Amazonが2023年度第3四半期決算を公開、売上高は前年比13％増の21兆5000億円で市場予想を上回り広告事業も急成長

世界最大規模のECサイトやクラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)などを展開するAmazonが、2023年度第3四半期(7月～9月)の決算を発表しました。売上高は前年同期比13％増の1431億ドル(約21兆5000億円)で、デジタル広告事業の成長も順調である一方、AWSの売上高は予想をやや下回りました。

Amazon.com Announces Third Quarter Results | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20231025191880/en/

Amazon (AMZN) Q3 earnings report 2023
https://www.cnbc.com/2023/10/26/amazon-amzn-q3-earnings-report-2023.html

AWS Q3 earnings report 2023
https://www.cnbc.com/2023/10/26/aws-q3-earnings-report-2023.html

Amazonは現地時間の2023年10月26日、2023年度第3四半期決算を発表しました。売上高は2022年度第3四半期の1271億ドル(約19兆7000億円)から13％増の1431億ドルを記録し、市場予想の1414億ドル(約21兆2500億円)を大きく上回る結果になっています。このうち北米セグメントの売上高が前年同期比11％増の879億ドル(約13兆2100億円)、国際セグメントが前年同期比16％増の321億ドル(約4兆8200億円)、AWSセグメントが前年同期比12％増の231億ドル(約3兆4700億円)でした。

また、2023年度第3四半期の純利益は99億ドル(約1兆4900億円)で、2022年度第3四半期の29億ドル(約4360億円)から実に3倍以上となりました。今期の純利益には、電気自動車メーカーであるリヴィアン・オートモーティヴへの投資で得た税引き前評価利益12億ドル(約1800億円)も含まれているとのことです。

海外メディアのCNBCは、2022年のAmazonはインフレの加速や金利上昇によって成長の減速がみられたものの、今回の四半期決算はそこから立ち直りビジネスが加速していることを示していると報じています。Amazonはパンデミック中に急拡大したものの、経済の減退に直面するとコスト削減を実施しており、2022年秋から2023年1月にかけて史上最多となる合計1万8000人超のリストラを敢行しました。

Amazonが史上最多の1万8000人以上の解雇を開始、主に小売部門と人事部門に影響 - GIGAZINE

2023年度第3四半期決算では、Amazonのデジタル広告部門が大きく成長したことも報告されており、Amazonの広告収入は前年同期比で26％増加しました。これは、Googleの広告収入の成長率(9％)よりもはるかに高い数字です。

その一方で、AWS部門の売上高は市場予想の232億ドル(約3兆4900億円)をわずかに下回る231億ドルで、成長率は前年同期比で12％にとどまりました。AWSの成長率は競合サービスのMicrosoft Azure(29％)やGoogle Cloud(22％)を下回る数値です。

AWSの成長率が停滞していることについて、Amazonの最高財務責任者(CFO)であるブライアン・オルサフスキー氏は、顧客によるコスト最適化のあおりを受けていると説明しています。オルサフスキー氏は記者団に対し、「コスト削減に取り組んでいる企業はまだありますが、その動きは減速しており、ますます多くの新たなワークロードが出現し始めています」と述べ、好転の兆しがみられると主張しました。

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは、「第3四半期は好調に推移し、店舗事業におけるサービス提供コストと配送スピードはさらに一歩前進しました。AWSの成長は引き続き安定し、広告収入も堅調に伸びており、営業利益とフリーキャッシュフローは全体として大幅に成長しました」とコメントしています。

なお、ホリデーシーズンを含む2023年度第4四半期の売上高について、Amazonは前年同期比の1492億ドル(約22兆4300億円)に対し、来期は1600億～1670億ドル(約24兆～25兆1000億円)の間になるだろうという見通しを示しました。