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2024年にパブリックドメインになる著作物は?ミッキーマウスの「蒸気船ウィリー」がついにパブリックドメインに


毎年1月1日、著作権の保護期間が切れたコンテンツがパブリックドメインとなり、自由に使用・複製・共有することが可能となります。2024年にパブリックドメインになるコンテンツを、パブリックドメインになった作品を紹介するオンラインジャーナルのThe Public Domain Reviewがまとめています。

What Will Enter the Public Domain in 2024? – The Public Domain Review
https://publicdomainreview.org/features/entering-the-public-domain/2024/


2023年1月1日にパブリックドメインになる著作物の大半は、「1953年に死亡した人の著作物」や「1973年に死亡した人の著作物」です。これは、著作物の保護期間が「著作者の死後70年」である国(例:イギリス、ロシア、EUの大多数の国、南米)と、「著作者の死後50年」である国(例:ニュージーランド、アフリカ、アジアの多くの国)が多く存在するためです。なお、日本での著作権の保護期間も、著作者の死後70年が原則とされています。また、1928年にアメリカ向けに出版された映画や書籍(アートワークを含む)も、2023年1月1日からパブリックドメインとして取り扱われることとなります。

◆蒸気船ウィリー
中でも特に注目を集めているのが、1928年11月18日にアメリカで公開されたディズニーの短編アニメーション映画である「蒸気船ウィリー」です。本作はミッキーマウスの短編映画シリーズの記念すべき1作品目で、ディズニーの生みの親であるウォルト・ディズニーとミッキーマウスの生みの親であるアブ・アイワークスが監督した作品でもあります。


ディズニー作のモノクロ映画である蒸気船ウィリーは、ミッキーマウスとミニーマウスのデビュー作とみなされていますが、両キャラクターは本作の公開よりも数カ月前にテスト上映された「プレーン・クレイジー」に登場している模様。蒸気船ウィリーは世界で初めてアニメーション映画で、完全にポストプロダクションされたサウンドトラックを備えているのも特徴のひとつです。

蒸気船ウィリーでミッキーマウスが口笛で奏でているのは「Steamboat Bill」という曲で、これは1910年代に流行したバリトン歌手アーサー・コリンズの同名楽曲を、ウィルフレッド・ジャクソンとバート・ルイスが編曲したものです。蒸気船ウィリーの中で流れるもうひとつの楽曲は「わらの中の七面鳥(Turkey in the straw)」で、これは19世紀に吟遊詩人の間で流行した曲。

蒸気船ウィリーはミッキーマウスシリーズの記念すべき1作品目というだけでなく、アニメーションの技術革新を起こした作品としても批評家から高い評価を集めています。1994年にはアニメーションの歴史上最も優れた作品トップ50を選出する書籍「The 50 Greatest Cartoons」で、蒸気船ウィリーが13位にランクインしました。

一方、蒸気船ウィリーはアメリカにおける著作権保護期間と深くかかわっており、これまで4度にわたって著作権の保護期間が延長されてきました。最初の著作権保護期間が切れるタイミングが「1955年」で、この時は保護期間が「1986年」にまで延長されています。さらに、1976年には著作権法により保護期間が「2003年」まで延長され、さらに1998年に制定された著作権延長法により保護期間は「2023年」まで延長されています。アメリカで蒸気船ウィリーの著作権保護期間が延長されてきたのはすべてディズニーによるロビー活動のたまもので、著作権延長法は「ミッキーマウス保護法」と揶揄(やゆ)されることもあります。

「ミッキーマウス」の著作権を守るため、これまでどのような著作権法の変更が行われてきたのか? - GIGAZINE

By Tom Bricker

◆カール・ブロスフェルトの芸術作品
ドイツの植物学者であり写真家でもあるカール・ブロスフェルトは、自身が死ぬわずか4年前の63歳という年齢で、自身にとって初めての写真集「Urformen der Kunst」(Art Forms in Plants)を出版しました。Art Forms in Plantsには植物の驚くべき写真が掲載されており、そのすべてが顕微鏡で捉えたかのような高精細な写真となっています。批評家のヴァルター・ベンヤミンはブロスフェルトの写真集を最初に書評したひとりで、肉眼には見えなかったものが遡及的または技術的にカメラという装置を通じて明らかにされたと、Art Forms in Plantsを称賛しました。


◆J・R・R・トールキン作品
イギリスの作家であり、「ホビットの冒険」や「指輪物語」の著者として知られるJ・R・R・トールキンの著書も2023年1月1日にパブリックドメインになります。トールキン以前にも多くの作家がファンタジー作品を出版していましたが、トールキン作品の成功はファンタジージャンルの人気復活に大きく貢献したため、同氏は「ハイファンタジーの父」として世界中に広く知られるようになりました。


◆オーランドー
イギリスの小説家であるヴァージニア・ウルフの著書である「オーランドー」もパブリックドメインになる作品のひとつ。オーランドーはウルフの代表作のひとつで、同氏の恋人であり親友でもあった貴族であり詩人であり小説家でもあるヴィタ・サックヴィル=ウェストの波乱万丈な家族史にインスピレーションを得た作品です。オーランドーは男性から女性に性別を変えて何世紀にもわたって生きる詩人が、イギリス文学史の重要人物たちと出会う冒険を描いています。


◆パブロ・ピカソの芸術作品
スペイン・マラガ生まれの芸術家であるパブロ・ピカソは、20世紀で最も影響力のある芸術家のひとりとして知られています。キュビズムの創始者であり、構築的彫刻の発明者でもあります。代表作にはキュビズムの起点とされる「アビニヨンの娘たち」や、スペイン内戦中にドイツとイタリアの空軍がゲルニカを爆撃した様子を劇的に描いた「ゲルニカ」などがあります。

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in メモ, Posted by logu_ii

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