ハードウェア

SSDの寿命を見積もるためには何に注目すればいいのか?

by Yutaka Tsutano

技術の進歩によってHDDよりも読み書きが速く静かで耐衝撃性の高いSSDがPCのメインストレージに採用されるのが当たり前になっています。しかし、記憶装置にフラッシュメモリを採用しているSSDの書き込み回数には上限があり、使い方に応じて寿命が変化します。Apple関連のニュースを扱うブログ・The Eclectic Light Companyが、Macに採用されているSSDの寿命について解説しています。

How to estimate an SSD’s working life – The Eclectic Light Company
https://eclecticlight.co/2022/12/05/how-to-estimate-an-ssds-working-life/

HDDは消耗品ですが、回転させた時の消耗や損傷は個体差があり、いつ壊れてしまうのかを予測するのは困難です。しかし、SSDが壊れるのはほとんどの場合、「読み書き回数の上限に達した時」であり、ある程度予想することが可能です。


SSDにはすべてのメモリが一定の速度で劣化するように、ウェアレベリング技術が組み込まれています。このシステムが正しく機能しなければ、「Aのブロックはほとんど使われていないのに、Bのブロックは消耗が進んで寿命がきている」という事態になってしまいます。つまり、SSDの信頼性というのはウェアレベリングの信頼性と言い換えることもできます。

SSDに保存されているデータの多くは定期的に更新されるものではありません。そのため、SSD内のメモリすべてで消耗レベルを均一化するためには静的データを移動させる必要があります。しかし、この静的データの移動がデータの読み書き回数を増やすため、SSDの消耗を加速させることになります。

macOSの場合、ファイルシステムであるApple File System(APFS)は変更されたデータブロックを書き込む際、同じブロックに書き込もうとするのではなく、コピーオンライトを使って毎回新しいブロックに書き込みます。このAPFSはウェアレベリングに役立つ技術ですが、ウェアレベリングに置き換わるものではありません。

by Patrick Lauke

SSDの耐用年数を示す方法はいくつかありますが、最も広く使われているのはTBW(Total Bytes Written、総書き込み可能量)です。メーカーは「このSSDのTBWは600TBです」というようにスペックの1つとして表わしています。例えば、容量1TB・TBW600TBのSSDにこれまで100TBを書き込んでいた場合、寿命は残り83.3%であるとわかります。

つまり、TBWとこれまでに書き込まれたデータの合計量であるDUW(Data Units Written)が分かっていれば、SSDの寿命、すなわち残りの書き込み可能量を推定するのは簡単というわけです。

しかし、メーカー公称のTBW自体がそこまで信頼できる数値ではなく、同じモデルのSSDでも製造時期やラインが異なればTBWも異なります。また、AppleはMacに内蔵しているSSDのTBWを公開していません。近年のMacに内蔵されているSSDのTBWは1TBの場合だと600~1200TBだと考えられているそうですが、これだけ幅の広い数値になるのはTBWが不確実な数値だからだといえます。また、DUWについては、SSDのS.M.A.R.T.という情報をチェックするツールを使えば確認できます。

by Nicholas Wang

SSDのTBWは寿命に直結するため、一般的には高い方がよいといえますが、用途によってはTBWが低くても問題はありません。例えば、バックアップ用に1年間使っている2TBの外付けSSDのTDWが100TB程度だったとしても、DUW自体は5TBで済んでいれば、理論的には20年持つといえます。頻繁に読み書きが行われるメインシステムのストレージだと、TBWがより高い方が望ましいですが、バックアップ用だとそこまで高いTBWは必要ありません。

また、SSDでアクセス頻度の少ないメモリ領域を仮想メモリであるスワップ領域に使うと、読み書きの頻度が上がるため、それだけSSDの寿命は短くなります。TBWが300TBのSSDに年間30TBの書き込みを行うと寿命は約10年となりますが、毎日10GBのスワップ領域を確保するだけで、寿命はさらに1年以上縮まることになります。

by Ambra Galassi

最後にThe Eclectic Light Companyは要点として、「ウェアレベリングは、APFSを使用して十分な空き容量があるSSDで最も効率的に行われます」「SSDの容量が大きいほどTBWが多くなります」「バックアップ用であれば高いTBWは必要ありませんが、システムストレージには高いTBWが求められます」「スワップ使用率が高いと寿命が短くなる可能性があります」とまとめています。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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