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OpenAIがイタリアからのChatGPTへのアクセスをブロック


人工知能(AI)研究所のOpenAIが、チャットAIであるChatGPTへのイタリアからのアクセスをブロックし始めたことが明らかになりました。これはイタリアのデータ保護機関による「イタリア人のデータ処理を停止せよ」という命令に従うものです。

Italy orders ChatGPT blocked citing data protection concerns | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/03/31/chatgpt-blocked-italy/


OpenAI geoblocks ChatGPT in Italy | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/04/01/chatgpt-blocked-in-italy/


Italian minister says country's ban on ChatGPT is excessive | Reuters
https://www.reuters.com/technology/italian-minister-says-countrys-ban-chatgpt-is-excessive-2023-04-02/



2023年3月31日、イタリアのデータ保護機関であるGaranteが「OpenAIのChatGPTがEU一般データ保護規則(GDPR)に違反している懸念がある」として調査を開始しました。具体的には、ChatGPTがユーザーデータを違法に処理している懸念があり、未成年者がChatGPTにアクセスすることを防ぐようなシステムが存在しないことも問題視されていました。さらに、GaranteはOpenAIに対してChatGPTへのイタリアからのアクセスをブロックするよう命令を出しています。

Intelligenza artificiale: il Garante blocca ChatGPT. Raccolta illecita di... - Garante Privacy
https://www.gpdp.it/web/guest/home/docweb/-/docweb-display/docweb/9870847


現地時間の2023年4月1日、OpenAIはこの命令に従う形でイタリアのIPアドレスからのChatGPTへのアクセスをブロックし始めました。イタリアのIPアドレスでChatGPTにアクセスすると、ウェブサイト上には「OpenAIはデータ保護機関の要求により、イタリアのユーザーへのアクセスを無効にしたことをユーザーに通知することは残念です」という通知文が表示されるそうです。さらに、OpenAIは「できるだけ早くアクセスを復元することを目標に、Garanteと協力します」と記しており、イタリア人ユーザーへのアクセスを復元するため全力を尽くすとしています。


2023年3月にChatGPTの有料版である「ChatGPT Plus」に加入していたユーザーに対しては、払い戻しを行うとOpenAIは説明しています。また、イタリアからのアクセスがブロックされている間はユーザーに料金の支払いを請求しないようにサブスクリプションの更新を「一時停止している」とのことです。

月額2600円で使える有料版「ChatGPT Plus」がついに登場 - GIGAZINE


OpenAIはChatGPTに対して単純なジオブロッキングしか適用していません。そのため、海外メディアのTechCrunchは「VPNを利用すればイタリア人でも簡単にChatGPTを利用できるようになる」と指摘。ただし、ChatGPTのアカウントをイタリアで作成した場合、アカウントそのものがブロックされる可能性があるとのこと。

OpenAIは一刻も早くイタリアでのサービス提供が可能になるように尽力すると語っていますが、「Garanteによって提起されたコンプライアンス問題にOpenAIがどのように対処できるかは明確ではありません」とTechCrunchは指摘しています。なお、GDPRに対する違反が確認された場合、企業は年間売上の4%あるいは2000万ユーロ(約28億7000万円)のいずれか多い方を罰金として科される可能性があります。

データプライバシーに焦点を当てたシンクタンク・Future of Privacy Forumでヴァイスプレジデントを務めるGabriela Zanfir氏によると、OpenAIはEUに主要な拠点を持たないため、EUのデータ保護当局のいずれかがChatGPTを規制する権限を有することとなり、他のEU加盟国すべての当局が介入して調査し、違反行為を発見した場合には比較的短時間で罰金を科すことが可能となるそうです。つまり、他のテクノロジー企業がヨーロッパでのプライバシー保護を遅らせるために行ってきた遅延慣行を行う間もなく、OpenAIは最高レベルの罰金を科される脅威にさらされているということになります。

Last but not least - this is a wake up call that #GDPR, #Article8 Charter, data protection law in general & particularly in the EU IS APPLICABLE TO AI SYSTEMS today, right now, and it has important guardrails in place, if they are understood & applied. 18/????

— Dr. Gabriela Zanfir-Fortuna (@gabrielazanfir)


イタリアのマッテオ・サルビーニ副首相は、GaranteによるChatGPTに対する規制について「ChatGPTに対してイタリアからのアクセスをブロックするよう強制したプライバシー保護機関の決定は過剰な要求だと思います」と自身のInstagramアカウントで言及しています。さらに、サルビーニ副首相はGaranteの規制を「偽善的なもの」と批判し、「プライバシー問題は事実上、すべてのオンラインサービスに関係するものです」と指摘しました。

また、サルビーニ副首相はChatGPTへのアクセス禁止はイタリアのビジネスとイノベーションに悪影響を与える可能性があると述べ、迅速に解決策が見いだされ、イタリアからChatGPTへのアクセスが復活することを望んでいるとも記しています。


なお、BloombergがGaranteにサルビーニ副首相の投稿に対するコメントを求めましたが、返答は拒否されたそうです。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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