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Firefoxの開発元MozillaがAIスタートアップのFakespotを買収、Firefoxに虚偽レビュー検出機能を導入


現地時間の2023年5月2日、ウェブブラウザのFirefoxやメールクライアントのThunderbirdなどを開発するMozillaが、AIを駆使して偽レビューや詐欺を検出するツールを開発するスタートアップのFakespotを買収しました。買収額は明らかになっていません。今回の買収により、MozillaはFirefoxにショッピングツールを導入すると見込まれています。

Fakespot Joins Mozilla, Enhancing Trustworthy Shopping on Firefox
https://blog.mozilla.org/en/mozilla/fakespot-joins-mozilla-firefox-shopping-announcement/


Mozilla buys Fakespot, a startup that identifies fake reviews, to bring shopping tools to Firefox | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/05/02/mozilla-buys-fakespot-identifies-fake-reviews-shopping-tools-firefox/

MozillaはFakespotの買収を、「オンラインショッピングは人々の生活の大きな部分を占めており、改善の余地があります。FakespotがMozillaチームに加わり、Firefoxと協力してより安全で信頼できるオンラインショッピング体験を人々に提供できるようになると発表できることを嬉しく思います」とツイートしています。


Mozillaが買収を発表したFakespotは、ユーザーが偽のレビューや信頼できないレビューを識別するのに役立つウェブサイトおよびブラウザ拡張機能を開発・提供するスタートアップです。FakespotのサービスはAmazon、eBay、Walmart、Bestbuyといったショッピングサイトだけでなく、YelpやTripAdvisorといったサイトでも利用可能。Fakespotの開発するブラウザ拡張機能はChromeウェブストアでは50万人以上のユーザーが利用しており、1300件以上のレビューが集まっていながら評価は星4超とかなり高評価です。

Fakespot Fake Amazon Reviews and eBay Sellers - Chrome ウェブストア
https://chrome.google.com/webstore/detail/fakespot-fake-amazon-revi/nakplnnackehceedgkgkokbgbmfghain


Fakespotは2016年に設立されたスタートアップで、AIと機械学習を用いてレビュー上のパターンと類似性を検出し、虚偽の可能性があるレビューにフラグを立てるシステムを構築しています。Fakespotは消費者がオンラインショッピング時により多くの情報に基づいた決定を下せるように、製品のレビューに対する評価あるいはグレードを提供します。Fakespotの目標は検索エンジンで製品のランキングを人為的に押し上げる虚偽レビューを、ユーザーが素早く見つけられるようにすることです。

Mozillaの製品マネージャーであるスティーブ・テイシェイラ氏は、「過去30年近くにわたり、商取引はインターネットを利用する方法の中核を成してきました。デジタル市場から生まれる前例のない規模の経済から人々が恩恵を受けるにつれ、利便性と使いやすさは何年にもわたって倍増してきました。このグローバルなeコマースの拡大は、どこで買い物をするか、特定のニーズに合わせてどの製品を購入するか、店舗内のどのベンダーから購入するかなどの決定を下す方法など、消費者に新たな課題をもたらしてきました。良いものと悪いものを区別するために、人々はますます他の人からのレビューに目を向けるようになっています。そして、レビューの利用者は、星評価やレビューの文言が製品購入者の正直な反応であることを願っています。正しいレビューの場合、ユーザーはレビューを受けて高品質で信頼性の高い製品を、安価で信頼性の低い代替品や疑わしい販売者を避けて購入するのに役立ちます。しかし、虚偽のレビューを見てしまった場合、誤った情報に踊らされて低品質の製品を購入してしまう可能性があります」と、虚偽のレビューを識別するためのツールの重要性が高まっていると指摘しています。

また、テイシェイラ氏は「将来的に、Firefoxに固有のFakespotが統合される可能性もあります。Fakespotの機能が追加されれば、Firefoxユーザーは虚偽のレビューを識別し、オンラインショッピングで購入するものが高品質かつ本物であることを確信して買い物できるようになります」とも語っており、Fakespotの虚偽レビュー検出機能をFirefoxに統合する予定であると語りました。なお、Mozillaは既存のFirefox以外のウェブブラウザ向けにリリースしているFakespotの開発も続けると説明しています。


さらに、「Fakespotと開発者のSaoud Khalifah氏がMozillaに参加することにこれ以上ないほど興奮しています。MozillaはFakespotへの投資を増やすことを計画しており、何百万人ものeコマース体験を強化するべくFakespotと協力することに興奮しています。これは始まりに過ぎず、Fakespotの機能を徐々にFirefoxに導入していく予定です。リリースされた際にはぜひご意見をお聞かせください」と記し、Fakespotに対する期待を語っています。

AIと機械学習は、虚偽のレビューを検出するために使用されてきましたが、最近になってChatGPTなどのより精度の高いチャットAIが登場したことで、虚偽レビュー検出作業はますます困難になっています。すでにAmazonのレビューにはChatGPTで書かれたと思しき虚偽のレビューが複数投稿されていることが指摘されており、Fakespotのような精度の高い信頼できる虚偽レビュー検出ツールの需要はますます高まっていくと予想できます。

AmazonレビューやTwitterにChatGPTで生成されたスパムが爆増中、「AI製スパム」の増加を専門家が懸念 - GIGAZINE


なお、MozillaがFakespotを買収したのは同社がMozilla.aiというAIに焦点を当てたスタートアップを立ち上げてから約1カ月後のことです。

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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