環境活動家のグレタ・トゥーンベリがドイツで警察に連行される

2023年1月17日、ドイツで石炭採掘に反対する抗議運動をしていたグレタ・トゥーンベリ氏ら環境活動家のグループが、ドイツ警察により連行されました。現地では連日の降雨で地面がぬかるんでおり、デモ隊が移動する際に危険が生じるおそれがあることから、警察が解散を勧告していました。

Greta Thunberg detained by police during eco protest in German village | World News | Sky News
https://news.sky.com/story/greta-thunberg-detained-by-police-during-eco-protest-in-german-village-12788902

Greta Thunberg detained by police in Germany at coal mine protest | CNN
https://edition.cnn.com/2023/01/17/us/greta-thunberg-detained-germany-climate/index.html

Greta Thunberg released after brief detention at German mine protest, police say | Reuters
https://www.reuters.com/world/europe/german-police-detain-greta-thunberg-german-coal-village-protests-2023-01-17/

記事作成時点で20歳になるスウェーデンの環境活動家のトゥーンベリ氏が警察に拘束されたのは、ドイツ西部にある炭鉱工事に反対する抗議デモの最中でした。

連行時の様子は、以下のムービーから見ることができます。

Greta Thunberg carried out and detained by German police at protest - YouTube

プロテクターを着用した警察官に抱えられるようにして連行されているトゥーンベリ氏。

現場は地面がぬかるんでおり、大きな水たまりができているのが確認できます。

地元のアーヘン警察によると、トゥーンベリ氏らは逮捕されたわけではなく、他の抗議者とともに身元確認のために移動されたとのこと。

警察の広報担当者は「彼女が誰かは分かっていましたが、VIP待遇はありませんでした。また、彼女は抵抗しませんでした」と話しました。警察によって連行されたトゥーンベリ氏らは、その日のうちに釈放されました。

ドイツはこれまで、エネルギーをロシアの天然ガスに依存してきましたが、ウクライナ侵攻によるEUの制裁措置で供給が減少しています。これを受けて、環境政党である緑の党を含む3党連立政権は、石炭利用に対する方針の転換を余儀なくされました。

こうした中で焦点となったのが、ノルトライン=ヴェストファーレン州にある炭鉱のガーツワイラー鉱山と、その近隣にあるリュッツェラート村です。ドイツ政府は2022年に、2030年までこの地域での石炭採掘を継続する計画を発表しました。

露天掘りを行うガーツワイラー鉱山の拡張工事のためには、既に住民のほとんどが立ち退いていたリュッツェラート村の取り壊しが必要でしたが、ドイツ政府の発表に反対する環境活動家らが村に集結し、見張り小屋やバリケードを建設して抗議しました。その後、ドイツの裁判所はガーツワイラー鉱山を所有する電力会社に対し、村の取り壊しや家屋を占拠している活動家を退去させることを認める判決を下しました。

リュッツェラート村で抗議活動を行っている団体・Luetzi Bleibtの発表によると、2023年1月上旬の時点で村には200人ほどが集まっているとのこと。しかし、ドイツ警察は1月に入り、約1000人を動員してバリケードなどを撤去しました。

その後も活動家らが座り込みなどを続ける中、1月中旬にトゥーンベリ氏が抗議活動に加わりました。

そして、17日にトゥーンベリ氏ら活動家が炭鉱に向けて突撃し、警察の防壁を破って炭鉱に侵入したため警察により排除されました。現地では、数日間の雨で地面が軟化しており、特に急斜面を大人数が移動すると危険だったとのこと。地元警察は、トゥーンベリ氏がこの場所で拘束されたのはこれが2回目だと発表しています。