアメリカを拠点とするISPに接続し、情報を中国とやりとりしていたとのこと。関係者によると、この接続により、気球はバースト送信、つまり短時間に高帯域幅のデータ収集を行うことができたといいます。当局は「偵察気球に自国の通信サービスが使用された」とまとめました。
評価書を独自に入手したNBCニュースによると、ISPの名称は確定しているものの、情報源の身元を守るためにNBC側の判断で非公開としたとのこと。NBCの取材を受けたISPは、当該気球が自社のネットワークを使用したことを否定しました。
中国は以前から気球の飛来を「事故」として看過するよう求めていて、アメリカが武力を行使して民間の気球を撃墜したことに強い不満を示しています。中国によると気球は研究用で操縦能力に乏しく、偏西風にあおられて意図せずアメリカに漂着したとのことです。
一方のアメリカ政府は気球の飛来を重大な懸念事項と見なしており、気球の撃墜も、飛行経路に軍事機密に関わる場所が含まれていたためだと説明しています。NBCによると、バイデン政権は気球がまだ飛行中の段階で秘密裏に裁判所命令を求め、気球がどのような通信を行っているのかを迅速に把握するよう指示したそうです。
FBIにより気球がアメリカのISPを利用したと断定されたことについて、複数の元政府高官は「中国情報当局は、過去に様々な国において、しばしばバックアップ通信ネットワークとして民間のISPを秘密裏に利用してきました」と指摘し、今回も同様にバックアップ回線としてアメリカのISPが利用されたのではと推測しました。
・関連記事
中国の偵察気球がアメリカ本土上空を飛行中、監視は続けるも撃墜は見送り - GIGAZINE
アメリカ領空を横断した中国の偵察気球をアメリカ軍が撃墜、中国外務省は抗議表明 - GIGAZINE
空軍パイロットが撮影した「中国のスパイ気球との自撮り写真」の撮影場所を特定 - GIGAZINE
スパイ気球を浮かべたらどんなルートで地球を回るのかを世界地図で示してくれる「Spy Balloon Simulator」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ