すでに亡くなっているはずのスティーブ・ジョブズの名前で今もAppleが特許を出願し続けている
Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは2011年に亡くなりました。ところが、Appleが2023年に出願した特許のうち、12件の特許に発明者として「スティーブ・ジョブズ」の名前が記されているとのこと。一体どうして亡くなったジョブズの名前が特許申請に使われ続けているのかを調査会社のGreyBが解説しています。
Steve Jobs is Still Filing New Patent Applications!
https://www.greyb.com/blog/new-steve-jobs-patents/
ニューヨーク・タイムズが2011年にまとめた「スティーブ・ジョブズが取得した特許一覧」の一部が以下。デスクトップマシンや、ノートタイプのマシン、iPhone、iPodなど多種多様な特許が並んでいます。
GreyBによると、ジョブズが生前に発明に関わった最後の特許(意匠)はApple Storeニューヨーク五番街店の入口のデザインに関するものとのこと。この特許は2014年8月26日に認められました。Apple Storeニューヨーク五番街店の入口のデザインに関しては以下の記事に詳しくまとめています。
スティーブ・ジョブズが死後に取得したデザイン特許とは? - GIGAZINE
アメリカでは特許の出願から公開までに数年間かかることもあります。このため、Apple Storeの入口デザイン以外にもジョブズが生前に出願して死後に承認されたものが多くあります。ジョブズの生前に出願されて死後に公開された特許のうち引用数上位20件をまとめた表が以下。
特許番号 | 出願年 | 公開年 | 引用数 |
---|---|---|---|
USD677659S1 | 2011 | 2013 | 233 |
USD662503S1 | 2010 | 2012 | 215 |
USD673948S1 | 2011 | 2013 | 204 |
USD675612S1 | 2011 | 2013 | 200 |
US8564544B2 | 2007 | 2013 | 164 |
USD670286S1 | 2010 | 2012 | 144 |
USD668263S1 | 2010 | 2012 | 136 |
USD669071S1 | 2011 | 2012 | 127 |
USD656496S1 | 2010 | 2012 | 123 |
USD682262S1 | 2010 | 2013 | 122 |
USD662922S1 | 2010 | 2012 | 107 |
USD697511S1 | 2010 | 2014 | 92 |
USD683345S1 | 2010 | 2013 | 90 |
USD677664S1 | 2010 | 2013 | 90 |
USD677666S1 | 2011 | 2013 | 80 |
USD669069S1 | 2010 | 2012 | 77 |
USD689480S1 | 2011 | 2013 | 75 |
USD672343S1 | 2010 | 2012 | 75 |
US8619038B2 | 2007 | 2013 | 69 |
USD697918S1 | 2011 | 2014 | 68 |
ジョブズの死後に公開された特許の中には「ジョブズの死後」に出願されたものも含まれています。それらの特許ではジョブズのアイデアやコメントが発明の根幹に関わっているとのこと。2018年以降に出願された発明者にスティーブ・ジョブズの名前を含む特許の一覧が以下。
特許番号 | タイトル | 出願年 |
---|---|---|
USD976939S1 | Display Screen Or Portion Thereof With Graphical User Interface (グラフィカルユーザーインターフェースを備えた表示画面またはその一部 ) | 2020 |
USD987620S1 | Portable Computer (ポータブルコンピューター) | 2021 |
USD978857S1 | Portable Display Device (ポータブルディスプレイデバイス) | 2020 |
USRE49429E1 | Computing Device (コンピューティングデバイス) | 2021 |
USD986882S1 | Portable Display Device (ポータブルディスプレイデバイス) | 2019 |
USD987624S1 | Portable Display Device (ポータブルディスプレイデバイス) | 2021 |
US11586348B2 | Portable Multifunction Device, Method, And Graphical User Interface Supporting User Navigations Of Graphical Objects On A Touch Screen Display (タッチスクリーンディスプレイ上のグラフィカルオブジェクトのユーザナビゲーションをサポートするグラフィカルユーザーインターフェースおよびポータブル多機能デバイス) | 2021 |
US11604559B2 | Editing Interface (編集インターフェース) | 2021 |
AU2022201622B2 | Touch Screen Device, Method, And Graphical User Interface For Determining Commands By Applying Heuristics (ヒューリスティックを適用してコマンドを決定するためのグラフィカルユーザーインターフェースおよびタッチスクリーンデバイス) | 2022 |
USD998606S1 | Electronic Device (電子デバイス) | 2019 |
US20230261685A1 | Portable Electronic Device With Two-Piece Housing (2個のボディを備えたポータブル電子デバイス) | 2023 |
AU2023216869A1 | Touch Screen Device, Method, And Graphical User Interface For Determining Commands By Applying Heuristics (ヒューリスティックを適用してコマンドを決定するためのグラフィカルユーザーインターフェースおよびタッチスクリーンデバイス) | 2023 |
アメリカでは「特許の更新版を申請する」という形式で知的財産権を更新できます。このため、Apple製品の特許更新によってジョブズが発明者に含まれる特許が増えることとなります。例えば、iPhoneの形状に関する特許は2008年4月に最初に出願され、その後も頻繁に更新版が出願されています。
iPhoneの形状に関する特許をまとめた表が以下。すべての特許にジョブズが発明者として登録されています。
特許番号 | 出願時期 | 公開年時期 |
---|---|---|
USD615083S1 | 2008年6月 | 2010年5月 |
USD620004S1 | 2009年9月 | 2010年7月 |
USD629799S1 | 2010年3月 | 2010年12月 |
USD633090S1 | 2010年7月 | 2011年2月 |
USD675612S1 | 2011年2月 | 2013年2月 |
USD696663S1 | 2012年9月 | 2013年12月 |
USD724078S1 | 2013年9月 | 2015年3月 |
USD778278S1 | 2013年11月 | 2017年2月 |
USD869460S1 | 2017年2月 | 2019年12月 |
USD922999S1 | 2019年12月 | 2021年6月 |
USD925523S1 | 2020年7月 | 2021年7月 |
さらに、Apple以外の企業が「Appleと協力してジョブズの発明をもとにした新たな発明の特許を取得する」という場合も発明者としてジョブズの名前が登録されることになります。GreyBは例として「Savant Systemsが申請した車両の自動制御に関する特許」や「Teslamedicsが申請したメディアプレイヤーのプログレスバーに関する特許」を挙げています。
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