ゲーム

Arkaneのマルチ対応ヴァンパイアシューティング「Redfall」はなぜ失敗してしまったのか?


Arkane Austinが手がけるCO-OP対応FPSゲーム「Redfall」は、批評家たちからおおむね低い評価を与えられています。「Dishonored」などの名作ゲームを生み出したスタジオの新作とあって期待されていたこのゲームがなぜ滑り出しに失敗してしまったのかについて、Bloombergが解説しています。

Arcane's Redfall Misfire for Xbox Panned After $7.5 Billion Microsoft Deal - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-06-01/arcane-s-redfall-misfire-for-xbox-panned-after-7-5-billion-microsoft-deal

Redfallはヴァンパイアが住む架空のマサチューセッツ島を舞台にしたマルチプレイ対応FPSゲームです。2023年に5月2日にリリースされたばかりですが、ユーザーや批評家たちから不満が寄せられています。Redfallの記事作成時点でのSteam評価は「やや不評」となっており、レビュー集計サイトのMetacriticでは100点満点中54点が付けられ、「今年最も評価の低かったゲーム」のひとつに数えられています。

しかし、Bloombergが取材した関係者によると、この評価はRedfallの制作者にとっては驚きではなかったとのことです。話によると、Redfallのプロジェクトは方向性が不明確で、人員削減が頻繁に起こり、恒常的なスタッフ不足に悩まされていたそうです。


Redfallの開発は2018年に始まりましたが、親会社のゼニマックスはスタジオに対して「初期販売以外にも収益を得られるゲーム」を開発するよう促していたとのこと。いわゆるゲーム内課金を導入したゲームはフォートナイトやオーバーウォッチを始めとしてヒット作が多く、こうしたモデルをRedfallにも導入するよう強く要請していたと関係者らは話しています。

しかし、Arkaneは1999年の設立以来、ステルスアクションを導入した戦闘スタイルでさまざまな障害をプレイヤーに克服させるシングルプレイヤー向けゲームを手がけていたため、上層部の要求する「幅広い層にアピールできるマルチプレイヤー対応のゲーム」に応えられるかどうかは未知数でした。

ゲームプロットに興奮するディレクターとは裏腹に、各部門の作るものがバラバラであったこと、シングルプレイとマルチプレイのデザインの間にある根本的な課題が解消されなかったこと、そしてマルチプレイのゲームに対応できるだけの人員が不足していたことなどの問題が発生しました。これにより、スタジオ内の雰囲気が悪化し、マルチプレイヤーゲームの開発に興味のないベテラン社員が大量に退職してしまったそうです。BloombergがLinkedInと過去の作品のクレジットから分析した結果によると、Redfallの開発が完了する頃には、開発初期に集まっていたスタッフの約30%しか会社に残っていなかったといいます。


この間、2020年9月21日にゼニマックスがMicrosoftに買収されるという出来事が発生しました。この買収によって、Arkaneのスタッフの中には「Redfallがキャンセルされるか、あるいはシングルプレイヤーゲームとして再スタートするのではないか」と期待する人もいたそうですが、実際にはMicrosoftはRedfallのPlayStation対応を中止させただけでした。

それでもMicrosoftがRedfallに高い期待を寄せており、2021年のプレスカンファレンスでは「今後の大型リリースのひとつ」と位置づけ、イベントのフィナーレで劇的に公開しました。しかし、リリースまであと数ヶ月というところでArkaneのスタッフはますます不足し、リリースは2022年のハロウィンから2023年初頭へ延期され、最終的に2023年5月2日に封切りとなりました。


結局、Redfallはまとまらないままリリースされたため、一部の批評家からは「シングルプレイとマルチプレイの妥協点を積み上げたように感じられ、どちらのタイプのゲームのファンも満足させることができない」といった酷評が寄せられ、ユーザーからも非難されることになりました。

非難はMicrosoftにも飛び火し、一部の批評家は「MicrosoftはActivision Blizzardなどの他のゲーム会社の買収を進めているが、Redfallの失敗はMicrosoftの願望と実際の製品との間の大きなギャップを浮き彫りにし、Microsoftが自らの力で長期的なフランチャイズを確立する能力を疑問視することにもつながる」と述べているとのこと。

結局、ユーザーの反発を受けてRedfallの課金モデルは撤廃され、Microsoftが「改善する努力を続ける」との声明を出しました。Bloombergは「荒れに荒れたRedfallは、ゼニマックスが発売予定の『Starfield』に対するプレッシャーを増大させただけであり、この間にMicrosoftがどのような教訓を得たのか、業界は注目しているでしょう」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ゲーム制作において重要視すべきポイントを「サイバーパンク2077」や「ウィッチャー3」などを作り上げたCD PROJEKT REDのディレクターが語る - GIGAZINE

農家は少ないのになぜ農業ゲームは人気なのか? - GIGAZINE

キャラ完全強化に1400万円超の課金が必要な「ディアブロ イモータル」がBlizzard史上最低のユーザースコアを獲得してしまう - GIGAZINE

「RDR2」「GTA V」の販売元が60億円以上を費やした未発表のゲームの開発を中止 - GIGAZINE

in ゲーム, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article Why did Arkane's multi-compatible va….