ローマ教皇がAIのリスクを警告、「暴力や差別の論理」を根付かせてはならないと訴える
by Catholic Church England and Wales
近年は精度の高いテキストやプログラミングコード、画像などを生成するAIテクノロジーが発達しており、多くの専門家や研究者がAIに存在するリスクについて考えています。そんな中、第266代ローマ教皇であるフランシスコ教皇が、カトリック教会が制定した「世界平和の日(1月1日)」の2024年度のテーマを「人工知能と平和」に決めたことを発表し、AIのリスクについて警告しました。
Communiqué of the Dicastery for Promoting Integral Human Development: Theme of the Message for World Peace Day 2024
https://press.vatican.va/content/salastampa/en/bollettino/pubblico/2023/08/08/230808c.html
2024年度「世界平和の日」テーマ発表:人工知能と平和 - バチカン・ニュース
https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2023-08/tema-messaggio-giornata-mondiale-pace-2024.html
Pope warns of AI risks so “violence and discrimination does not take root” | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2023/08/even-the-pope-is-worried-about-ai-and-its-disruptive-possibilities/
カトリック教会は毎年1月1日を「世界平和の日」と制定しており、ローマ教皇は毎年この日に祈るテーマやメッセージを発表しています。2023年8月8日、フランシスコ教皇は2024年度に開かれる世界平和の日のテーマを「人工知能と平和」に決定したことを、教皇庁総合人間開発省とのコミュニケ(共同声明)で報告しました。
声明には、「人工知能の分野におけるめざましい進歩は、人間の活動、個人および社会の生活、政治、経済に急速な影響を及ぼしています。フランシスコ教皇は、破壊的な可能性と両義的な効果を持つこの新しいテクノロジーの意味をめぐり、開かれた対話を呼びかけています」と記されています。
フランシスコ教皇は、AI製品に「暴力と差別の論理」が根付いたり、「最も脆弱(ぜいじゃく)で排除された人々の犠牲」が生まれることのないように警戒し、努力する必要があると人々に警告しています。また、不公正や不平等は人々の間に紛争や対立を引き起こすため、AIのコンセプトと利用を責任ある方法で方向付けることが急務であり、AIが人類と地球環境の保護に奉仕できるよう、倫理的考察を教育と法の分野にまで広げることが必要だと訴えました。
2013年にローマ教皇に就任したフランシスコ教皇はITへの理解が深く、2014年には「インターネットは本当に素晴らしいものです。これは神からの贈り物です」と公的に発言したほか、ポケモンの代わりにカトリックの聖人をゲットするゲーム「Follow JC Go」の1人目のユーザーであることも知られています。
2019年には世界各国の学生にコンピューターサイエンスの習得を呼びかけるイベントに出席し、学生らとのビデオチャット中にプログラミングコードの一部を打ち込んだことで、82歳にして「史上初めてプログラムのコードを書いたローマ教皇」になりました。
フランシスコ教皇が82歳にして「史上初めてプログラムのコードを書いたローマ教皇」に - GIGAZINE
また、2020年2月28日にはAIの倫理的活用を骨子とした文書「AI倫理に関するローマの呼びかけ(Rome Call for AI Ethics)」に、MicrosoftやIBMの幹部らと共に署名し、同年11月には「ロボット工学と人工知能の進歩が常に人類に役立つこと」を祈ったとしています。
フランシスコ教皇が「ロボットと人工知能が常に人類の役に立ちますように」と祈る - GIGAZINE
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