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2002年発売のゲームが2023年になって大規模パッチを獲得、開発者はリマスターに匹敵するアップデートと自信


2002年にXbox、PlayStation 2(PS2)、PC向けに発売されたレーシングゲーム「Colin McRae Rally 3」の大規模修正パッチ「SilentPatch」が、2023年になって有志によりリリースされました。

Remastering Colin McRae Rally 3 with SilentPatch | Silent’s Blog
https://cookieplmonster.github.io/2023/01/15/remastering-colin-mcrae-rally-3-silentpatch/

Colin McRae Rally 3は2002年10月25日にPS2とXbox向けにリリースされたレーシングゲームで、2003年6月13日にゲーム開発スタジオのSix by NineからPC移植版がリリースされました。2003年には続編の「Colin McRae Rally 04」、2004年には「Colin McRae Rally 2005」がリリースされており、シリーズとしても人気を誇っています。そんなColin McRae Rally 3は、2022年10月で20周年を迎えました。


Colin McRae Rally 3の前作となる「Colin McRae Rally 2.0」はPC向けゲームとしてリリースされていましたが、Colin McRae Rally 3は発売当初は据え置き型ゲーム機専用タイトルとしてリリースされました。また、後にリリースされたPC移植版のColin McRae Rally 3も、登場時は「標準以下の移植」とみなされていたそうです。

2002年当時のColin McRae Rally 3のゲーム映像は以下の通り。

Colin McRae Rally 3 | All Cars - YouTube


そんなColin McRae Rally 3の20周年から約3カ月が経過した2023年1月、ゲーム開発者のアドリアンさんがColin McRae Rally 3向けの大規模パッチ「SilentPatch」をリリースしました。SilentPatchはアドリアンさんがゲーム開発者のBekohaさんと共同で開発した自作パッチで、バグの修正だけでなくアスペクト比16:9への対応や、4Kディスプレイ向けに最適化された高精細UIの採用など、さまざまな新機能が追加されています。

SilentPatchはGitHub上で公開されています。

GitHub - CookiePLMonster/SilentPatchCMR3: SilentPatch for Colin McRae Rally 3
https://github.com/CookiePLMonster/SilentPatchCMR3


アドリアンさんがColin McRae Rally 3向けのパッチを制作する上で最初に問題となったのはDRMです。DRMには3つの主要なソリューションが存在しており、そのうちの2つは最近になってWindowsにより意図的に無効化された模様。このDRMのうち1つは非常に工夫されているため、Windows 10およびWindows 11マシンを起動できなくする可能性があるとのこと。Colin McRae Rally 4は物理的なDRM(データコピーの信頼性を下げるためにディスク表面にリングをつける)が採用されており、Colin McRae Rally 2005はGOG.comでDRMフリーでリリースされていたことがわかったものの、Colin McRae Rally 3だけはDRMの詳細が不明だったそうです。

しかし、アドリアンさんがポーランド語のPC版Colin McRae Rally 3の実行ファイルにアクセスしたところ、DRMフリーであることが判明。ただし、UIに問題を抱えていたり、さまざまな画面でクラッシュが発生したりと、複数のバグを抱えていたそうです。しかし、ドイツ語のDVD版Colin McRae Rally 3はポーランド語版よりもバグが少なくDRMもないため、これをベースにパッチを開発することに決めた模様。


Xbox/PS2版のColin McRae Rally 3にはアスペクト比を4:3から16:9に切り替えるためのオプションが存在したそうですが、PC版にはこのオプションが存在しなかったそうです。しかし、オプションが削除されているだけで機能自体は残っていたとのこと。

ゲームを任意のアスペクト比にスケーリングすることで、あらゆるアスペクト比に対応。ゲーム画面に表示されるタイムや速度計などのUIはアスペクト比に合わせて動的に配置されるようになっているため、解像度に関係なく位置が一貫します。なお、元の画面UIはアスペクト比4:3に合わせてデザインされていたため、これをあらゆるアスペクト比のゲーム画面で利用できるようにするには「多くの調整が必要だった」とアドリアンさんは語っています。


PC版Colin McRae Rally 3にはFSAA(アンチエイリアシング)オプションが有効になっていると太陽がランダムな色で点滅するという奇妙なバグが存在しました。これはアンチエイリアシングがゲーム内で有効になっているか、外部で強制されているかに関係なく発生するバグです。このバグはColin McRae Rally 2005でのみ修正されており、原因は「太陽遮断クエリが終了するとすぐに結果が返されるのをゲームが待機していること」にあるそうです。原因が判明しているため修正は理論的には簡単なものの、「実装は少し大変だった」とアドリアンさん。

Colin McRae Rally 3: Technicolor Sunshine - YouTube


また、Colin McRae Rally 3には湖の隣や川を横切るように走るコースがあります。しかし、キューブマップベースの優れた反射と微妙なアニメーションにより、反射してきらめく水面の表現が微妙なものになっていたそうです。以下がPC版Colin McRae Rally 3の水面の一例で、反射により真っ白になったり真っ黒になったりしていた模様。


水面が正しくレンダリングされるように修正した結果、「ファークライほどではないもののかなりきれいな水面になった」とアドリアンさんは自信を持って語っています。


この他、SilentPatchでは複数の新しいオプションが追加されています。

タコメーター:
Colin McRae Rally 2.0と同様にタコメーターがカスタマイズ可能に。


視野制御:
ゲーム内のカメラの視野角はデフォルトで75度となっていますが、これを30~150度の範囲で好みの数値に設定可能に。

視野角30度


視野角120度


また、高リフレッシュレートへの対応や異方性フィルタリングオプションの追加などにも対応しています。加えて、元のPC版Colin McRae Rally 3は解像度640×480ピクセルをベースに開発されていたそうですが、UIを高解像度化することで4K解像度までのアップスケーリングに成功しています。

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in 動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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