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チャットAI「ChatGPT」がロボット工学や保険契約など多様な用途で活用できる理由とは?


ChatGPTは2022年11月の公開直後から急速に普及し、今晩のおかずから法律関連の相談まで多様な事柄に用いられている他、ChatGPTを活用してゲームを開発するなどの活用法も編み出されています。ChatGPTが一体どのようにして万能ツールとして機能しているのかについて、海外メディアのArs Technicaがまとめています。

How ChatGPT turned generative AI into an “anything tool” | Ars Technica
https://arstechnica.com/ai/2023/08/how-chatgpt-turned-generative-ai-into-an-anything-tool/


◆ChatGPT登場以前の言語モデルとの違い
ChatGPTはOpenAIによって開発されたチャットAIで、「GPT-3.5」や「GPT-4」といった言語モデルをベースとしています。OpenAIはChatGPTを公開する2年以上前の2019年2月に言語モデル「GPT-2」を公開していましたが、GPT-3.5やGPT-4にはGPT-2とは大きく異なる点が存在します。

そもそもGPT-2などの言語モデルは「正しい文章」を生成する仕組みではなく、「入力の続きとなる可能性が高い文章」を生成するように開発されています。例えばGPT-2に「A famed novelist well-known for(~で有名な小説家)」という文章を入力すると、「A famed novelist well-known for its literary realism~(文学的なリアリズムで有名な小説家である著者は~)」といったように続きを自然な文章で生成してくれます。しかし、GPT-2による文章生成はランダム性の非常に高いものであり、ユーザーが意図した内容の文章を生成させることは困難でした。


2020年5月に公開されたGPT-3はGPT-2と比べて非常に高度な文章生成性能を備えていましたが、「意図した内容の文章を生成させることが困難」という問題は残っていました。OpenAIはこの問題を解決するべく、生成結果に対するユーザーのフィードバックを学習する仕組みを取り入れたGPT-3の改良版モデル「InstructGPT」を2022年1月に公開しました。InstructGPTの登場以前は「○○を生成して」という入力(プロンプト)に従って言語モデルが出力を返して処理が終了していたのですが、InstructGPTでは「○○を生成するように指示した結果、InstructGPTは□□と返してきました。□□を踏まえて、△△を生成してください」といったように生成結果を踏まえた指示を処理できるようになりました。

OpenAIはGPT-3とInstructGPTを組み合わせて、指示と返答のキャッチボールが可能な言語モデル「GPT-3.5」を開発しました。GPT-3.5にチャットアプリのような親しみやすいUIを付与したものがChatGPTで、ChatGPTは使いやすさや返答の正確性などが評価されて爆発的に人気を獲得することとなりました。


◆ChatGPTを万能ツールとして活用できる理由
伝統的なコンピューターは「CPUがプログラムに従ってメモリから必要なデータを取り出しながら処理を実行し、出力する」という流れで動作しています。プロンプトをプログラム、入出力履歴をメモリに見立てるとChatGPTは「言語モデル(GPT-3やGPT-4)がプロンプトに従って入出力履歴から必要なデータを取り出しながら処理を実行し、出力する」という伝統的なコンピューターに似た動作が可能です。


このため、「各ユーザーの保険契約に関する情報を含むプロンプト」を用いることで各ユーザーの契約内容に沿った提案を行うアプリケーションを開発したり、「ロボットを制御するための構文」や「ロボットに期待する動作」をプロンプトとして入力することで期待通りの動作を実行できるロボット制御文を生成させたりといった操作を実現できるというわけです。

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in ソフトウェア, Posted by log1o_hf

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