サイエンス

「古代人が作ったアマゾンの黒い土」が牧草や樹木の成長をブーストすることが判明


アマゾン川流域の一部地域には、先住民が作った「Terra preta(テラ・プレタ)」と呼ばれる黒くて豊かな土壌があります。このテラ・プレタを用いることで、樹木や牧草の成長をブーストできるという研究結果が報告されました。

Frontiers | Amazonian dark earths enhance the establishment of tree species in forest ecological restoration
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fsoil.2023.1161627/full


Secret behind Amazonian 'dark earth' could he | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/988029

Amazon dark earth soil could turbocharge tree growth around the world • Earth.com
https://www.earth.com/news/amazon-dark-earth-could-revolutionize-forest-restoration/

アマゾン川流域の土壌は強い日差しや豪雨によって養分が失われやすく耕作には向いていませんが、一部にはしっとりと黒く栄養豊富な土壌があることがわかっています。テラ・プレタと呼ばれるこの土壌は天然で形成されたものではなく、紀元前450年~紀元後950年の先住民が作った人工的な土壌だと考えられています。先住民は調理やごみの焼却に使用した木炭、動物の骨、陶器の破片、堆肥などを何世代にもわたり堆積させることで、栄養素や有機物が豊富なテラ・プレタを作ったそうです。

ブラジル・サンパウロ大学の農業原子力センターに所属する大学院生のルイス・フェリペ・ザガット氏らの研究チームは、「テラ・プレタを含む土壌が牧草地となり、その後森林が回復した」というシチュエーションを再現する実験を行いました。


まず研究チームは、ブラジルのアマゾナス州で採取したテラ・プレタを用意し、対照群の土としてサンパウロ州の農業学校にある土を用意しました。そして4リットルのポットを36個用意して、「対照群の土のみを入れたポット」「80%が対照群の土で、20%がテラ・プレタのポット」「100%テラ・プレタのポット」を12個ずつ作りました。

これらのポットを、現代よりも地球温暖化が進んだ環境を模倣した「セ氏34度の温室内」に置き、まずはブラジルにおいて一般的な牧草であるUrochloa brizantha(パリセードグラス)の種を植えました。パリセードグラスは60日間鉢の中で育てられた後に根だけを残して刈り取られ、そこにアンベイ・ポンプウッドペルトフォルム・ドゥビウムセドレラ・フィッシリスなどの森林を構成する樹木の種を植えて、さらに90日間育てました。

牧草は種を植えてから60日後、樹木は植えてから90日後に刈り取られ、根の長さや乾燥質量、成長度合いなどが測定されました。また、実験過程で土壌に含まれる有機物やミネラルなどの栄養分、さらに土壌中の微生物の多様性なども測定されたとのこと。


実験の開始時点では、予想通りテラ・プレタが多いポットほど栄養分が豊富でした。植物を育てた後はいずれのポットでも栄養分が植物の成長に使われて減少したものの、やはりテラ・プレタが多いポットほど多くの栄養が残っていました。また、実験全体を通して、テラ・プレタを20%または100%含むポットでは細菌や古細菌の生物多様性が高かったそうです。

道修に含まれるテラ・プレタの量は、牧草や植物の成長にも大きな影響を及ぼしました。牧草の乾燥質量は対象土壌と比較して、テラ・プレタ20%入りのポットで3.4倍に、テラ・プレタ100%のポットで8.1倍に増加しました。また、ペルトフォルム・ドゥビウムとセドレラ・フィッシリスはテラ・プレタ入りのポットで育てると、対象土壌より2.1~6.3倍も高く成長し、アンベイ・ポンプウッドは100%テラ・プレタのポットでのみ成長したと研究チームは報告しています。

以下の写真は、左から順に「100%テラ・プレタのポット」「80%が対照群の土で、20%がテラ・プレタのポット」「対照群の土のみを入れたポット」です。同じ時期に植えられたセドレラ・フィッシリスが、土壌に含まれるテラ・プレタが多いほどよく成長していることがわかります。


今回の実験結果から、研究チームはテラ・プレタが植物の成長を促進すると結論付けました。ザガット氏は「私たちは、有益な微生物や古細菌の微生物群、そして高レベルの栄養素を含むテラ・プレタを使用することで、牧草や樹木の成長が促進されることを示しています。つまり、テラ・プレタをとても豊かな土壌にしている『成分』についての知識を応用すれば、生態系回復プロジェクトのスピードアップに役立つ可能性があるということです」とコメントしています。

論文の共著者であり、サンパウロ大学の農業原子力センターで教授を務めるTsai Siu Mui氏は、「テラ・プレタは数千年かけて蓄積されてきたものであり、自然界にあるものを使用した場合、再生するのに同じだけの時間がかかるでしょう。私たちが推奨するのは、テラ・プレタそのものを使用するのではなく、むしろその特性、特に微生物をコピーして将来の生態系回復プロジェクトに利用することです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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