2000羽ものペンギンが大量死して浜辺に打ち上げられる、獲物となる魚の乱獲や急激な気候変動が影響か
南米・ウルグアイの海岸に、約2000羽ものマゼランペンギンの死体が打ち上げられていることが報じられました。鳥インフルエンザのテストでは陰性だったとのことで大量死の正確な原因は不明ですが、気候変動が影響している可能性があると指摘されています。
Around 2,000 penguins wash up dead on Uruguay coast
https://phys.org/news/2023-07-penguins-dead-uruguay-coast.html
Thousands of Penguins Mysteriously Wash Up Dead in South America : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/thousands-of-penguins-mysteriously-wash-up-dead-in-south-america
ウルグアイの環境省動物部門は、2023年7月だけで約2000羽ものマゼランペンギンが海岸で死亡していると報告しました。大量のペンギンの死体が浜辺に打ち上げられている光景は、以下のニュース動画で確認できます。
Dos mil pingüinos aparecen muertos en Uruguay - YouTube
3羽のペンギンの死体が浜辺であお向けになって横たわっています。
周囲には他にも点々とペンギンの死体が打ち上げられており、異常な光景となっています。
打ち上げられているペンギンはほとんどがまだ若い個体であり、大西洋の海中で死亡して浜辺に打ち上げられたとみられています。環境省のCarmen Leizagoyen氏は海外メディアのAFPに対し、「これらのペンギンは水中で死亡しました。約90%は若い個体であり、脂肪を蓄えておらず、胃の中も空っぽの状態で打ち上げられていました」とコメントしました。
Leizagoyen氏によると、検査を行ったすべてのサンプルにおいて鳥インフルエンザは陰性であり、鳥インフルエンザの流行による大量死ではないとのこと。正確な原因は不明ですが、急速な気候変動が大量死の背後にある可能性が指摘されています。
大西洋岸に生息するマゼランペンギンはアルゼンチン南部にコロニーを作りますが、南半球が冬になると食料と温かい水を求めて北上し、ブラジルの海岸などにすみかを移します。この際に数%の個体が死亡するのはよくあることですが、近年は南アメリカの大西洋岸で大量死が起きるケースが頻発しているとのこと。
たとえば2010年にはブラジルの浜辺で550羽以上のペンギンが飢えで死亡し、2012年にも745羽のペンギンの死骸が打ち上げられたほか、2019年にはアルゼンチンで少なくとも354羽のペンギンが熱波により死亡したことが確認されています。
今回のケースでは、ウルグアイ沖で発生した亜熱帯低気圧がすでに飢餓状態にあったペンギンに追い打ちをかけ、低体温症などで死亡してしまった可能性があると専門家は考えています。動物福祉団体・SOS Rescate de Fauna MarinaはFacebookへの投稿で、ペンギンは厚い脂肪と羽根の層によって寒さから身を守っているものの、飢餓で脂肪が減るなどの要因が重なると低体温症になって死んでしまうと解説しました。
動物愛護団体・SOS Marine Wildlife Rescueのリチャード・テゾーロ氏はAFPに対し、「1990年代から2000年代にかけて、私たちは食糧不足に陥る動物たちを見るようになりました。海洋資源は過剰に搾取されているのです」と述べ、人間の漁業による乱獲がマゼランペンギンの大量死につながった可能性を示唆しました。
また、科学系メディアのScience Alertは「乱獲も大きな要因ですが、気候変動による気象パターンの変化も主要な海洋生物の分布を変える可能性があります」「何かが変わらない限り、こうした大量死は毎年のことになりかねません」と述べました。
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