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任天堂初の家庭向けテレビゲーム「カラーテレビゲーム」とは?


任天堂は、1983年に発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)や1989年に発売されたゲームボーイなどの大ヒットによって世界に名だたるゲーム会社として大きく躍進しました。そんな任天堂が初めて発売した家庭向けテレビゲーム「カラーテレビゲーム」について、ゲームの開発や古いゲーム機の調査を行うニコール・ブラナガン氏が自身のブログで解説しています。

First is the Worst: Nintendo's Color TV Game 6 & 15
https://nicole.express/2023/not-another-color-post-i-swear.html

カラーテレビゲームは、任天堂が1977年に発売した家庭用ゲーム機です。発売時に日本で放映されたカラーテレビゲームのテレビCMは以下から見ることができます。

任天堂のカラーテレビゲーム15 - YouTube


カラーテレビゲームには内蔵ゲームによって「カラーテレビゲーム15」と「カラーテレビゲーム6」の2種類が用意されていました。

カラーテレビゲーム15はテニスA・テニスB・ホッケーA・ホッケーB・バレーボールA・バレーボールB・ピンポン・射撃ゲームを収録。射撃ゲーム以外はシングルスとダブルスを選択できるので、計15種類のゲームがプレイ可能。価格は1万5000円でした。なお、当時の大卒初任給がおよそ10万円です。

by Greg Dunlap

カラーテレビゲーム6はバレー・ホッケー・テニスのみ収録されており、それぞれシングルスとダブルスを選択できるので、合計6種類のゲームが遊べるようになっています。カラーテレビゲーム6の価格は9800円。

by Chapuisat

そして、カラーテレビゲームのメイン基板はこんな感じ。カラーテレビゲームはもともと電卓メーカーのシステックと三菱電機が共同開発していたもので、システックが倒産したために三菱電機があらためて任天堂と提携して製品化されました。メインチップは三菱電機のM58815Pで、M51342PはRF変調用のチップだとのこと。このM58815Pは任天堂専用で、カラーテレビゲーム15とカラーテレビゲーム6のどちらにも搭載されています。


カラーテレビゲームのプレイ映像はこんな感じ。基本的には1972年にアタリが発売した「ポン」をほうふつとさせるビジュアルで、ゲームのシステムも非常にシンプルです。

カラーテレビゲーム15 プレイ映像 - YouTube


カラーテレビゲームのコントローラーはツマミ型で、いわゆるポテンショメータと呼ばれる可変抵抗器を使ったものでした。以下はカラーテレビゲーム15のコントローラーからツマミ部分を外した写真で、中央の銀色の棒がポテンショメータです。


ポテンショメータは可変抵抗器なので、抵抗に最小値と最大値が設定されています。ポテンショメータの抵抗値によって、キャラクターであるパドル(左右端にある棒)の位置が上下に動くという仕組み。そのため、そのままであればポテンショメーターの回転角度の範囲は有限です。


しかし、カラーテレビゲームでプレイ中にゲームをリセットすると、キャラクターであるパドル(左右端にある棒)が上下の中央に表示されてしまいます。もしポテンショメータを最大値までひねった状態でリセットしてしまうと、パドルを中央から上に動かせなくなってしまいます。つまり、ゲームを開始あるいはリセットする時、ポテンショメータの位置を完全に中央に合わせる必要があるというわけです。


ブラナガン氏によれば、この問題を解決する方法はすでに1977年時点で発明されており、同年に発売されたゲーム機のAtari 2600ではポテンショメータの回転角度の範囲を無限にすることで対応しているとのこと。

さらにカラーテレビゲームのコントローラーはシンプルすぎるあまり、操作精度も非常に悪く、細かい制御ができないとのこと。特にツマミを一気にぐいっと回しても、画面内のパドルがついていかず、ツマミを回してから遅れて大きく動くため、プレイ感覚はかなり悪いそうです。


ブラナガン氏によるとカラーテレビゲームの品番には少なくとも初期型の「CTG-15S/6S」と後期型の「CTG-15V/6V」」があるそうで、このポテンショメータの問題はあくまでもカラーテレビゲームの初期型が抱える問題だとのこと。

後期型ではM58816Pチップがアップデートされており、初期型には「751R」というコードが印字されているのに対し、後期型には「7714」というコードが印字されているとのこと。ブラナガン氏はこの7714というコードは1977年の第14週を意味しているのではないかと推測しています。このM58816Pチップのアップデートによって、ポテンショメータの動きにちゃんとパドルの動きが追随するようになっているそうです。


なお、ブラナガン氏はM58816Pチップに追加のスイッチを配線することで、カラーテレビゲーム6だと本来遊べないゲームも遊ぶことができるようになるのではないかと考えているそうです。

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in ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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