ゲームエンジンは今後どうなっていくのか?
Unreal Engine 5がまるで現実のようなリアルな質感をゲームで再現して注目を集める一方、かつて栄華を極めたUnityが価格改定という事業改革ただひとつで人々からそしりを受けてしまうなど、昨今ゲームエンジンに関する話題には事欠きません。ゲーム作成の根本たる「ゲームエンジン」が今後どのように変化していくのかについて、ベンチャーキャピタル・Andreessen Horowitzの専門家であるトロイ・カーウィン氏らが分析しました。
Unbundling the Game Engine: The Rise of Next Generation 3D Creation Engines | Andreessen Horowitz
https://a16z.com/unbundling-the-game-engine/
ゲームエンジンは、キャラクターやオブジェクトなどの3Dアセット、キャラクターの動き(アニメーション)、物理法則、サウンドエフェクト、煙や液体などの視覚効果など、ゲーム内に存在するありとあらゆるものを構築できるシステムで、ゲームだけでなく映像制作などにも使われることがあります。
カーウィン氏らは、今日のゲームエンジンを「誰でも仮想世界を創造できるテクノロジー」と位置づけ、かつてごく少数のクリエイターだけが可能だった、自分が想像する世界を現実世界に落とし込むという偉業を誰でもなし得る時代が来ていると指摘しています。
2010年代以前はほとんどのゲームスタジオが独自のゲームエンジンを開発してゲームを開発していました。しかし、時代の変化につれてUnityやUnreal Engine、Roblox、Godotなどの「汎用ゲームエンジン」が誕生し、2020年代にはAAA級ゲームを除いた大多数のゲームがこうしたサードパーティー製のゲームエンジンを使って作られています。
コンピュータグラフィックスが出現した当初、ゲームを開発するための技術、ツール、レンダリングシステムと、アニメーション/VFX、建築ビジュアライゼーション、広告など、高いビジュアルフィデリティを開発するための技術は二分されていました。ゲームは、入力に基づいてユーザーのデバイス上でリアルタイムにレンダリングされますが、VFX/アニメーションは、データセンターでオフラインでレンダリングされるという仕組みでした。
しかし、Unreal Engineや、ピクサーによるCGI/アニメーション用の最先端オフラインレンダラー「RenderMan」などの登場により、技術革新が進むことになりました。こうした技術革新が、AIの登場により再び訪れるとカーウィン氏らは分析しています。
既存のゲームエンジンでは、オブジェクトやモデルなどを呼び出す作業、それを配置する作業などが単独で行われます。しかし、機械学習・AIを活用することで、シーンや世界観を入力するだけで仮想世界を構築したり、オフィスと椅子を作るだけで本棚や事務用品など適切なオブジェクトを自動的に配置したりすることができるようになる可能性があります
実際、「Blender」という3DCG制作ソフトでは、大規模言語モデルの「GPT-4」を活用し、「球体を作って」などのテキストプロンプトを入力するだけで3Dモデルを制作できるアドオンがすでに登場しています。このアドオンはまだまだ発展途上と言える出来ですが、こうした技術が発展することで、「文字を入力するだけで誰でもゲームが作れる」という時代が訪れるかもしれません。
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カーウィン氏らは、次世代のゲームエンジンは既存のゲームエンジンと真っ向から勝負するようなものではなく、従来のゲームエンジンとはまったく別のルートから生まれる可能性があると指摘。あらゆるユースケースに対応しようとするこれまでの製品とは違い、特定のゲームジャンルやアートスタイルに特化したプラットフォームとしてスタートする可能性が高いと述べました。
また、没入型/空間型3D制作アプリケーションの出現も予想されるとカーウィン氏。既存の2D画面から3D空間を開発するのは困難で、これから登場するであろうXRデバイスで完全な3D空間を体験させるには、既存のゲームエンジンでは対応しきれない可能性があります。
カーウィン氏らは「間もなく、1枚の画像やテキストプロンプトからゲーム空間が生成されるようになるでしょう。消費者側からすれば、想像力豊かに世界を構築し、思い出を再現し、夢のような環境を探検するという行為は画期的なものになるでしょう。そのようなツールが成熟し、操作性が洗練されるにつれて、プロフェッショナルな使用例も開発されることでしょう。ゲームエンジンの状況は今後10年間で劇的に変化し、エンターテインメント業界全体の様相を変えると予想します」と述べました。
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in ゲーム, Posted by log1p_kr
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