Docker Hub無料プランが一部終了予定、Docker社はオープンソース支援プラグラムへの移行を呼びかけ
2023年3月14日頃に、Docker Hubのユーザーに対して「有料プランに移行しなければアカウントがイメージごと削除される」というメールが送信され、「オープンソースコミュニティが窮地に立たされるのではないか」という懸念が生じました。その後、2023年3月16日にはDocker社が「メールの内容は不正確だった」とする公式声明を発表し、有料化の正しい影響範囲および各イメージの取り扱いについてアナウンスしています。2023年3月27日追記:Docker社は、2023年3月24日に方針を変更して「Docker Free Teamsプラン」の廃止を取りやめることを発表しました。
What to know about the end of Docker Free Teams | Docker
https://www.docker.com/blog/we-apologize-we-did-a-terrible-job-announcing-the-end-of-docker-free-teams/
Docker is deleting Open Source organisations - what you need to know
https://blog.alexellis.io/docker-is-deleting-open-source-images/
Dockerは、OSやインストール済みソフトウェアを「コンテナ」にまとめられる仮想化技術で、コンテナの内容物などをまとめた「イメージ」ファイルを共有することで別のマシン上で簡単に同一環境を構築できます。Dockerを開発するDocker社は、イメージ共有サービス「Docker Hub」も運営しており、ユーザーはDocker Hubに自分で作成したイメージをアップロードしたり、他人が作成したイメージを利用したりできます。
Docker Hubは基本料金無料で、有料プランに加入するとプライベートリポジトリなどを利用できる料金体系が採用されていました。しかし、2020年8月には無料プランに対して「Pull回数の上限設定」や「イメージ保存期間の制限」が加えられ、無料プランの機能が徐々に減らされていく可能性が危惧されていました。
Docker Hubがコンテナイメージの保存期間に加えてPull回数にも上限を設定すると発表 - GIGAZINE
そして、2023年3月14日には、Docker Hubを組織で使用しているユーザーに対して「有料のTeamプランに移行しない場合、アカウントをイメージごと削除する」という通知が届きました。
Docker社がメールで移行を促した「Teamプラン」は、最少人数で利用する場合年間420ドル(約5万6000円)の支払いが必要なプランです。オープンソースコミュニティのほとんどは非常に少ない寄付しか得られておらず、有料プランへの強制移行はDocker Hubを利用するオープンソースコミュニティにとってかなりの痛手となることが予想されました。また、Docker社のメールには有料プランへの移行が必須となるユーザーの種類について記されておらず、詳細が明らかになっていないことによる混乱も生じていました。
その後、2023年3月16日にはDocker社が公式声明を発表し、有料プランへの移行が必須となるのは「Docker Free Teamsプラン」の加入者のみで、全ユーザーの2%未満が対象であることを発表しました。加えて、以下のプランの加入者やプログラムのメンバーには影響がないことを明言しています。
・Docker Personalプランの加入者
・Docker Proプランの加入者
・Docker Teamプランの加入者
・Docker Businessプランの加入者
・Docker-Sponsored Open Source Programのメンバー
・Docker Verified Publishers
・Docker Official Images
Docker社によると、「Docker Free Teamsプラン」はオープンソースコミュニティ向けに用意されていたものの、2022年9月にオープンソースコミュニティ支援プログラム「Docker-Sponsored Open Source Program」の申請条件を緩和したことで「Docker Free Teamsプラン」のメリットが少なくなったとのこと。Docker社は「Docker Free Teamsプラン」のユーザーに対して以下のリンク先から「Docker-Sponsored Open Source Program」への参加を申請するように呼びかけています。
Apply Today - Docker-Sponsored Open Source Program
https://www.docker.com/community/open-source/application/
また、Docker社は「メールの中でイメージ削除の条件について明確にできなかったことをおわびします」と謝罪し、「イメージの削除はイメージのメンテナーのみが実施でき、Docker社が勝手に削除することはありません」と明言しています。
・続き
Docker社は2023年2月14日に方針を変更し、「Docker Free Teamsプラン」の廃止を取りやめることを発表しました。
Dockerが廃止した無料プランの継続を発表 - GIGAZINE
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