サイエンス

NASAの探査機が回収した小惑星「ベンヌ」のサンプルに生物に不可欠な炭素と水が豊富に含まれていたことが明らかに


NASAの惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」は小惑星ベンヌから地表サンプルを採取し、2023年9月24日に地球にサンプルを投下しました。NASAが回収したサンプルを調査した結果、サンプルに炭素や水分子を含む有機物などが確認されたことが報告されています。

NASA asteroid sample contains life-critical water and carbon
https://phys.org/news/2023-10-nasa-asteroid-sample-life-critical-carbon.html


NASA's 1st asteroid sample is rich in carbon and water | Space
https://www.space.com/osiris-rex-bennu-asteroid-sample-carbon-water

NASA finds water and organics in asteroid sample—possible clues to origin of life | Ars Technica
https://arstechnica.com/space/2023/10/nasa-finds-water-and-organics-in-asteroid-sample-possible-clues-to-origin-of-life/

Revealing the OSIRIS-REx Asteroid Sample (Official NASA Broadcast in 4K) - YouTube


2016年9月8日に打ち上げられたOSIRIS-RExは、2018年12月3日に小惑星ベンヌに到着。2019年から2020年にかけてベンヌの探査を行った後、2020年10月20日に地表サンプルの採取を行いました。その後、2021年5月10日に地球への帰還を開始していました。


OSIRIS-RExが採取したベンヌの地表サンプルを収めたカプセルは、現地時間2023年9月24日午前10時52分にユタ州試験訓練場に着陸し、NASAの手で回収が行われました。

NASAの探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌのサンプル持ち帰りに成功、地球の生命の起源や太陽系の成り立ちが明らかに - GIGAZINE


回収されたカプセルはその後、宇宙試料分析専用のクリーンルームを持つテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターに運ばれ、カプセルの開封やサンプルの分析が行われました。今回のミッションで回収されたサンプルの量は約250gと、これまでの小惑星からのサンプルリターンでは過去最大の量でした。

サンプルの分析はNASAとアリゾナ大学などが共同で行い、電子顕微鏡や赤外線測定などを用いた分析が行われました。


調査の結果は2023年10月11日に公表され、その際に公開された画像には、カプセル内に黒色の小さな岩石や小石、ちりなどが映っていることが確認できます。アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏によると、サンプルの中には、地球上の生命に必要不可欠な炭素やミネラルに閉じ込められた水分子のほか、硫化鉄や酸化鉄といった化合物も確認されたとのこと。


宇宙科学者の多くは、地球に海や川、湖が存在する理由について、約45~40億年前に水を含んだ小惑星が衝突したことで形成されたと考えています。また、タンパク質や酵素、DNAなど、生命の誕生に必要な炭素も同様に小惑星によって運ばれてきたと考えられており、NASAは、今回の小惑星ベンヌのサンプルから水や炭素などが発見されたことは、地球における生命の起源や太陽系やその惑星の成り立ちについての調査に役立つだろうとの期待を示しています。


また、地球から約8100万kmの地点で太陽を周回する小惑星ベンヌは、2182年に地球に最接近し約2700分の1という低確率ながら地球に衝突する可能性があると推定されており、今回OSIRIS-RExがもたらしたデータは将来的な小惑星の衝突を回避する研究にも役立てられるそうです。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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