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「自宅のガレージで車を修理するのは違法」というトンデモ法がアメリカには存在する


機械いじりが得意な自動車好きなら、オイル交換やブレーキパッドの交換、ちょっとしたエンジンの修理などは自分でやってしまいます。ところが、アメリカのカリフォルニア州サクラメントには、うっかり愛車の修理やメンテナンスをすると罰金の支払いを命じられかねない条例があるとして、住人の間で物議を醸しています。

Repairing Your Car in Your Own Garage Is Considered Illegal in Sacramento, California
https://www.thedrive.com/news/29205/repairing-your-car-in-your-own-garage-is-considered-illegal-in-sacramento-california

DIY "major" car repairs are illegal in Sacramento - Forged N Fast
https://www.forgednfast.com/diy-major-car-repairs-are-illegal-in-sacramento/

カリフォルニア州サクラメント郡に住む自動車愛好家の悩みの種となっている問題の条例は、サクラメント郡の都市計画(ゾーニング)に関する条例であるSacramento County Zoning Codeの一文です。


この条例のセクション3.9.3.Lでは、住民ができる自動車のメンテナンスは「軽微な調整や修理」であると規定されており、これより大がかりなものを許可なく行うと違法になってしまうとのこと。「軽微な調整や修理」にはラジエーター、トランスミッション、マフラー、ブレーキの修理、オイル交換などが例として挙げられていますが、これらに限定されません。つまり、何が法律で許されている修理や整備の範囲なのかがきちんと決まっていないことになります。

この問題を取り上げた自動車情報サイトのForged N Fastによると、例えばトランスミッションの整備は適法ですが、壊れたトランスミッションの修理は違法になる可能性があるとのこと。また、修理ができるのはその自動車がある家の住人だけなので、車が故障して困っている友だちの家に行って修理してあげるというのも違法になります。

特に困るのが、工具を使う場合です。「家庭に一般的に存在する工具」を使った修理は合法ですが、どの工具が一般家庭にあるのかの判断基準は人によってまちまちです。例えば、一口に「ブレーキの交換」と言っても、一般的な自動車のディスクブレーキのブレーキパッドなら「十字レンチといった工具を使ってDIYで交換できるので問題ない」と考える人もいれば、ブレーキドラムを採用しているシボレー・カマロのブレーキ交換となると「特殊な工具が必要なので違法」と考える人もいるかもしれません。


この条例は、規定があまりにも曖昧でどのようにでも解釈できることから2020年に一度改訂されて、文言の追加などが行われました。しかし、それでも上記のようにまだ不明確な記述が残されています。

このような条例ができた理由について、自治体のサイトには「自動車修理に関わる化学物質は地域を汚染し、住民の健康と福祉を危険にさらす可能性があります。さらに、このような行為は車の交通量を増やし、景観を損ねて土地や家の価値に悪影響を及ぼす可能性があります」と説明されています。また、自動車特化のニュースサイト・The Driveは、「住民が自宅で修理業を営むのを阻止したいという思惑があるのではないか」とも指摘しました。

近年の修理する権利を認める動きに逆行するかのような法律について、The Driveは「この規定が設けられた理由が何であれ、多くの自動車愛好家にとっては、自分の所有地で自分の車に複雑な修理や改造を施せないというのは、腹立たしい現実です」とコメントしています。

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in 乗り物, Posted by log1l_ks

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