乗り物

タイタニック号見学ツアーの途中で圧壊した潜水艇タイタンを運航していたオーシャンゲートが業務停止


2023年6月19日、大西洋に沈むタイタニック号を見学するために海中へ潜った潜水艇のタイタンが行方不明となり、捜索の結果6月22日にタイタニック号付近で残骸が発見されました。新たに、タイタンを運航していた深海探検ツアー会社のオーシャンゲートが、すべての探検および商業活動を停止したことが判明しました。

You’re invited to dive with us - OceanGate Expeditions
https://oceangateexpeditions.com/


OceanGate suspends operations after Titan submersible implosion | Titanic sub incident | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2023/jul/06/oceangate-suspends-operations-titan-submersible

OceanGate suspends its exploration operations after Titan implosion : NPR
https://www.npr.org/2023/07/06/1186309953/oceangate-titan-submersible-implosion-suspends-operations

タイタンはオーシャンゲートが運航する5人乗りの潜水艇であり、ボディは炭素繊維強化プラスチックとチタンで構成され、見学用のアクリル樹脂製窓が設けられていました。2021年からタイタニック号見学ツアーで使用されていましたが、タイタンは開発初期の段階から安全性が疑問視されていたことも報じられています。

タイタニック号の付近で行方不明になった観光用潜水艇は開発初期の段階から安全性が疑問視されていた - GIGAZINE


また、2022年11月に放送された「CBSニュース サンデーモーニング」でタイタンを訪れたレポーターのデビッド・ポーグ氏は、「むき出しのディスプレイやバラストに建設用パイプをそのまま使っているなど、潜水艇の多くの部分が即席で作られたように見えます」と言及していました。

A visit to RMS Titanic - YouTube


行方不明になった当初、タイタンは圧壊したのか単に操縦や通信能力が制限されただけなのか判明しておらず、タイタン内部の酸素が尽きるまで乗員が生存している可能性がありました。そのため、アメリカ沿岸警備隊を含む大規模な捜索チームが組まれましたが、6月22日には現場付近を捜索していた遠隔操作の無人潜水機により、タイタニック号の船首から約400メートル離れた海底でタイタンの残骸が発見されました。


この事故で死亡したのはオーシャン・ゲートのストックトン・ラッシュCEO、イギリス人実業家のハミッシュ・ハーディング氏、フランス人探検家のポール=アンリ・ナルジョレット氏、パキスタン人実業家のシャーザダ・ダウッド氏、その息子のスレマン・ダウッド氏の5人です。

タイタニック号観光潜水艦の残骸が発見される、乗員全員が死亡したと沿岸警備隊 - GIGAZINE


6月28日にはタイタンの残骸が引き揚げられ、中からは遺体とみられるものも発見されています。

タイタニック潜水艇「タイタン」の残骸引き揚げ “遺体の一部”も 残骸を専門家が分析…“デザイン重視”の形に問題と指摘【news23】 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/571751


イギリスの日刊紙・The Guardianは、海兵隊調査委員会の委員長であるジェイソン・ノイバウアー氏の、「この証拠は、いくつかの国際的な管轄区域の調査員に対し、今回の悲劇の原因に関する重要な洞察を提供します。タイタンの壊滅的な損失につながった要因を理解し、同様の悲劇が二度と起こらないようにするために、やるべきことはたくさんあります」というコメントを紹介しています。

そして現地時間の7月6日、この事故でCEOのラッシュ氏を失ったオーシャンゲートが、公式ホームページの上部に「オーシャンゲートはすべての探検および商業活動を停止しました」という短い声明を表示していることが報じられました。The Guardianやアメリカの放送局・NPRの問い合わせに対し、オーシャンゲートはコメントを返さなかったとのことです。


カナダのケベック大学で高リスクな旅行について研究するアラン・グルニエ教授はNPRに対し、「この規模の事故は間違いなく注目を集めます。しかし、このような観光業が閉鎖されるのかというと、そんなことはないでしょう。短期的にはさらに関心が高まると思います」と述べ、タイタンの事故があったとはいえこの種の探検事業がなくなることはないとの見解を示しています。

たとえば、エベレストの登頂や小型飛行機の操縦といったアクティビティは危険を伴い、時に死亡事故が発生することもありますが、人々は依然としてこれらのアクティビティに従事し続けています。グルニエ氏は、「これらのアクティビティが安全だと再び確信できるようになれば、人々はまた戻ってくるでしょう。人間の本性は『他の人には起こるだろうが、私には起こらない。もっと気をつけよう』と思うものです」と主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
潜水艦を一瞬のうちに破壊してしまう「爆縮」とは何なのか? - GIGAZINE

タイタニック号の付近で行方不明になった観光用潜水艇は開発初期の段階から安全性が疑問視されていた - GIGAZINE

タイタニック号観光潜水艦の残骸が発見される、乗員全員が死亡したと沿岸警備隊 - GIGAZINE

5人をのせてタイタニック号へ向かった観光用潜水艇が行方不明に - GIGAZINE

潜水艦はどうやって海中で通信を行っているのか? - GIGAZINE

原子力潜水艦に乗っていた元士官が学んだ「極度に外界と隔絶された状況で生きる方法」とは? - GIGAZINE

映画とは違う現実の「潜水艦の魚雷攻撃」をベテラン潜水艦乗りが語る - GIGAZINE

潜水艦はどうやって海中で通信を行っているのか? - GIGAZINE

in 乗り物,   動画, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.