半導体露光装置メーカー・ASMLにアメリカが中国への販売中止を要請

半導体を製造するときに必要となる露光装置のメーカーであるオランダのASMLは、2024年1月から中国への製品輸出を制限されるのですが、その措置を前倒しして販売・出荷を停止するようにアメリカが要請していたことがわかりました。一方で、中国からは制限がかかる前の駆け込み需要で大量の注文が入っていたことも明らかになっています。

US Pushed ASML to Block Chinese Sales Before January Deadline - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-01-01/us-pushed-asml-to-block-chinese-sales-before-january-deadline

Netherlands blocks ASML exports to China in partial license revocation | Reuters
https://www.reuters.com/technology/asml-says-dutch-government-revoked-some-export-license-2024-01-01/

ASMLは半導体を製造するのに不可欠な露光装置のメーカーで、アメリカは以前から深紫外線(DUV)リソグラフィ装置の輸出を制限するよう働きかけていました。

半導体製造に用いるDUV装置を中国に販売しないようアメリカがオランダに働きかけ - GIGAZINE

この働きかけが実る形で、オランダ政府は中国への輸出規制を強化し、2024年1月からDUVリソグラフィ装置の輸出が制限されることになりました。

一方で、中国からのDUVリソグラフィ装置の注文は激増。2023年第1四半期時点では8％に過ぎなかった中国のシェアは、2023年第3四半期には46％にまで膨らみました。

Bloombergが関係者情報として伝えた内容によると、アメリカのジェイク・サリバン大統領補佐官がオランダ政府に連絡を入れたところ、オランダ政府はASMLに直接伝えるようにと返答したとのこと。

アメリカ政府がASMLにどのような内容を伝えたかは不明ですが、ASMLは一部の露光装置の販売を中止したそうです。なお、そもそも何台が販売される予定だったのか、そのうち何台の販売が中止されたのかは不明です。

ASMLのペーター・ウェニンクCEOによると、この規制はASMLの中国での売り上げに最大15％の影響があるとのことです。

ちなみに中国では、Huaweiがアメリカに頼らない形で独自のチップ製造ネットワークを構築していることが報じられています。

Huaweiはアメリカによる経済制裁を乗り越えて自給自足のチップネットワークを構築している - GIGAZINE